サザエさん―釣り(6)

 

川の水で冷やした瓶ビールは、暑い日には美味しいでしょう。こんな暑い日は、釣りより冷えたビール!!

 

朝日文庫版20巻〔136頁〕・昭和33年

『雲一つなく、太陽が、ガンガンと輝いている日です。サザエさんのお父さんは、日よけ帽を被ることもなく半袖のシャツを着て川辺を散歩しています。すると、ある川岸に、一人の、日よけの藁帽子を被り、釣竿を手にし、釣り糸を川にタラしている、首には手拭を巻き、半袖のシャツを着た小太りのオジサンがいました。サザエさんのお父さんは、そのオジサンの後ろに立ち釣竿の先を見ています。オジサンは、じっと川面をながめ釣を続けています』

『酷く暑い日でした。太陽は、ガンガンと輝き、暫く、後に立って釣を眺めていたお父さんも、汗が出てきました。オジサンは、全く釣れずに、辛抱強く川面を眺めています』

『太陽は、ガンガンと輝いています。もうかなりの時間がたちますが、全く釣れません。オジサンは、忍耐強い人で、辛抱強く川面を見ています。サザエさんのお父さんは、余りの暑さに汗が噴き出して来ました。お父さんは、ハンカチを取り出して、額に噴きだす汗を拭いています』

 

これからどうなったと思いますか?

 

意外なことが起こりました。

 

『川面をジッと見て、釣りをしていたオジサンが突然振り返り、サザエさんのお父さんは見て、「だんなよくひえてますよ いかがです!」と言うと、釣竿を上にあげて、釣り糸を引き上げるとその先に、水が滴るビール瓶がぶら下がり、手にはコップと栓抜きを持っています。お父さんは、オジサンの変わった勧誘に驚いています』

 

サザエさんのお父さんは、今日は、川で釣りをしている人の見物でした。

酷く暑い日だったようです、涼しげな出で立ちではありますが、汗をかいています。

「この人釣るかな~」

と見ているうちにも、ますます汗は噴き出して来ます。

可なりの汗がでたころを見測るように、突然、オジサンは、サザエさんのお父さんの方に振り返ったのです。

 

オジサンは、さも、大物が釣れたかのように、釣竿を大きく釣り糸を引き上げるのです。

すると魚とは違う、ビール瓶が釣れています。

オジサンは、それを誇らしげに見せると、

「だんなよくひえてますよ いかがです!

と言うのです。

 

サザエさんのお父さんはどうしたでしょう。

 

その前に、このオジサン、どうしてこんなことをしたのでしょう。

冷蔵庫も家にない、孤独なオジサンは。ビールを川の水で冷やして飲もうと、瓶ビールを外に持ち出し、川の水で冷やしていた。

あるいは、商売にしていたのでしょうか?

こんな川で釣りをしていると、冷やかしに、何が釣れるか覗きに来る奴は必ず一人はいる。

そんな奴を捕まえて、冷やした瓶ビールを売りつけてやろう。

と待ちうけていたのでしょうか?

 

いずれにしても、サザエさんのお父さんは、このオジサンのターゲットになりました。

 

さて、サザエさんのお父さんはどうしてでしょう。

 

多分この日の猛暑に堪らず、オジサンの横に座りこんで

「あ!有難い、こんな暑い日は釣りどころではないでしょう。美味しそうな冷えたビールを一緒に飲みましょう。お代は持ちます」

とぐらいは張りこんだと思います。

サザエさん―釣り(6)

 

お父さんは、招かざる客だそうですよ!そんなところでアベックの邪魔をしてはいけません。

 

朝日文庫版16巻〔41頁〕・昭和31年

『お父さんは、今日は、池でボートに乗って釣りをしていました。餌に魚が食いついたようです。グイグイ―ッときました。お父さんは、思わず、ボートの中で立ち上がりました。お父さんは、ボートの後の方にいたので、ボートは、お父さんが立ち上がった拍子に、船首の方が浮き上がり、ボートはツツーと前に進みました。その先には、青年が、櫓を漕いでいるボートがいました』

『お父さんのボートは、前に進み、青年のボートに突き当たりました。突き当たると、お父さんのボートは、衝突のショックで、青年のボートに横向きにドスンとくっついてしまいました。立ち上がっていたお父さんは、重心を失い、ヨロヨロとよろけると、青年のボートの中に倒れ込んで行きました』

