サザエさんー道徳-41
人のモノを取ってはいけません
朝日文庫版5巻〔36頁〕・昭和25年
『板垣の奥の柿の木に、丸々と大きくなった実が沢山ぶら下がっています。板垣を越えて通路の上に伸びた来た枝にも沢山の柿の実が実っています。カツオ君は、長い竹竿を持って、ワカメちゃんを引き連れ柿の木の下にやって来ました。カツオ君は、木にぶら下がった柿の実を指さして何か言っています』
『すると突然、木戸を開いて、中から、髭を生やした浴衣を着たお爺さんが、カツオ君を睨みつけながら出てきました。ワカメちゃんは、恐ろしげなそのお爺さんを見ると、直ぐに逃げ去りました。カツオ君は、竹竿を持ってまま立ちすくんでしまいました』
『恐ろしげなお爺さんは、頭から熱気を出して、カツオ君を睨みつけました。カツオ君は、立ち竦んでしまい、大人しくなってお爺さんを見ています』
『カツオ君が、シュンとなりましたが、直ぐに、竹竿を肩にすると、「たけや~さおだけ~エ」と大声で叫びながら、お爺さんの前から離れて行きました。お爺さんはキョトンとしてカツオ君を見ています』
昨日の道徳の時間の続きです。最新の道徳の教え“こんなことはしてはいけません”の五カ条の中に“人の物をとってはいけません”とありました。守らなければならない、重要な道徳です。
オレンジ色に実った柿。千切って食べなくなります。昔、少年の頃、戦火を逃れて、田舎に疎開していました。近所を遊びまわると、殆どの田舎の家の庭には、柿の木が大きく育っています、秋も深くなると、そんな田舎の家の柿の木もたわわに実った柿が下がっています。食べたいな!と、千切って、逃げ、パクッとくらいつく、“ウエッ渋い”と渋柿でした。その後、ある時、山に遊びに行きました。その山の中に、柿畑を見つけました。その柿の木は、丈の小さな木で、下がっている柿の実も小さめでした。千切ってパクッと食べました。“いやー甘くて美味しい”と、柿の実の中に黒いゴマが一ぱいでした。何個か戴いて帰りました。
カツオ君が住んでいた都会の家の庭にも柿の木が植えてあったのです。カツオ君は、たびたび、実った柿の実を取っていたようです。今日も、板垣を越えてはみ出した柿の木の枝に、美味しそうに見える実がぶら下がっています。少年のカツオ君では、腕を伸ばしても千切ることができず、竹竿を持ち出したようです。
“ワカメあそこの家の柿が美味しそうだよ、竹竿で叩き落として取ろうよ”
とワカメちゃんを引き連れて柿の下までやってきました。
“ワカメ、あの柿が大きくておいしそうだぞ!”
と大きな声で言うものだから、ほら爺さんが出てきた。そのお爺さんは、多分、元軍人だ、髭を生やして、もの凄く恐ろしげな顔をしている。そんな顔をしている上に、柿泥棒を捕まえてやろうと思っているためか、異常に興奮し、木戸を開けて飛び出してくると、“犯人を見つけたぞ”と言わんばかりの恐い顔をしてカツオ君を睨みつけました。カツオ君は、体が縮こまってしまいました。しかし、カツオ君の偉いところは、すぐに“ごめんなさい”と謝らないところだ。“窮鼠猫を噛む”というように、カツオ君は、窮地では、知恵が出てくるようです。そうだ、さお竹売りになるのだ!咄嗟に、たった一本だけの竹竿を売ることにしたのでしょう。肩に担いで、「たけや~さおだけ~エ」と叫んでしまいました。お爺さんは、多分「坊主!どう見ても君は竹竿売りには見えないぞ」と叱りつけるより呆れて茫然としているようです。
カツオ君!人のモノを取ってはいけないのです。
取っても渋柿かもしれないぞ!でもお爺さんの怒りようからは、甘い甘い!甘ガキだね!間違いないね!
