木春菊  [偕老同穴] 証 3 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「お~~だけど、あれはないぜ
なんで下衣纏っているんだよ
離れは貸し切りなんだ、チッ脱げよ~
旦那も邪魔だよ…見えねぇぞ」


「お前ら、死にたくなければ
そのまま振り向け!前を見るな!」

テマンが男衆二人の頚に両腕を回し
小刀を突き付けていた

「な、なんだよ、連れの小さい奴か
お前も覗きたいのか?ほら、代わって
やっからそのぶすそうなものしまいな」

茂みには草を刈り身を潜める場所を
ご丁寧に用意してある

こいつら度々覗いていたな…
それと大護軍と比べるから
小さく見えるだけだ…余計なお世話だ!

テマンは直感で感じ一人ごちる


がしゃがしゃと雑草を踏みしめる音と
共に、ヨンの前へと二人の引き摺る
テマンが現れる

「宿の男衆のようです…」

「やはりな!殺気は感じられなんだ
ウンス…暫しの辛抱を」

「えぇ分かったわ」

テマンの行く先を
睨み付けていたヨンは
ウンスを背に庇うように立ち上がって
いたため、幸い覗かれてはいない

岩に立て掛けていた鬼剣を手に取ると
ざぶんざぶんと音をたてながら
テマンに近づき二人の男を睨み付ける

「死んでみたいか…」

低く怒りを込めた声は、男衆が
震え上がるには十分だった

「ひぇ~お許しを旦那様
ほんの出来心でして…の、覗いても
おりません…どうか命だけは
お助けくださいまし…」

そう叫びヨンの前でひれ伏した

「このお方はな~---」

「テマン!…よい、お役目ではない
お前機嫌が悪いな、どうした?」

「・・・小さいと馬鹿にされた・・
しかし、こいつら度々覗いていた痕跡が
草むらにありました!」

テマンは眼をひんむき怒りを露に
草むらを指

「・・貴様ら女人の裸を覗くとは
言語道断!!しかも俺のウンスを覗く
など許せぬ!」


「ヨン…逆上せる・・・」

その声に、ヨンは我にかえり振り向く
湯の中でも、何の違和感も感じぬ
ように、ウンスのそばまで歩みよる

「ウンス…すまぬ、大事ないか
テマン!そいつらを女将に突きだし
離れに、水を持って参れ」

「は、はい!」

さっと横抱きにすると、離れまで
突き進み、扉を激しく蹴りあげる

「暫し待っておれ」と床に静かに
下ろすと布団を敷き
ウンスの濡れた下衣を脱がし
丁寧に手拭いでふいている
そこに一切の
情欲の欠片も感じられない

「ありがとう、ヨンも着替えて
風邪を引くわ」

「俺は風邪など引かぬ…」

「でもそんな姿じゃ・・・」

下衣がびっしょり濡れで身体に張り付き
逞しい胸板引き締まった臀部が露になり
妙に男の色香を感じさせる

「ヨン…女将が来るかも知れないわ
そんなヨンの姿、誰にも見られたくない
の…お願い着替えて・・」

その言葉に目元を緩めると
そそくさと下衣を脱ぎだす


「水をお持ち致しました、女将に
ございます、お開けしても?」

「暫し待て・・・」



「開けてよいぞ」

「はい、では失礼致します」

「この度はうちの男衆が・・・」

女将の言葉を遮るように
ヨンは立ち上がり、盆に置かれた
湯飲みを持ち上げ、ウンスのそばに戻り
上体を起こすやる

後ろに手を回し楽な体勢で
湯飲みを口に運んでいた

人がいなければ
口移ししたいところだ

「あ~生き返るようよ、もう少し
ちょうだい」

「旦那様、奥方様この度はうちの男衆が
とんでもない粗相致しましたこと
誠に申し訳ございません」

女将は床にひれ伏し額を
擦り付けていた

「女将!」

「は、はい!旦那様」

「今宵は、お役目で赴いた訳でない故
咎めはせぬが、俺の奥の裸を覗き見る
とは、夫としては決して許さぬ!」

「それは、重々承知しております
宿代はお返し致します、で、
お役目ともうしますと?」

「この方は大護軍様だ~!」

テマンは小さいと言われた事を根に
持ったのか、悔しそうに唇を噛みしめ
床を踏みしめる

「テマン!」

「あ、すみません…」

「大、大護軍様?帰還の行列も
こちらは通る事は
ございませんでしたので
お顔は知りませんでした…ですが
名は聞き及んでおります
チェ・ヨン様でございますね」

「ああ…」

「お詫びの印にと言っては
なんでございますが、当宿では妓廊も
営んでおります…是非こちらの殿方と
共に脚を運んで頂きたく
お代は勿論お取りするつもりも
ございません」