『お父さんは、倒れ込んだ後、乗っていたボートが流れて離れていく、自分のボートの方が気になり、手を差し伸べて見送っています、内心、〈おおい何処へ行くんだよ〉と叫んでいるようです。われに返ると、倒れ込んだボートの中には、日傘を挿した和服の婦人がいました、お父さんは、二人の間に倒れ込んでいたのに気づきました』

『お父さんのボートは、遠くに離れていきました。お父さんは、青年の漕ぐボートの船尾の方に小さく縮こまっています。おじゃましますと謝っているようにも見えます。青年と和服の婦人は、物凄く迷惑そうな顔をしています』

 

お父さんは、今日は、ボートに乗って釣りをしています。

お父さんのボートの近くにアベックが乗ったボートが、動きもしないで浮いています。

そのボートに乗っていた青年が言うのです。

 

「今日は、久しぶりの休日だったから、彼女を誘って、遊園地にデートに行ったんだ。

その遊園地には、かなり大きな池があって、ボートに乗って遊べるんです。

池では、魚釣りもできるようで、その遊園地では、ボートに乗って釣りをすることもできます。

僕が、彼女がにボートに乗ろうかと言ったら、彼女は

「そうね、ボートでは二人きりになれるから、余計な邪魔もなく楽しく過ごせそうね」

と言うものだから、ボートに乗って二人きりで楽しく過ごしていたんだ。

 

僕は、池にボートを浮かべていたが、なんだか釣りをしている人達が気になっていたんだ。

中に、日よけ帽を被りチョビヒゲのオジサンがいて、ボートに乗って釣り糸を垂らして、ウトウトしながら、釣りをしている。

 

そのボートのオジサンは、眠りこけているんじゃないか?落ちるんじゃないか?と余分な心配までしてしまった。

気にして、チラチラ見ていたら、そのオジサンが奇怪な声を出して、突然、吊り竿を上に引き上げ、立ち上がっている。

【釣れた】とでも言ったのかな?

 

オジサンが、立ち上がった瞬間、ボートの重心がボートの後方に移り、オジサンは、ボートの上でヨロヨロとよろけている。

その瞬間ボートは、前に動き、俺のボートにガツンと横腹をぶつけてきた。オジサンは、とうとう、自分のボートの中で立ち直ることができず、俺のボートの中に倒れ込んできた。

オレのボートと並んでいなかったら、オジサンは、完全に池の中に落ち込んでいたよ。

 

俺たちは、折角デート中に、余計なオジサンが入りこんできて驚いた。

 

オジサンは、「自分のボートを、帰ってこーい」と叫んでいたが、漕ぐ人のいないボートが、「はーい」と戻ってくる筈はないよ。

オレは、折角の休日に彼女を呼び出し、デートを楽しんでいたのに、余計な邪魔者の髭オヤジが2人っきりのボートに入りこんできた。

迷惑なオジサンだ。

 

サザエさん―釣り(5)

 

川では、鮭の切り身は釣れません。

 

朝日文庫版16巻〔26頁〕・昭和31年

『普通の川の川岸です。対岸の川岸には、一本の柳の木が見えます。こちら側の川岸で、ハゲ頭で、頭の頂に髪の毛が一本しか残っていないオジサンが、川面に釣り糸を垂らしています。その人の後ろには、大きめの魚篭が置いてあります。釣りをしている人は、禿げ頭の特徴からサザエさんのお父さんです』

『体の大きい、短髪のオジサンが、背中を見せて岸辺に腰かけているお父さんに近づきました。オジサンは、お父さんの後ろに置いてある篭を覗き込んでいます。懸命に覗き込みながら「なんですか?」と尋ねています』

『お父さんは、振り返って短髪のオジサンを見上げると、「シャケのきりみです」と答えています。短髪のオジサンは意外な返事にビックリしています』

『サザエさんのお父さんは、弁当箱を開いて、オカズのシャケのきりみを箸でつまんで食べているところでした短髪のオジサンは、つまらなさそうに立ち去りました』

 

またまた、ノンビリしたお父さんの釣りです。

釣れそうにもない川辺には、座っているだけでも、お腹はすきます。

 

こんな川でも魚釣りをしている人がいる。

それを見た他人は、何が釣れたのかなと興味を持ちます。。

見た他人は、篭が置いてあれば、不思議とその中にどんな魚が入っているのだろうと思ってしまうものです。

「篭が置いてあるぞ!何が釣れたのかなこんな川で」

と、聞いてみたくなります。

「なんですか」

と聞きます。

 

「なんですか」

と篭を見てきかれても、その篭には、魚は何もはいっていない。

「何もいませんよ」

と答えるより、いま食べている弁当のおかずが、サケの切り身だから、

〈サケの切り身です〉

と答えておけばいい、どうせ聞く方も単なる冷やかしだ!

