木春菊14 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「テマン如何した?」

「俺、手が滑り・・・すみません」

テマンは頭を下げるが
ヨンは口の端をあげると
テマンの頭を撫でながら耳元で
「よくやった」と、小声で呟く

その傍らで徳興君は長髪を振り乱し
流れる落ちる液を床に擦り付け
何とか取り除こうとしている


「トクマン君を休ませてあげて
熱が出るかも知れないから」

「運んでやれ!」とチュンソクは
声を張り上げた


「次は貴方ね、辛いでしょう、苦しい
でしょう、どうなの?貴方が苦しめた
人は、今の貴方の様に苦しんだのよ」

ウンスは自分でも
驚く程の声を張り上げる

徳興君の髪は抜け落ち液を被った
頭皮はただれ左目にかかろうとしている
縛られたまま床で転がりこちらを
睨み付ける


「情けはかけぬゆえ苦しむがよい
命あるだけ王様に
感謝申し上げるのだな、王命がなければ
斬り捨てておる」

ヨンは徳興君に向け言葉を吐き捨てた

「これは 鴆(ちん)毒、ゆえに解毒は
ないのだ、助けてくれ医仙」

「解毒出来ない毒を持ち歩き
誰に使うつもりだったの?
テマン君の手が滑る先が口だったら
良かったのに・・」

「こやつを連れていけ、護軍と
共に開京へ連れて参る」

『はっ!』と駐屯兵が動く

「大護軍、湯浴に行かれては
医仙様もお疲れのご様子、こちらも
片付けさせておきます」

「そうさせて貰う
頼めるか、チュンソク」

『はっ!』とチュンソクは
軽く頭を下げる

ヨンはテマンに目配せをすると
宿の手配にテマンは走る

「イムジャ、支度を」

ウンスは頷き支度をすると
共に執務室を後にし、宿へと向かう

辺りは景色はすっかり夕闇に包まれ
月の淡い光が二人の行く先を
照らしてくれる

「きれいなお月様ね」

「ああ、きれいだ・・
イムジャ?初めて名を呼んでくれたな」

「えっ・・夢中だったからごめんなさい
迷惑だったかな?」

「いや、少し驚きはしたが
心地よい響きに思えたのだ
名を呼ばれる事が再び訪れようとは
思いもよらなんだゆえ・・」

ヨンは幼き頃、今は亡き両親が
名を呼んでくれていた頃を
思い出し遠くを見つめ切なげな
瞳をしていた

「大丈夫
私はずっとヨンの隣にいるから」

ヨンの姿がウンスには切なく見え
そう呟くとふわりと抱きしめる

「ねぇ、私もウンスと呼んで貰えて
嬉しかったのよ、思わずテマン君とか
トクマン君とか叫んじゃたけど
怒ってないの」

「怒ってなどおらぬ、反対に
嬉しいくらいなのだ、皆を家族の様に
思ってくれる
イムジャでいてくれた事に」

「そ、そうかしら恥ずかしいわよ
そんなに見つめないで・・」

「強くなられた」

宿までの僅かな刻も惜しむ様に
二人は立ち止まり互いの瞳を
覗き込み微笑みを交わす

「寒くはないか?」

そう呟くと
ヨンは自身の外套でウンスを
ふわりと包み込む

「ありがと・・あったかい、ふふふ」

ウンスの笑顔にヨンの頬が緩む

「イムジャ、これからは名を呼んで
くれぬか・・ん?」

ヨンは照れたように後頭部を
掻きながらボソッと呟く

「分かった、じゃヨンも名前で呼んでね
ウンスって」

「俺は・・・時としてでは駄目か?」

「そうね、ヨンの立場も考えなきゃね
任せるわよ・・ふふふ」

「急ごう、少しも進んでおらぬ」

ウンスは頷くと共に宿に向う
その後ろ姿を月が優しく道を照らし
暖かく包んでいた


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皆様こんにちは

いつもお寄り下さり
誠にありがとうございます

お話に出できました鴆毒ですが
古来から中国に実在していたと言われる
鳥だそうです、その毒が液体になるのか
髪が抜け皮膚がただれるかは
定かではありません

お話と言う所で皆様
広い心で、宜しくお願いします


でんべ





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