木春菊  [偕老同穴] 103 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ヨンは有無を言わさず、ウンスの手を強引
に取ると引きずるように、私室へと
連れて行く…

「ヨン…どうしたの痛いんだってば」

私室の椅子の上に、無理やりウンスを
座らせる

「何故笑顔を振り撒くのです…?」

「え?何が笑顔って…治療するのに
むっつりなんて出来ないわ…話もするし
微笑んだりするわよ」

「貴女の笑顔は俺だけのものです
違いますか?他所の男になど微笑まいで
貰いたい!」

「えっ?そんなの無理よ…私は医員
なんだし、患者さんには
何にも感情なんてないわよ」

ウンスは頬を膨らませぷぃっと横を向く

「ウンス…貴女は、俺の奥に
なるのでしょう?ならば俺だけに
微笑えんで欲しいと思うのは、俺の
我が儘やも知れぬが、目の届かぬ所なら
いざ知らず、目の当たりするのは
堪えられぬ!」

「そんな事言われても……これがお役目
なんだし、どうしろと?それに、大護軍
の奥は無愛想で…なんて言われていいの
私はそんなの嫌よ」

ヨンは椅子を持ち、互いの膝頭が
ぴたりと寄り添うとウンスの手を取り
瞳を見つめ言葉を繋ぐ

「イムジャ…俺は人一倍心が狭いのやも
知れぬ…故に俺だけを見ていてくれぬ
か…」

「・・・ヨン…二人の時はもちろん
貴方はだけを見て、感じているわ・・
でも…お役目では、そうは出来ない
私は、根っからの医員なの
前にも話したでしょう?分かって欲しい
愛想笑いもするだろうし、怪我人が
いると聞けば飛んで来るわ
目を瞑る事は出来ないの?」

「ウンス…」

ヨンは唇を噛みしめポツリと名を呟き
黙り込む

「ヨン?」

「・・・」

「ヨンってば!聞こえないふり?」

「・・・」

「・・・もういい!私もどるわ!」

ウンスはそう吐き捨てると私室から
飛び出して行った

「ウンス!!」

「大、大護軍・・・」

ヨンは声を張り上げ名を呼ぶが…

テマンがウンスの背とヨンの様子を
窺い、心配顔でヨンの名を呟く

「はぁ~・・・ 典医寺に戻る筈
互いに頭を冷やさねばならぬ故、暫く
一人にして差しあげろ・・後から
覗きに行く故、案ずるな…」

「はい…」

テマンはそう返事はしたものの
『武閣氏が護衛についてる筈だけど
様子だけ見に行こう』と少しでも
ヨンが言うように、一人にして
差し上げようと、ゆっくり歩いて典医寺
へと向かう



駆け出したウンス…

『ヨンのわからず屋…どうすれば
いいのよ…んんっ絶対泣かない…』

ウンスはそう思い唇を噛みしめ
典医寺へ向かう

「あれ?一人で、目を赤くされていた
ような…」

チョモはそう思い
ウンスが走り去るのを目で追っていた

「痴話喧嘩でもされたか?
まあ夫婦(めおと)とて喧嘩くらいは
するであろうから、そっとして差し上げ
るのが、一番の策だな…」



「勢いに任せて飛び出して来たけど
あれ…ヘジンとカンが居ないわ
兵舎の門で待ってる筈なのに…」

ウンスはキョロキョロと頭を振り
武閣氏を探すが、何処にもいない…

「 まあいいわ、典医寺に戻らないと
えっと…確かこっちの筈、ん?違うかな
ここって…外に出てしまったの…
門も潜ってないのに…裏門?」



テマンは、武閣氏二人と兵舎の門で
出くわす

「ん?医仙様は一緒じゃないのか」

「え?まだ戻られませんが…」

「!!走って戻られたんだ、ここは
通っていらしゃないのか?」

「はい…お通りしてはおりません
大護軍様とご一緒ではないのですか?」

「すぐに典医寺へ行って確かめてくれ
俺は兵舎を探して見る!」

「は、はい!」

其々が眼を見開き
ヘジンとカンは、典医寺へ走り
テマンは、兵舎へと踵を返す

『どこだ、何処にいる!
医仙様は方向音痴の筈だ~あ~もう…』

テマンは、頭を掻きむしりたい衝動に
駆られる…

必死の形相でテマンが兵舎の中を
駆けずり回っていると

「テマンさん~どうしたんですか?」

そんなテマンを見やるとハヌルが
声を掛ける

「い、医仙様を見掛けなかったか」

「ここは、お通りしてないのか…」

「医仙様がどうかしたのですか」

「いや、なんでもないんだ…けど
もし見かけたら、必ず大護軍の元へ
お連れしてくれないか」

「分かりました、お知らせします」


「侍医殿~~医仙様はお戻りになられま
せんでしたか?」

「どうしたんですか、兵舎に他の医員と
行ったままですが…」

「え?兵舎を飛び出したらしく
こちらには、まだお戻りではないのです
ね」

ヘジンとカンは、互いに顔を見合せ
焦りの色を滲ませる

「カン、テマンさんへ伝えて
私はチェ尚宮様に伝えに走るわ
侍医殿、もしお戻りなられたら
知らせて下さいませ、失礼致します」

「こ、心得ました…」

侍医は、瞳を瞑り辺りの気を探るが
近場にはウンスの気を感じる事が
出来ないでいた…

侍医も焦り始める

「確か方向音痴とおっしゃていらした筈
王宮の中に、留まっておれば良いか…
私は、ここを留守には出来まい・・」


カンは兵舎までたどり着いたが
女人禁制の兵舎!容易く通して貰えず

「大護軍様に、いえテマンさんでも
良いから、早くお呼びして下さい!」

「わ、分かったから、暫くここで待て」

そう門番は言い残し兵舎の中へと
姿を消した…


皆が血相かえてウンスを探している頃
アスピリンの薬瓶に、小菊を
忍ばせいるのがウンスに見つかった
あの場所に一人佇んでいた


「はあ…何をしておるのだ俺は・・・
謝らねばならぬ…あの方と離れてなど
生きては行けぬ…」

「お前は何をしておる!!」

「一人にしてくれぬか、ん?されど
何故…俺の事を探していたのか」

「ウンス…が 典医寺に戻ってはおらぬ
喧嘩をしたのか…」

「なに!!兵舎を飛び出したが一人に
して差し上げろと、テマンも護衛には
付けてはおらぬ」

「ウンスは方向音痴だ、王宮の中で
迷子なら良いのだが…」

「すまぬ、叔母上お叱りはあとで
受ける故、今は探すのを
先にさせてくれ」

「ああ、そうしろ私も探す故」

そう二人は頷き合うと左右に別れ
駆け出して行った…


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