どうせ冷やかしなら、

「なんですか」

と聞くから

〈サケんきりみです〉

と答えて置けばいいんだ。

 

お母さんが作ってくれた、鮭の切り身のおかずのお弁当を持って、ゆっくり釣りを楽しんでいるのに、野次馬はうるさい

 

きょうのお弁当のおかずを

「なんですか」

と問われれば

〈サケの切り身です〉

と答えるより外ありませんよ。

 

サザエさん―釣り(4)

 

陽気がよすぎると、釣りも、絵描きも、やる気がしない。学生さんも読書はムリだ!

 

朝日文庫版16巻〔19頁〕・昭和31年

『大学生が、公園で芝生に座りこみ、樹に凭れかかり、本を読んでいました。太陽が輝く陽気に眠くなり、本を膝の上に置き、両手を挙げて背伸びし、大きく欠伸をしています』

『近くで、三脚にキャンバスを置いて、油絵を描いている人を見つけました。学生さんは、退屈しのぎに、描いている油絵を見ようと近づいて行きました』

『絵描きさんは、描きかけの油絵を置いたまま姿が見えません。学生さんは、描きかけの油絵を覗き込みました』

『絵描きさんは、長髪の頭にベレー帽をかぶった、太った芸術家と言わんばかりの男です。彼は、近くを流れている川岸に来て、そこで釣りをしているオジサンの様子をジッと見ています。釣り人は、サザエさんのお父さんでした。何時ものように、日よけ帽を被り、膝を抱え込むように座り、右手の釣竿から糸を垂らしています。横には魚籠が置いてあります。学生さんは、描きかけの油絵が置いてある所から、二人をジッと見ています。そこでは、絵描きさんが、釣り糸を垂れているサザエさんのお父さんを、ただ、見ているだけでした』

 

ノンビリしたお父さんの釣りです。

初夏の感じで、太陽が輝いています。

樹に凭れて本を読もうとした学生さんも、この、陽気では眠くなり、読書できないのでしょう。

眠い!気を紛らわすものはないかな!と辺りを見ると、油絵を描いている人がいる。

ちょっと冷やかしてくるかと、絵描きの様子を見に行きました。

 

アレっ、絵描きさんもいないぞ。

まさか、寝ているのではないだろうな!

いたいた!川岸にいる。

何をやっているんだろう?

 

陽気に、絵を描くのにくたびれた絵描きさんは、川岸で釣りをしているオジサンを見つけました。

こんな小さな川で何が釣れるのだろう?

絵の方は、まだ時間が掛かる。

魚釣りを冷やかしてくるか?

釣をしているオジサンは、何だか、ショボくれたオジサンだな!

安っぽい細い竿を持って、糸を垂らしている。

釣れそうもない、このオジサン、糸の先の浮きをジッと見ているだけで、魚は釣れそうにもない。

これでは、絵を描いたほうが良いかな?

 

こんな陽気の良い日に、釣れもしない釣りをするのは、酷だ!

オレも、こんな日に絵は描くのは無理だ。

サザエさん―釣り(3)

 

釣好きのお父さんは、川を泳いできた新巻鮭を釣りました。

 

朝日文庫版8巻〔10頁〕・昭和27年

『サザエさんのお父さんが、田舎にある川の川岸で釣竿を持ち、糸を垂らして釣りをしています。お父さんは、防寒帽を被り、木の切り株に腰を落とし、横には魚籠と網を置いて、川面に浮かぶウキを懸命に見ています』

『すると、大きな鮭が流れてきました。鮭は、熨斗紙に包まれ、藁紐を口に咥え、水面をスイスイと泳ぐように流れていきます。目の前にが現われ、お父さんはビックリ仰天しています』

