木春菊  [偕老同穴] 124 | シンイ二次小説でんべのブログ

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結果的に屋根のない馬車から
降り、回りを禁軍に囲まれ三人と
チュホン、歩いて屋敷へと向かう
鬼神と言われる大護軍の人となりを
垣間見た民は、改めて大護軍チェヨンを
神と崇めたかも知れない


「・・・貴方のファン…支持者が
間違いなく増えたわね」

「そのような者俺にはいらぬ
ウンスがおればそれでよい」

「ふふふ…ありがと、私頑張った
でしょう…泣かなかったわよ」

手を絡め寄り添う様に歩き
時に見つめ合い微笑む
そんなひとときが二人には嬉しかった


ああ、女人が主役と言う婚儀でも
涙を見せる事なく、母上の形見の品に
心を馳せて下された
もっと華やかな衣を纏えば良いものを
貴女のその心根に、俺は答えねばならぬ
後で叔母上に問うとしよう
華やかな衣を着せて遣りたいと
だが貴女には教えてやらぬ
俺からの贈り物故…

そう思いヨンはウンスの顔を覗き見る

「ん?どうしたの」

「いや…」

「変な人…」




「あのお方が大護軍様なのかい
拝めるところじゃないな、兵が邪魔で
でも…心根はお優しい方なんだよ
見たかい…今の…わたしももらい泣き
したよ」

「そうだよな…男の俺でもぐっと
来るものがあったさ」

などと民は興奮ぎみで口にしている



「早ようせぬか!輿の支度は整って
おるな?余はこれより 坤成殿に籠る
何人たりとて近づけてはならぬぞ
武閣氏にそうきつく伝えよ」

「しかしながら王様…誠に王様が王宮を
抜けるなどあってよいものかと…」

「チュンソク護軍、くどい!
故に手を貸せと申しておる、早よう
鎧をこれへ…王宮を抜けるには
この姿ではまずかろう
輿の振動が王妃に伝わる事は許されぬ
ふかふかにしておるな!」

「はあ…してはおりますが・・・」

『俺は死なねばならぬのか・・・』
がっくり肩を落とし王命に従う
チュンソク…



「王妃様…誠、行かれるのでござい
ましょうか…」

「チェ尚宮…妾は散策に赴くのじゃ
王様は妾と入れ違いでこちらに
入らし、妾をここで待っておるのじゃ」

「されど赤子に差し障りなどあろう
ものなら、このチェ尚宮の頚一つで
済む話ではございませぬ故
どうぞお考え直しを…」

「大事ない…輿にも細工がしてあると
王様が仰せであった…早よう支度を
迂達赤コンミン殿がいらっしゃる」

一度言い出したら聞かぬ
どうしたものか・・
一臣下に過ぎぬ甥の屋敷に赴いたと
知れ渡れば、重臣らの爺どもは
あやつと嫁御を攻め立てる…
赤子のこともある・・・


チェ尚宮は王妃様のおそばを
行ったり来たりと悩み続ける



漸く屋敷が見えてくる
チョンス、エギョン、マンボ兄妹と
スリバンが満面の笑みを携え出迎える

「旦那様、奥方様・・んんっ…
改めてご挨拶させて頂きます
本日は誠におめでとうございます
そして勝ち戦と聞き及びしております
重ね重ねおめでとうございます」

エギョンの挨拶に一同が揃って
頭を下げる

「ああ…世話を掛けた」

「宴の支度も整ってございます
さあ…中へ」

屋敷の門を潜るとヨンがそこに立ち竦む

「・・叔母上の離れと聞いて居たが
あれは、どう見ても東屋ではないか
どう言うことだ」

「本当だ…小さいけど東屋よ
どうしたのこれは…」

ヨンの後ろからひっこり顔を出し
ウンスも驚いている

「ウンス、知っていたのか?」

「知らないわ、天幕がずっと被せて
あったし、私も今初めて見たんだもの」

庭の中程に、重厚な屋敷と似合う
木材の温もりを感じさせ、杉の木の
匂いが漂う東屋があった
五人も腰かければいっぱいの
広さではあったが、北の方角は壁で
しっかり塞いであり棟梁の気遣いが
伺える…

