木春菊  [偕老同穴] 125 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「なに?迂達赤に囲まれてだと!」

「は、はい!」

ヨンの形相にテマンの腰が
些か引きぎみだ

「な、なに?どう言うこと…」

「ウンス… 迂達赤が囲むなど誰がおる
参るぞ」

ウンスの膝からガバッと起き上がり
その手を取り駆け出す

「ヨン?どうしたんだい」

マンボ姐が声を掛けても無視し
屋敷の門へと駆ける

「はあ…はあ…ヨン走れない
衣が・・・」

ひょいと横抱きにすると
門の外まで飛び出す

瞬時にヨンの形相が変わり
苦虫を噛み潰したような顔をする

「ヨンまさか…」

「そのまさかのようです」

横抱きのままウンスが声を掛ける
と、眉間に深い皺を刻み前を睨みつける
大護軍がいる、それは輿にではなく
迂達赤にだ

「おろしてお願い…」

ゆっくり下ろされ、ウンスは街道に
瞳を移す
王様が 迂達赤の鎧を
身に付け歩いていた…

輿と 迂達赤コンミン様を
護るように、回りを囲んでいる


「ねぇヨン…王様が歩いていらっしゃるわ、あ!輿の後ろに叔母様が隠れる
ようにいらっしゃる・・」


ウンスは駆け出す

「ウンス!!」

そう叫びヨンもすぐに後を追う

「やっぱり…叔母様!どう言う事ですか
え?王様が歩いていらっしゃる?
叔母様が共をしていらっしゃる?
ならこの輿は?え~~!!」

ウンスの素っ頓狂な声に民も驚き
「なんだ」「どうした」と回りを囲む

「これ、ウンス大声を上げるでない
民に感ずかれては、騒ぎになる
兎に角屋敷の中へ…」

「あ…はい・・」

驚きと興奮で
倒れそうになるウンスを抱き抱え
ヨンはチュンソク、トクマンを
ぎろりと睨み付ける
屋敷へと戻る


輿ごと屋敷の中にどうにか入れる
事が出来た
開けっ広げだった屋敷の門が
固く閉じられると
輿が開けられ、王妃様が王様の手を借り
微笑みながら降り立つ


「王様…何故このような事を
しかも、王妃様までお連れになるとは」

ヨンの眉がピクンと動く

「大護軍…そう怒るでない、余は疲れた
何か飲み物をくれぬか」

「王様、某がお送り致しますれば
王宮にお戻り下され」

「戻らぬ…余はもう歩けぬのだ
屋敷がこれ程遠いとは思いもよらず
考えが甘かった・・兎に角暫く
寛ぎたい」

地に伏していたチョンスとエギョン
気をきかし冷たいお茶と椅子を用意する



「チュンソク!!お前が隠していたのは
この事か返答せぬか!トクマンお前も
知っていたのか!」

ヨンの怒りは収まるところを知らない
もし鬼剣持っていたなら怪我人が
出たかも知れないところだ

「ヨンお願い興奮しないで…
王妃様のお身体に障るわ」

ウンスが懇願の眼差しでヨンを
見上げると、どうにか怒りを
押し留める事が出来た

「チェ・ヨン俺も一枚噛んでおる許せ
だがな、王命には逆らえぬ
護軍をあまり叱るな」

「そうだ、大護軍…チュンソク護軍に
罪はない…余と王妃の我が儘故」

「されど…王様チュンソクの立場ならば
身体を張りお止めせねばならぬのです
王様、王妃様を危険に晒すなど
有ってはならぬ故」

「輿も揺れが伝わらぬよう細工を
しておる、余は王妃も赤子は大事故
それに侍医も薬員も連れて参った
故にもう怒りを静めよ」

「・・・・」


ふとあの方に瞳が向く
俺と王様が話を交わしておっても
あの方は、王妃様の身を案じ
東屋に手を添え連れていく
エギョンに温かいお茶を運ぶように
と、侍医とトギも連れておる
あの方の事だ、抜かりはない筈

「王妃様、無茶し過ぎです」

ふっ…あの方が腰に手をあて
王妃様にまくし立てておる
そうだ、それがユ・ウンス本来の姿
相手が誰であろうと臆する事なく接する
俺の唯一無二の女人
今宵俺の想いを伝える故
ウンスや…貴女は
貴女のままでおればよい

ふっとヨンの顔に笑みが浮かぶ

「どうしたのだ、大護軍もう怒らぬのか
顔が歪んでおるぞ、・・おお…すまぬ
笑うておるのか?」

「王様…お戯れを某が笑うなど…」

ん?俺は笑みを浮かべていたのか…
面白い…クックッと口に拳をあて低い声を
あげ、罰が悪そうに晴天の青空を仰ぐ
そして顔を引き締め言葉を繋ぐ


「チュンソク!二度目はない!」

「はっ!」

「王様、我らも東屋の方へ参りませぬか
ゴホッ…恋しい奥が待っておりますれば
……」

ヨンは、戯れ言を初めて口にする
瞬時にその頬は桜色に染まった

王様始め 迂達赤は開いた口を塞ぐ
事もせず、ただただヨンを見つめていた




「良かった…お変わりないようです
王妃様…ですが、もう許しませんよ
主治医の言うは絶対です」

「妾の主治医とやらは怖いのぉ~」

王妃は笑みを浮かべウンスを身遣る
その横にで叔母は胸を撫で下ろす

『はあ…無事で安堵した、されど…
私は嫁御といい、王妃様といい
女難の相でもあるのか…』

「東屋、とっても素敵です
王妃様、叔母様お気遣い…
本当にありがとうございました」

ウンスは微笑みペコリと頭を下げる

「イム侍医、トギも本当にありがとう
我が家の宝ものだわ、み~んなの
気持ちがほんとに嬉しい・・」

「いや、医仙殿、我々典医寺は微々たる
もの…チェ尚宮様が・・」

「これ!侍医余計な事は言わずともよい
皆の心根ゆえ、ありがたく受け取れば
よい…」

叔母は照れたのか、侍医の言葉を遮り
そっぽを向きながらポツリと呟く

「はい…そうさせて頂きます…
これからとってもいい季節に
なりますから、ちょくちょく使わせて
頂きますね」



「ウンス…」

ヨンが笑みを浮かべ
王様と共に東屋の中へと
脚を踏み入れる

「王様…ちと小さくはございませぬか」

「王妃、これでよい、広ろければ
大護軍がやきもきするであろう?
医仙殿の行動は、先が読めぬ故…」

「・・王様、ひどい・・・」

ウンスが口を尖らせ幼子の様に
呟くと、皆がどっと笑い
東屋に、幸せな春の風が
皆の頬をすっとなぞり通り過ぎる


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