女将はテマンの方をちらりと見ると
ヨンを再び見やる

「・・・そのようなところに
赴くつもりもない」

「まあ、そう固いことおっしゃらずと
も…殿方ならお好きでございましょう」

「・・俺の名を知っておるのなら
医仙の名も聞き及んでおるな」

「はい…天よりいらした不治の病をも
治す神の手をお持ちと、聞き及んで
おります」

「俺の奥、即ちユ・ウンスは王様より
賜りし名は医仙と申す」

「え?えぇぇ---!それは
大変な粗相を致しました、私めが寝ずの
看病を致しとう存じます、殿方は
どうぞ妓廊の方へ」

ばたばたと血相を代え布団に横たわる
ウンスの元へと駆け寄る

困惑顔を露にするウンス、そして
悲しい気がヨンに伝わる

「触るでない・・・」

「へ?」

「ウンスを悲しませる者は例え女人とて
俺は許さぬ!退け!!!」

「ひぇ~~」

声を張り上げ、立ち上がるヨンの形相は
流石に、女人相手に雷功こそ
纏ってはいないが、全身から漂う気配は
女将が腰を抜かすのに十分であった

四つん這いでなんとか部屋から
逃げ出す女将


「ふぅ~すまぬ…ウンス・・
大声を出した…大事ないか?俺が妓廊に
赴くとでも思うたか」

頚を左右に振り「信じてる」と
赤ら顔でぽつりと呟く

「テマン、何か食い物と水を
調達してくれぬか、お前の分もだ
宿から出される物は、一切口にするな」

テマンが頷くと、その場を後にする

テマンの気が消えると、ヨンは
ウンスの横に、身体を滑り込ませ
その胸に抱く

「・・・ヨン、ごめんね…今日は
無理かも・・・」

「ふっ…いくら俺とて弱っておる奥に
無体な真似はせぬ」

「うん、ありがと…でもなんであんな
熱心に進めるのかしら…?」

「俺の肩書きで妓廊の格が上がると
踏んだのではないか」

「そんなものなの・・」


四半刻過ぎた頃テマンが戻る
外套の中に、沢山の果物をいれ…

「どうしたの?こんなに沢山」

「どこにも店がなく…この時期なら
山に、枇杷(びわ)や野いちごが
ある事を思い出したんで
取って来ました、たくさんあります
食って元気になって下さい」

テマンは恥ずかしそうに赤ら顔で
二人の前に差し出した

「すまぬな、テマン、お前も食え」

「はい!」

ヨンは小刀を持つと、器用に枇杷の皮を
剥き、せっせとウンスの口に運ぶ

「ありがと…ヨンも食べて、はい
あ~ん」

ヨンがちらりとテマンを見遣ると
「もう慣れました…気にしないで
下さい」とませた口をきく


あ~んと口を開けると、ぽいと
枇杷(びわ)が舌の上にのせられた

「ふふふ…まだ若いけど
美味しいでしょう?」と小首を傾げる

「ああ、うまい」

「大護軍、俺部屋の前で番をしてます
あの女将がどうも気にいりません」

「好きに致せ、だが布団は母屋から
持って来い、廊下は寒い故」



時が過ぎ足音を忍ばせ
離れに近寄る人影
女将と男衆だ

「なんだい、見張りがいるよ
大護軍様を眠らせてでも、脚を運んで
貰おうと考えていたものを、邪魔だね
あの見張り」

「女将、あの男を小馬鹿には
出来ないですよ、音もなく現れ
気が付いたら、俺らの頚に
小刀が突き刺さっていたんだ」

暗闇の中、覗きに使っていたあの場所で
額を付き合わせ小声で話す、女将と男衆

「帰りも寄るはずだ
ここら辺は宿はないからね
その時に、この薬を使うとするかね」


「全部聞こえてるよ…まったく
懲りない奴等だ
大護軍に歯向かうとは、命を粗末に
するなよ、寄越しなその薬…」

「だ、誰だい真っ暗で見えやしないよ」

「名乗るほどでも、だが俺らが
知らん薬を使おうなんて、それが
許せないだけだ」

手刀を使い女将と男衆を眠らせると
宿の前の木に、縛りあげ
そして若い二人は音もなく消えた

その時、ヨンとテマンの片頬が
あがったのは言うまでもない


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