『お父さんが釣りをしている所からやや離れて所に架かっている橋の上から、コートを着たオジサンが、高く両手を上げ必死の形相で「おとしたひろってくれ~~」と叫んでいます。お父さんは、またまた、驚かされています』

『お父さんは、そばに置いていた網を取ると、流れている鮭を上手にすくいました。オジサンは、直ぐに走り寄りお父さんに「すみません」とお礼を言っています』

 

お父さんは、やはり、釣りが好きなようです。

少し寒くても、防寒着と防寒帽で身を固め、釣りに来ています。

釣をしているところは、田舎の川のようです。

どうも、こんな川には、魚が居そうな雰囲気ではなく、魚が釣れるようには見えません。

 

それでも、お父さんは、川岸で、釣竿を持ち、糸を垂らしていたようです。

すると、大きな魚が、流れてきました。

魚は、川の中を泳がず、川面を流れてきました。

お父さんは、大きな魚が、熨斗紙を着て、口には注連縄を咥えて、流れているのに驚いています。

 

お父さんは、釣れそうもないこんな川で、大きな魚が流れてきたのに驚いたようです。

 

一見、魚など釣れそうもない川でも、魚はいます。

横浜市の栄区と言う所を「いたち川」と呼ばれている川が流れています。

川岸を散歩していて、上流では魚が居そうな雰囲気ではありません。

川沿いに下流に向かって歩いていくと、川幅が少しづっ大きくなり、川溜りがあるところまで来ると、川の中が騒々しくなります。

良く見ると、そこには、驚くほどたくさんの、驚くほど大きいコイが泳いでいます。

川を降りて、岸まで行くと、コイが傍まで集まり、群がっています。

口をパクパクして「なにかください」と言っているようです。

近くのスパーで食パンを買い、千切って与えると、コイ達は、先を争い、大きく口を開け食いついてきます。

彼等の逞しさに驚かされます。

 

この川には、沢山のコイがいました。

こんな鯉は直ぐに、つり上げることができるでしょうが、ノンビリと釣りを楽しむ雰囲気を味あうことはできないでしょう。

 

やはり釣りは、サザエさんのお父さんのように、田舎を流れる川に糸を垂らしてノンビリとするものでしょう。

 

そんなところで何が釣れるのだろうかと思いますが、ツキがあれば、流れてくる鮭が釣れるかも知れません。

サザエさん―釣り(2)

 

カツオ君、お父さんの釣り好きは、恥かしい?

 

朝日文庫版7巻〔38頁〕・昭和26年

『サザエさんのお父さんとカツオ君が、川岸を散歩しています。お父さんは、ソフト帽を被り、和服を着て、ステッキを持ち、颯爽としています。カツオ君は、その後をにこやかについて行きます、二人の頭上にはツバメが飛び回っている夏の日です』

『遠くの川岸では、釣りをしている人達がいます。お父さん達の近くの川岸には、沢山の男達の人だかりができています。男達は、何かを覗き込んでいます。お父さんは、その人ゴミを見て、ハッと気付きました』

『お父さんは、人混みに近づき、「つれますか」と大きな声で尋ねました。突然声をかけられた男達は、同時に、お父さんの方に振りかえりました』

『男達が、バラけるとその中に、三脚にキャンバスを置いて油絵を描いている、ベレー帽を被った絵描きさんがいました。絵を描いていました。お父さんは、恥かしくなり、赤面し、カツオ君も恥ずかしくなり、お父さんの手を引いて、その場を立ち去ろうとしています』

 

お父さんは、釣りが好きなようです。

川岸で、人だかりがあると、釣りを見物していると思ったのでしょう。

背が低く先が見えないお父さんは、人混みの後ろから

「つれますか」

と大きな声で聞きました。

 

このお父さんの心理は、身に覚えがあります。

 

先に言ったように、近くの池でも、何かを釣っています。

釣り人達の足元には、必ず、餌箱と、バケツのような入れものが置いてあります。

小さな池の釣り人達でも例外ではありません。

そんなところに行くと、バケツのような入れものの中身が気になるのです。

こんな小さな池で、大きな獲物はあり得ないと思っていても、入れものの中を覗き込むのです。

中を覗くと、小さな、クチボソがチョロチョロと泳いでいます。

そんなものでも、覗いてみたくなる。可笑しなものです。

 

サザエさん家のお父さんも、人だかりを見て、釣りをしている人の成果を、皆で覗き込んでいると思ったのでしょう。

 

身長もそんなに高くないお父さんは、人混みの奥が見えない。

つい、人混みの後ろの方から

「つれますか」

と言ってしまった。

 

人混みをつくっていたオジサン達は、変なオッサンが

「つれますか」

と言っている。

「釣りじゃないよ。絵描きさんが上手に絵を描いているんだ」

とお父さんに見せてくれたようです。

 

川岸で、人混みがあるとその奥では、

「こんな所で、こんなにたくさん釣っているぞ」

と覗きこんでいるとばかり思っている。

やじ馬根性の恥かしいお父さんでした。そうだろうカツオくん!

