木春菊 [里程] 2 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスが落ち着きを取り戻し
二人も握り飯を頬張る

「牢車と共に戻るゆえ、宿に泊まる事は
叶わぬが、よろしいか?」

「勿論よ、なに?
私が我がまま言うとでも思っていたの
食べ物だってそうよ、兵舎から
何か持ってきたわよね
それで構わないのよ」

『はあ・・』とヨンはため息を吐くと
我が儘を言わぬウンスに愛しさが増し
知らず知らずに頬が緩む

「湯浴は宿で段取りを付けるゆえ」

その時、目の前の川ではトクマン
テマンが上半身裸になり
身体を拭きだした

『ぎゃ~~』と、ウンスは悲鳴をあげ
瞳をきつく瞑り手の平で覆っている

「患者の裸は割りきれたけど
これは・・・」

ウンスをひょいと持ちあげ
向きを返え座らせるが・・

「ウンス、男の裸を見たと申したか
何の為に見たのだ?」

ヨンは眉間に深い立て皺を刻み
ウンスに顔を近づけ詰問する
 
「え?待ってよ、患者さんだから
仕方がないじゃない
あの時ヨンの裸も見たわよ
だって衣のままでは
手術なんて出来ないじゃない」

ウンスはヨンの瞳を見つめ
必死に説明しようと試みるが

『俺の裸も見たと・・だが・・
他の男も見たと申したか・・・』

ヨンは瞳を瞑り押し黙った

「ヨン、どうして黙ってるの?」

「なんでもありませぬ」と
顔を背けてしまう

先程までの態度とは明らかに違う
ヨンの態度にウンスは戸惑う



休憩を終え少しでも、距離をかせぎたく
先を急ぐが、ヨンの心のざわつきは
広がるばかりであった

「ヨン?ヨンってば・・聞こえないの?」

「舌を噛むゆえあまり話さぬ方が
よろしいかと・・」

『まいったな・・おもいっきり敬語だ
何か気に障る事言ったかな・・』

ウンスが何度声を掛けても、敬語で
返ってくる返事に、ため息しか出ない

『天界の医員とは、男にでも触れるのか
だが、イムジャのお陰で俺の今はある』

ヨンは邪念を振り払うように
何度も頭を振る


秋の陽が西に傾き掛けた頃、休憩を取る
先ほどと同じで、ヨンがウンスを
下ろしてやる

「ありがとう」と微笑み見上げるが
・・・答えない・・・

会話のないまま水を喉に流し込み
再び馬上の人となった
ただならぬ雰囲気を醸し出す二人は
迂達赤にも伝わりだしていた

「なあ、テマン、お二人はどうしたんだ?
あの雰囲気はなんなんだ」

「知らない
握り飯の時から、あ~なんだ」

「喧嘩でもしたのかな」

トクマンは眉を潜め困惑顔で呟いた

ウンスは気まずい雰囲気からくる
極度の緊張からか
日の出と共に出立した寝不足からか
馬上で何度も欠伸を噛み殺している

『寝ちゃ駄目
落ちたら足手まといになる』

そう胸の内で呟くと
自分の頬を軽く叩く
それでも眠気には勝てず馬上で
船を漕ぎ始めた
馬から小刻みに伝わる振動が
余計にウンスの眠気を誘う

平常心のヨンなら気を巡らし
ウンスの異変にも難なく気付くのだが
自身も悋気と言う邪念と
葛藤していたためウンスの手が
手綱から離れたのを瞳の端で捉え
初めて気が付き
瞬時に声を張り上げた

「イムジャ!!」

ヨンはそう叫びながら愛馬を
ウンスの馬に近づけ
愛馬の手綱を己の右腕に巻き付け
左側の鐙に重心を掛け
反対側に傾いたウンスの右腕を
思い切り引っ張りあげ
愛馬の上、己の懐に抱き留めた

「いたたたた、痛いわよ!
折角眠れそうだったのに、もう~」

ウンスは右腕を擦りながら
眉間に皺を寄せ声を張り上げた
『ん?』とウンスは回りを見回し
やっと現状を把握する事が出来た

「ごめんなさい、眠ってしまったのね
助けてくれてありがとう、馬が可哀想
だから降ろして・・」

ウンスの腰に腕を回し落ちないように
引き寄せ片腕で手綱を握っている

ヨンはテマンに声を掛け
ウンスの馬を頼んだ

「俺に凭れて眠ればよい」

「でも二人も乗ったら馬が疲れるわ」

と、馬上でもぞもぞと腰を浮かせる

「すまぬ・・俺のせいだ
今宵話をせぬか?、イムジャの事と
なるとこれ程了見が狭くなるとは
思いもよらなんだゆえ・・」

「ええ、話しましょう、黙りや
無視などされると、不安で押し潰され
そうになるわ」

そうして一行は野営を予定している
地へと向かったのであった




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