サザエさんの素直な落ち(42)
扇風機が動かないからと、お客さんの前で、足で蹴って動かすのは行儀が悪すぎます。お父さん!新しい扇風機を買ってあげてください。貴方の娘さんはトンデモナイ行儀の悪い事をしています。
朝日文庫版30巻〔118頁〕・昭和40年
『サザエさんの家に、お客様がいらっしゃいました。もう禿げ頭のオジサンでお父さんのお知人のようです。サザエさんが、部屋に案内し、畳に両手をつき挨拶をしています。お客様も畳に両手をつき、頭を深々と下げて、丁寧に挨拶しています、上品なお客さんです。傍らの畳の上には、サザエさんが持ってきた、冷たい飲み物を入れたコップを乗せたお盆が、置いてあります。扇風機も置いてあります』
『サザエさんは、卓袱台を出し、その上に、冷たい飲み物が入ったコップを置きました。お客様は、暑いのか、ハンカチを取り出し、後頭部の首筋の汗を拭っています。サザエさんは、扇風機のコードを持ち、その先の差し込みを壁のコンセントに差し込んでいます』
『扇風機のスイッチを入れましたが回りません。サザエさんは、立ち上がると、「しつれいします」と言うや否や、扇風機を激しく足蹴りしました。扇風機は回りだし、お客さんの方に風が吹きましたが、お客さんは、サザエさんの行儀の悪さに、顔を引きつらせて驚いています』
『お父さんが、会社から帰ってきました。直ぐに、お客さんの所に行こうと、浴衣に着替えています。そこへ、サザエさんが現われ、「やだわ、けっとばさなきゃうごきださないんだもん、ことしこそ買おうよ」と文句を言っています。お父さんは、何事かとサザエさんの顔を見ています』
今年も、もはや暑い日が続いています。
エアコンを使うには、まだ早く、扇風機を使おうかと思っています。
サザエさんも、そういう時期にお客さんが現われ、汗をかいているお客さんに扇風機をかけてあげようとしました。
扇風機は、古くなっていたのでしょうか、スイッチを入れても、羽根はまわりません。
だからと言って、
扇風機を、お客さんの前で足蹴りにしては駄目です。
行儀が悪すぎる。
古くなった扇風機も、お客さんの前で足蹴りにされ、仕方なく動き始めましたが、勢いよく回らないようです。
そんなお行儀の悪い事をして、
「やだわ、けっとばさなきゃうごきださないんだもん、ことしこそ買おうよ」お父さんに文句を言っても、お父さんは何事かと思っているでしょう。
娘が、友人の前で、扇風機を蹴飛ばすとは、それほど行儀の悪い事をするとは思いませんから。