人のモノを取ってはいけません
朝日文庫版5巻〔36頁〕・昭和25年
『板垣の奥の柿の木に、丸々と大きくなった実が沢山ぶら下がっています。板垣を越えて通路の上に伸びた来た枝にも沢山の柿の実が実っています。カツオ君は、長い竹竿を持って、ワカメちゃんを引き連れ柿の木の下にやって来ました。カツオ君は、木にぶら下がった柿の実を指さして何か言っています』
『すると突然、木戸を開いて、中から、髭を生やした浴衣を着たお爺さんが、カツオ君を睨みつけながら出てきました。ワカメちゃんは、恐ろしげなそのお爺さんを見ると、直ぐに逃げ去りました。カツオ君は、竹竿を持ってまま立ちすくんでしまいました』
『恐ろしげなお爺さんは、頭から熱気を出して、カツオ君を睨みつけました。カツオ君は、立ち竦んでしまい、大人しくなってお爺さんを見ています』
『カツオ君が、シュンとなりましたが、直ぐに、竹竿を肩にすると、「たけや~さおだけ~エ」と大声で叫びながら、お爺さんの前から離れて行きました。お爺さんはキョトンとしてカツオ君を見ています』
昨日の道徳の時間の続きです。最新の道徳の教え“こんなことはしてはいけません”の五カ条の中に“人の物をとってはいけません”とありました。守らなければならない、重要な道徳です。
オレンジ色に実った柿。千切って食べなくなります。昔、少年の頃、戦火を逃れて、田舎に疎開していました。近所を遊びまわると、殆どの田舎の家の庭には、柿の木が大きく育っています、秋も深くなると、そんな田舎の家の柿の木もたわわに実った柿が下がっています。食べたいな!と、千切って、逃げ、パクッとくらいつく、“ウエッ渋い”と渋柿でした。その後、ある時、山に遊びに行きました。その山の中に、柿畑を見つけました。その柿の木は、丈の小さな木で、下がっている柿の実も小さめでした。千切ってパクッと食べました。“いやー甘くて美味しい”と、柿の実の中に黒いゴマが一ぱいでした。何個か戴いて帰りました。
カツオ君が住んでいた都会の家の庭にも柿の木が植えてあったのです。カツオ君は、たびたび、実った柿の実を取っていたようです。今日も、板垣を越えてはみ出した柿の木の枝に、美味しそうに見える実がぶら下がっています。少年のカツオ君では、腕を伸ばしても千切ることができず、竹竿を持ち出したようです。
“ワカメあそこの家の柿が美味しそうだよ、竹竿で叩き落として取ろうよ”
とワカメちゃんを引き連れて柿の下までやってきました。
“ワカメ、あの柿が大きくておいしそうだぞ!”
と大きな声で言うものだから、ほら爺さんが出てきた。そのお爺さんは、多分、元軍人だ、髭を生やして、もの凄く恐ろしげな顔をしている。そんな顔をしている上に、柿泥棒を捕まえてやろうと思っているためか、異常に興奮し、木戸を開けて飛び出してくると、“犯人を見つけたぞ”と言わんばかりの恐い顔をしてカツオ君を睨みつけました。カツオ君は、体が縮こまってしまいました。しかし、カツオ君の偉いところは、すぐに“ごめんなさい”と謝らないところだ。“窮鼠猫を噛む”というように、カツオ君は、窮地では、知恵が出てくるようです。そうだ、さお竹売りになるのだ!咄嗟に、たった一本だけの竹竿を売ることにしたのでしょう。肩に担いで、「たけや~さおだけ~エ」と叫んでしまいました。お爺さんは、多分「坊主!どう見ても君は竹竿売りには見えないぞ」と叱りつけるより呆れて茫然としているようです。
カツオ君!人のモノを取ってはいけないのです。
取っても渋柿かもしれないぞ!でもお爺さんの怒りようからは、甘い甘い!甘ガキだね!間違いないね!