 

こんな恥ずかしいお父さんは、早く引っ張って行った方が良いよ。

サザエさん―釣り(1)

 

カツオの勉強より、釣りの方が良い。

 

朝日文庫版7巻〔2頁〕・昭和26年

『サザエさんのお父さんが、卓袱台を使って、カツオ君に算数を教えています。ワカメちゃんは、傍に座って、二人を見ています。そこへ、庭の方から、カツオ君の友達が、釣竿を肩にかけ、釣りに誘いに来ました。それを見たお父さんは、怒った顔をして「いまべんきょうをやっているから、またこんどさそってください」と断っています。カツオ君は、悲しそうな顔をして友達を振りかえっています』

『お父さんは、いらついているような様子で、左手の指3本を開いたり閉じたりし、右手の人差指で、カツオ君の手元を指差しながら、懸命に教えています。カツオ君は、シブシブと何やら書いています。ワカメちゃんは、二人をジッと見ています。お父さんの膝の近くには、ウチワが置いてあります。暑い夏休みお宿題のようです』

『庭の方から、日よけの帽子を被り、袋に入れた釣竿と、魚かごを持ったオジサンが、やってきました。ワカメちゃんが、出ました。オジサンは、ワカメちゃんに「おとうさんは?」と聞きました。ワカメちゃんは、直ぐに「いまべんきょうをやっているからまたこんどさそってください」と、さっき、お父さんが、カツオ君の友達に言っていたように言いました』

『サザエさんのお父さんは、被った日焼け帽も飛んでしまうような勢いで、袋に入れた釣竿を肩にかけ、魚かごを手に持って飛びだしていきました。お父さんは「オーイいくよいくよ」と叫びながら、立ち去っていく、釣りを誘いに来たオジサンを追っかけています』

 

この釣りの話は、古い時代です。

サザエさん家の近くに小川があり、川魚が住んでいたのでしょうか?

そんな雰囲気の釣りのように思えます。

しかし、そんな釣りでも、カツオくんもお父さんも楽しんでいたのでしょう。

 

私の近くの公園には、池があります。

そこには、鯉や鮒などがいますが、メダカより少し大きい小さな魚がいます。

ご存知と思いますが、

大辞林によると、クチボソと呼ばれ、コイ目、全長8cmほど。体は細長い紡錘形でやや側偏する。モロコに似るが口ひげがない。体色は黄褐色で、腹面には鈍い金属光沢がある魚です。

その池には、この魚が泳いでいます。

天気の良いには、小学生、中には大人も交じって釣りをしています。

小さな針に、餌を点けて糸を垂らすと、餌を食べに集まります。

グイと喰いついてくれます。

皆さん楽しく釣っています。

 

子供の頃には、電車に乗って近くの村の川や堤に釣りに行ったものです。

サザエさんのお父さんが

「オーイいくよいくよ」

と叫びながら飛び出して行った釣りは、どうやら、この程度の釣りのように思い出されます。

 

それでも楽しいので、釣りに行きたい。

しかし、カツオは、もう夏休みは終わりだと言うのに、まだ宿題を済ましていない。

どうして済んでいないかと聞くと

〈難しくて判らない〉

と言う。

仕方ないので、一緒にやらないと駄目だ。

 

カツオの奴、宿題が済まないのに、釣りに行く約束をしたのかな?

「いま勉強をやっているから、またこんど誘ってください」

と断ってやらんといかん。

 

ワカメちゃん何だって?

他所のオジサンが釣りの格好をして来た!

断った!

