木春菊  [偕老同穴] 証 2 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「どうしよう…薄暗くなってきたわ
先が見えない・・・」

「ウンスがあちらこちらと
寄り道をする故、このような刻限に
なるんです」

「だって…こんな機会
二度とないと思うの、ヨンもお役目
忙しいし、私も王妃様の出産に
向けて忙しくなると思うし、いつ
戦が始まるかも知れないから・・」

「・・・ウンス夜目が効かぬであろう
テマンに宿を探させる故、宿に着くまで
相乗りせぬか」

「えぇ、お願いしたいわ」

「テマン!」


「はい!」

二人の後方から声と共に蹄の音が
近づく

「宿の手配を頼む…離れがあれば
俺らは離れで…お前は母屋に泊まれば
よい」

「俺はいいです…どこでも寝れますか
ら」

ヨンはふっと笑みを湛えると
禄の入った袋を懐より取り出し
テマンの手にぽんと渡す

「気を使うな」

テマンはにかっと笑うと
馬を走らせ、近場の宿を探しに向かう

「ウンス、もうちとの辛抱を
テマンが戻れば相乗りするゆえ
されど、山側に寄って下され
崖側は俺が・・・」

「分かったわ…お願いね、でも気を付け
てよ…」



四半刻程し、テマンが戻ってくる

「宿を押さえて来ました、山を下った
ところに離れもあり、外湯があるところ
でした」

「外湯!!それって温泉じゃないの
テマン君お手柄よ、脚を伸ばして
ゆっくり温泉に浸かり
この辺なら宿の夕餉も海の幸かも…
楽しみ~」

「そのように、はしゃぐと馬から落ちる
危険極まりない…まったく
テマン…ウンスの馬を引けるな」

「はい、造作もないことです」

チュホンをウンスの馬に寄せると
さっとウンスの脇に手を回し
抱き上げ自身の前にすとんと下ろす
すぐさまテマンが手綱引く

「チュホンごめんね、二人だから
重いでしょう…」

「チュホンは賢い馬です
いや、頭のよさは人より優れているやも
知れぬ、危険を察知すれば避けて通り
俺に何かあれば、チュホンは
助けを求めに、仲間の元へ走る
あの折もテマンを呼んでくれた故…」

