めぐり逢い永遠に(新たな旅立ち) | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

ファジュ…いい、父が作ってみる

でも・・作れるの

ファジュは心配そうにヨンを見つめる

構わない・・母のそばに

分かった…困ったら言って

ヨンは感じて取っていた
これが今世でウンスが
最後に食する物になるだろうと
だから尚更作ってやりたかった・・

ウンス・・

お父さん作れたの

ああ…大丈夫だ

これで良いんだろ

ヨンは客間で寝ている
ウンスの枕元に腰を下ろした

ウンス・・果汁を作ってきた
少しでも飲んでくれ・・

ヨンはそう言うと
力なく横になっている
ウンスの首に手を回し
上体を起こしてやる

お母さん、聞こえてる?
お父さんが作ってくれたの
お父さんが初めてキッチンに立ったの
だから・・

ファジュもすすり泣き言葉が続かない
ミンホもヨンジュも
テマンまで泣いていた

ヨンが・・・作って・・くれたの

かろうじて聞こえるくらいの
か細い声でウンスが呟いた

ああ・・俺が初めて作った・・

ヨン・・・飲ませて・・

もちろんだ

ふふ・・おい・・しい

ウンスは僅かに首を振り
ヨンを見上げた

ん?もう要らないのか
ウンスは黙って頷いた

お前達、二人にしてくれないか

子供らと
テマンは頷き客間を出て行く

ヨン・・悲しま・・ないで
ああ…悲しんでいない
必ずまた次の世でめぐり逢う縁がある

生を全う・・してよ
そうでないと・・めぐり・・逢えないん・・だから

ヨンの腕の中でウンスは微かに微笑んだ

ウンス・・俺を残して逝くのか

その時、時の神が
すっと二人の前に姿を現した

後悔はないかのぉ、次の世も一緒ぞ

時の神の言葉にヨンが頷き
ウンスも僅かにうなずいた

分かった・・・さらばじゃ

それだけを言い残し
時の神はすっと消えた

ウンスは震える手で
ヨンの眉毛、鼻、唇に触れる

ヨン・・また会いましょう・・
待ってるわ

そう呟くとウンスの頭はヨンの胸に埋もれた

ウンス・・・

最後に切なくウンスの名を呼ぶが
その瞳は二度と開く事はなかった
ヨンはウンスの唇にそっと口づけし
その身体を胸に抱きしめ
肩を震わせ泣いていた



ウンスが逝って三日葬が厳粛に執り行われ
納骨の際にはウンスの骨壺の中に
ヨンの白髪まじりの頭髪が
数本入れられた
『ウンス暫くこれで我慢してしてくれ』

これでお母さんも寂しくないわね

ファジュかポツリと呟いた

ウンスの骨壺の隣には
空の骨壺が置かれていた

ミンホ、お前がチェ家の主になるんだ
父にその時が来た
この骨壺に納め必ず隣に納骨してくれ
今から頼んでおく
ヨンは子供達に初めて頭を下げた



ヨンがふと空を見上げると
秋の空高い雲の隙間から覗く太陽が
ウンスの面影と重なり『ヨン』と
呼び掛けてるようにヨンには見えていた
子供らが父の横顔を見つめていると
僅かにヨンの片頬が
上がったように感じていた


こうしてウンスは
天寿を全うしたのであった。








ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村