 

そりゃまずい、大変だ!カツオ勉強していなさい。

お父さんは、別だ、勉強の必要はないんだ、釣りに行ってくる。

と家を飛び出したようです。

サザエさん―面白い落ち(173)

 

これは面白い、男達の嬉しそうな、助平そうな顔が上手く描いてある。

 

朝日文庫版30巻〔143頁〕・昭和40年

『林間のキャンプ場です。床面が正方形である、小さめのワンポールテントが設営されています、そのテントのポールの頂点から近くの樹木に、紐が張ってあり、その紐に、パンティー、シュミーズ、ブラジャ―などの女性物の下着が下げられ、干してあるように見えます。そして、そのテントの入口には、女性のハイヒールが2足置いてあります。そのテントの入口にノリスケさんがスイカを持ち、マスオさんはノリスケさんの肩に手をかけ、顔を綻ばせて立ち、「ごめんくださーい」と声をかけています』

『声を掛けましたが、入口は開きません。ノリスケさんは、続けて、「近くのテントのものですがおちがづきのしるしに」と声をかけています。ノリスケさんが抱えているスイカが、大きく、重そうです』

『と、テントの入口が開きました。体の大きい、鼻の下に無精ひげを生やした、ランニング姿の顔のデカイ男が、出て来て、ノリスケさんが差し出しているスイカを受取ろうと、手を差し伸べ、「ヨオ!わるいですなー」と申し訳なさそうんい言いました。テントの中に女の子がいると思っていた、マスオさんとノリスケさんは、驚いています』

『マスオさんとノリスケサンは、ガッカリして、恥ずかしそうに、そのテントの前から立ち去りました。そのワンポールテントの中に2人の、これまた、助平ったらしい二人のオジサンがいて、このオジサン達に、ノリスケさんからスイカを受け取ったオジサンが、「みろ このぶたいそうちだとくいものに不自由せんぞ」と得意げに言っています』

 

面白いのは、

この舞台装置。

テントから出てきたオジサンの顔。

です。

 

ノリスケさんとマスオさんは、この舞台装置だと、若いお嬢さんがキャンプしていると思ったのでしょう。

 

2人は、近くで、余分に買ったスイカを、

テントの中にいる筈のお譲さんに分けてあげようと、運んできました。

綺麗なお譲さんがでてくると思って声をかけた。

ところが、テントの入口に姿を現した、お譲さんの顔は????

今まで見たこともない美女でした。

 

お嬢さんの顔は、三角形です、

上の方に少ない髪の毛が乗っています。

眉毛の字で、その下に小さな丸いマナコがあります。

は、横に大きく、鼻の穴が丸見えです。

その鼻の下のは、薄くて、大きく、顔の幅一杯に横に伸びています。

その口の上に、沿うように、無精ひげを生やしています。

 

恐ろしくはありませんが可笑しな滑稽な顔面です。

そんなオジサンが、

ワンポールテントの頂点から近くの樹木に、紐を張って、その紐に、パンティー、シュミーズ、ブラジャ―などの女性物の下着をぶら下げ、潜んでいた

と思うと愉快です。

 

この光景は、どこかで見たようです。海底の岩の奥に潜んでいる怖い顔の魚が、入口に顔を出しているのを思わせます。

 

しかし、作者の想像力には感服します。

良くも、滑稽で、可笑しな顔のオジサン思い浮かべ描いたものです。

 

しかし、ノリスケさんとマスオさんは、見かけによらず助平ですね!

テントの中から、どんな美女が現われると思ったのでしょう?

ワカメちゃん―危機一発(1)

 

ワカメちゃんが危ない!

お父さん、耄碌したらだめだ!

大事なものだったら、置いた場所忘れるな、頼むよ。

そんなもの食べたくない。

 

 

朝日文庫版42巻〔28頁〕・昭和46年

『サザエさんのお父さんが、台所に現れ、キョロキョロしながら、辺りをウロウロしています。台所にいたサザエさんが不審に思い、「なにさがしているの?」と聞きました』

『すると、お父さんは、両手で瓶の形を示しながら、「いやァ調味料のあきビンだがネ」とニヤニヤ笑いながら教えてくれました』

『それから、水屋の上を覗き込みながら「せいみつケンサにもっていく小水いれていたんだ」ビンを探しています。お父さんの様子に、傍に来ていたカツオ君は、いやな予感がしたのか、大変だと口をあんぐりしています』