ヨンは話を反らすように
チュホンの背を撫で語り掛ける

「チュホンいつもすまぬな…
この方は軽い故大事ないな?」

チュホンは頚を上下に振り
それに答えているように見える

「あら…ほんとうだ、返事してくれた
のよね?ありがとうチュホン」

「ふっ…日が落ちぬうちに
宿に着かねば、ここは野犬が多い故」

「え!わ、分かった急ぎましょう」


こうして宿へと急ぐ三人


「ん?この景色なんだか懐かしい」

「・・何を言っておるのだ」

「え?なんだか暗くてよく見えない
んだけど、懐かしい感じがするのよ」

「あの折、馬で駆けた道だぞ
その為ではないのか」

「分からないわ、でもなんだか
懐かしいの…気のせいかしら」

辺りは鬱蒼と草木が生い茂り
日のひかりさえも通るのを拒む
ように見える


宿にたどり着いた三人
ヨンが先にチュホンから降りると
いつもの様に腕を広げ飛び降りるウンス
を、抱き留める
宿の男衆に馬を預け
早速、女将に離れに案内してもらう

「ふふふ…たまの外泊…えっとお泊まり
も素敵…テマン君の部屋も見たいわ
物件見て廻るの若い頃から
大好きなの…駄目かしら?」

「では、母屋のテマンの部屋へ
夕餉を運ばせる故その折りに如何です?
先に、湯浴をせぬば疲れが取れぬで
あろう」

「うん、身体のあちこちが痛いかも…
でも、明日には江華島に渡り、お墓参り
済ませたいものね…じゃ温泉
行きましょう、楽しみだわ…ふふふ」

ウンスは瞳を輝かせヨンを見上げると
ヨンもまた目元を緩めウンスを見つめる
だが、警戒も怠りはしない

「テマン…分かっておるな」

テマンは頷くと身を翻し
外湯を偵察に向かう

通された離れは、布団が二組用意して
あり、座卓が部屋の真ん中にある
ごく普通の宿の風景である、目玉は
離れ専用の外湯があるが…



「おい!ここら辺の女人と違うのか
赤茶けた髪の色といいよ…それに
いい匂いがしたんだ…なんとも
言えん甘い匂いが・・おい!いつもの
場所で…浮かんでくら~堪らん…
拝むだけだ、見つかるなよ・・・」

男衆二人は外湯を眺められる
秘密の場所へと鼻の下を伸ばし、にやけ
顔で向かう


「ウンス、下衣は着けたままで・・」

「え?どうして…離れ専用だから
貸し切りでしょう?それにぴったり
身体に引っ付くから苦手なのよ」

「いくら貸し切りとて、どこに
目があるか分からん故」

「もう…心配し過ぎよ
それにこれだけ、真っ暗なんだから
見えやしないわよ…」

「ウンス!」

「分かったわよ、そんなに怖い顔
しないで…ね?一緒にはいる?」

「辺りは真っ暗故、夜目(やめ)が
効かぬウンスを、一人にすると
お思いか…ん?」

「ふふふ…悪戯しないでよ」

「いくら俺とて、外では自制する
案ずるな…その代わり・・」

「もう~見つめないでよ、照れます…」

脱衣場で十分いちゃつき
二人は共に、下衣を着けたまま
湯に浸かる


「はあ~気持ちいい~、温泉かしら」


がさごそとテマンが茂みに向かい
駆け出す

「ウンス!!湯から出てはならぬ!」

「え?何?どうしたの…」









「あ~頭いたい・・」

「トクマン先輩…もう陽も暮れましたよ
今頃起きて来ても…」

「煩い!頭に響く、大きな声を出すな」

「・・昨日の事、覚えてますか?」

小声で話すハヌルの一言が、トクマンを
目覚めさせる

「おい、ハヌル俺酔って覚えてないんだ
何かしでかしたか?」

「嘘!!」


「トクマン!!ちょっと部屋まで来い」

その声に、トクマンとハヌルが
振り返ると
チュンソクが眉間に皺を寄せ、腕を組み
睨み付けている…

「はっっ…」と気の抜けた返事を
返し、チュンソクの後をついて行く


「お前は当分酒は控えろ!」

「はい…護軍、俺何か遣りましたか?」

「覚えておらぬのか!馬鹿者が!」

チュンソクは披露宴での
トクマンの失態を話して聞かせる
徐々に身体が震えだすトクマン…

「・・まったく覚えがありません
まさか大護軍に向かいそんな事を・・・
そんな~」

トクマンはがっくり肩を落とす・・・

「大護軍が戻られたら覚悟する事だ」

「覚悟って…まさか、雷功でどかんと
飛ばされたり、鍛練が倍になるとか…」

「それくらいで済めば喜ぶ事だ!」

「ま、まさか?助けてくれますよね
護軍、見捨てないで下さいよ」

ヨンより僅かに高い背を丸め
椅子に座るチュンソクを
懇願の眼差しで見つめる

「俺…も、医仙様見たいな女人と出会い
たい、まだ死にたくありません・・」

「お前が嫁御を娶る?俺が・・・・」

「え?護軍…そんな女人がいるんですか
えぇぇ--」

「煩い!静かにしろ!お前だけには
教えぬ、すぐに広まる故
兎に角酒は慎め!分かったか!」

「はい…」


とぼとぼと肩を落とし部屋を出て行く
トクマンを見つめ、チュンソクは思う

まったく…これだからいつまでたっても
隊長にはなれぬのだ…精神ともに
鍛えあげねばなるまい


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