「テマン!何か知っておろう申してみよ
嘘、隠し事、俺は好かぬ
分かっておろう」

ヨンの前に、恐る恐る顔を出したテマン
重い口を開く

テマンは、ほあいとでーの返しに
何かしたいと、迂達赤の新兵が
言い出し、それが王様、王妃様の
耳に届き、典医寺も含め
みんなで出し合い完成に至った事を
ぽつりぽつりと話す

「も、勿論俺も少しだけど出しました
でもチェ尚宮様と王様と王妃様が
どんと出したと聞いています
絶対しゃべるなとチェ尚宮様に口止め
されていました…すみません
黙っていて・・・」

テマンは土下座する勢いで深々と
頭を下げる

「いいのよ、テマン君…頭を上げて頂戴
ヨン…もう建ってる物を壊す訳には
いかないわ…元々私がトギと
ホワイトデーの話をしていて
それを警護の迂達赤に聞かれたのが
いけなかったの…もっと配慮すべき
だったわ…だから怒らないであげて
気持ちよく頂きましょう」

「・・・テマン後は何も隠しては
おらぬな」

「何も隠していません!」

「ならばよい…すまぬな大きな声を
出して…」

そう言ってウンスとテマンに優しい
笑み浮かべる

だが…

叔母上まで知っていたのか
離れなどと・・まったく

「チョンス、エギョン聞いてくれ
この婚儀で、重臣らが祝いの品を
届けるやも知れぬ…俺と奥が留守の折り
屋敷に届いたなら、丁重にお断りして
帰ってもらってくれ」

「心得ました…旦那様」


「ヨン、硬い話はもう良いだろう
ウンスが疲れちまうよ」

「ああ、すまぬ…皆、今日は無礼講ゆえ
明日のお役目に障りが出ぬよう
飲んで食ってくれ…マンボ門の外にいる
民にも振る舞ってくれ、アンジェ
お前も遠慮するな」


卓の上には酒とツマミがのっており
一卓ごと火鉢が添えてあり
鍋ごとクッパが置かれている
もう春とはいえ、外での宴に
身体が暖まるようにと
マンボの心配りであった


「ウンス…せっかくだ東屋に腰かけぬか
俺も些か疲れた・・・」

「うん…ふふふ」

ウンスの肩を抱き二人は東屋へと
脚を踏み入れる

「その姿では寒かろう」

と…ひょいとウンスを抱き上げ膝の上に
座らせる

「皆が見てるわよ・・いいの?」

「ああ、構わぬ晴れて夫婦となったのだ
誰に遠慮がいるものか?だが正装の
鎧を身につけておると、ウンスの肌に
傷がつくやも知れぬ、手伝って
くれるか」

「勿論よ…」




「あ~酒でも飲まなやってらんねな…
ヨンの奴見せ付けてやがる!」

「仕方がないさ、ずっとこの時を
待っていたのさ、あんたも知ってる
だろう、あいつの死んだ目を
もうわたしゃ御免だね、あんな苦し
そうなヨンを見るのは・・
見てごらん笑っているよ」

「ふん、知らねえな…」

そう言う師父の鼻以上に瞳が赤い

「さっさと分けるよ、手伝いな」

「あいよ…さ、みんな飲んでくれ
屋敷に入る事は出来ないけど
主からの大盤振る舞いだ
勿論お代はいらねえよ~」

そう叫びながら酒とクッパを配る



「まだちょっと寒いわね・・
雨も降らず、こんな晴天で良かった」

「ああ…そうだな、ウンス膝を貸して
くれ、前から頼みたかったが
遠慮しておった・・・」

ヨンは後頭部を照れくさそうに
擦り、「ん?」と言う顔をし
ウンスを見つめる

「そんな事…遠慮しなくても
いつでも言ってくれたら良いのに」

ウンスはそう言って
自身の膝をポンポン叩く

ごろんと横になると
長い脚をもて余すように膝を立て
脚を組む

「ウンス…」

「なあに…」

ヨン見上げウンスが見下ろす
二人の顔が近づき・・・今にも…


「大護軍、輿が 迂達赤に囲まれて
輿が到着しました」


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