『カツオ君は、すぐに、ダイニングルームに駆け込みました。それから、ダイニングテーブルに、駆け寄ると、ワカメちゃんが手にして、朝食を盛ってあるお皿の上で、正に、調味料(?)を落とそうとするビンに、飛びかかりました。ワカメちゃんは驚いています』

 

ワカメちゃんは、まさん危機一髪でした。

カツオくんの機敏な動きに、お父さんの「○○」を味あわなくて済みました。

 

今だったら、こんな危機は、ないでしょう。

予め用意され配布されたサンプル瓶に、検査用の小水は入れる筈です。

 

しかし、カツオ君の素早い機転と行動は、実に感心しました。

お父さんが

「せいみつケンサにもっていく小水いれていたんだ」

と言いながら、水屋の上を、調味料用の小瓶がないかと探し始めると、直ぐにピンと来たのでしょう。

「お父さん、検査用の小水を調味料用の小瓶に入れた!耄碌しているオヤジはそれを何処に置いたか忘れている。水屋の上ではなく、テーブルの上に置いたら大変だ!」

オヤジは、瓶をテーブルの上に置いたに決まっている。

 

ワカメが危ない!

予想した通りだ。

 

調味料用の小瓶を手にしている。

栓を取って、振りかけようとしている。

ワカメ駄目だ!思わず飛びかかった。

そんなもの美味しくないよ。

間に合ってよかった。

 

お父さん、耄碌したらだめだ!

大事なものだったら、置いた場所忘れるな、頼むよ。

そんなもの食べたくない。

サザエさん―危機一発(1)

 

朝日新聞の「かたえくぼ」は読んでいます。「片えくぼ」を読んでいるとこんないい事があるとは思っていませんでした。

 

朝日文庫版42巻〔109頁〕・昭和46年

『マスオさんが、知人宅を訪れています。応接間でテーブルを囲んで楽しそうに話をしています。眼鏡をかけ助平ったらしい顔をした知人が、思い出し笑いをしながら「ゆうべバーにカワイ子ちゃんがいたんだ」と昨夜の可愛い女の子をタバコに火をつけながら、思い出しています』

『知人が火のついたタバコを咥え、「かたえくぼで・・・」と、にやにやしていると、近くにいた知人の和服姿の奥さんが、それを聞き、「かたえくぼで?」と怒りの表情に変わりました。その表情を見たマスオさんは、奥さんの怒りの表情におののいています』

『奥さんが後ろにいて、昨夜の女の子の話を聞いたと気づいた知人は、振り返って「なんだなんだシンブンの話だぞ」と怒鳴っています。奥さんは「あ~~〈かたえくぼ〉」と納得したように立ち去りました。見ていたマスオさんは、意外な成り行きに唖然としています』

『知人は、ホッとして、テーブルの上に両手と上体をドッと投げ出すと、「アサヒシンブンとってて良かった」と、ホッとしています、マスオさんも一緒になって、上体をのけぞらせてホッとしています』

 

マスオさんの知人は、片えくぼバーの女の子に、奥さんのことも忘れ、熱を上げていたのでしょうか?

家庭の中で、そんなうわついた話はしない方が良いとおもいますよ。

家の中には、大事でも、しかし、怖い奥さんがいます。

マスオさんも、友達の家では、その種の話は、止めにした方が無難です。

「きみその話はここでは止めようよ。公園のベンチで聞かしてくれ」

くらいでやめた方が良いですよ。

 

しかし、友達は、機転のきく助平で助かった。

バーの女の子の可愛い「片えくぼ」が、朝日新聞の「かたえくぼ」で誤魔化せた。

この機転が無ければ、奥さんはキーとなって、知人の顔面を引掻いていたかも知れません。

奥さんの表情には、そんな恐ろしさが潜んでいました。

その表情を見たマスオさんは、どうなるかと恐れおののいていました。

朝日新聞の「かたえくぼ」でごまかせて、本当によかった。

 

ところで、朝日新聞を長年愛読していますが、最近、朝日新聞を読みつづけるかいなか、どうしようかと考えています。

一つは、デジタル版を購読していますから、それで済みそうです。

それに、毎朝ついて来るチラシの多いことにウンザリしています。

不動産、パチンコなどの不要なチラシの多さは異常です。

 

何の役にも立たない、こんなチラシが、どんどん溜まり、処分が面倒くさい。

一頃のパルプ不足は、どうなったのでしょう。

リサイクルで解決しているのでしょう。