木春菊 [里程]  1 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「くれぐれも抜かりなく頼む
では参るとするか・・」

朝日が昇る頃、禁軍、駐屯兵の見送り
受け、ヨンは馬上から迂達赤を見回し
声を張り上げる

「出立!!」

あれから数日が過ぎ
都から交代の禁軍が到着し
引き継ぎを済ませ
都に向け出立出来る運びとなった

トクマンも大事に至らず
共に帰還できる喜びを噛み締めている

牢車は二台に分け
それぞれ護軍と徳興君が後ろ手に
縛られたまま乗っていた
徳興君は大きめの布地を頭部から
左目に掛けて巻き
無惨な姿をさらけ出している

ヨンとウンスが並び
その前後をチュンソクとテマンが
固めていた
その後ろに牢車と
他の迂達赤十数名が続く


「イムジャ、大事ないか?」

「え?流石にお尻が痛いかも
少し休憩出来ないかしら」

ヨンは何度もウンスを気遣い
声を掛けてきたが
二刻も馬上ではウンスも根をあげた

「テマン!」

テマンは頷くと馬を走らせ
休憩場所を探しに行く


「この先に小さな村があります、飯屋を
押さえてきました」

テマンが戻りヨンに報告をする

「テマン、すまぬが飯屋で
握り飯と水を調達してくれぬか」

そう言うとヨンは懐に手を忍ばせ
お代をテマンに持たせる

テマンは頷き再び馬を走らせた


「この先に川があった筈です
そちらで休まれては」

戦の度に大群を引き連れ
何度も通った道、チュンソクの頭には
すべて収められていた


「さあ、イムジャ、飛び降りて
俺が受けとめる」

ヨンは愛馬を降り、トクマンに任せ
ウンスの馬の横で両腕を広げた

『えい!』と勢いをつけウンスは
ヨンの胸に飛び込む

「ふふふ・・ありがとう」

広く筋肉に覆われた胸に収まり
ウンスはヨンを見上げ呟いた
その笑顔にヨンの頬も緩む


テマンが戻り握り飯と
水の入った竹筒を皆に渡す

「牢車の二人にはどうしますか?」

「渡してやれ、しかし片腕は牢車に
縛りつけろ」

テマンは頷くと
ヨンが言っていたように
手際良く片腕を縛り、握り飯と竹筒を
持たせた

迂達赤は握り飯にかぶりつき
水で流し込み、馬に水を飲ませに
川へと下りて行った

手頃な石を見つけ二人で腰かける

「トルベさんは王様の所なの?、私が
知ってる人はあまり少ないから」

「・・・トルベは・・もういません」

ヨンは苦しそうに顔を歪め呟く

トルベが自分の手になり
亡くなった事をウンスにすべて話した

「そんな事があったのね、知らなくて
ごめんなさい、無神経だったわ」

「そんな事はありませぬ、いずれ
折を見て話すつもりでおりました」

ウンスは両手で顔を包み
肩を揺らしていた

「泣かないで・・ウンス」

ヨンはそう呟くとウンスを
優しく抱きしめ背中を擦り続けた



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