サザエさん―釣り(15)

 

お父さん!砂の上のボートから、釣をしようとしても、それは出来ません。

 

朝日文庫版35巻〔90頁〕・昭和42年

『太公望であるサザエさんのお父さんが、太陽が照り輝く日、ボートに乗って海釣りをしています。日よけ帽を被り、釣竿をボートの縁から突き出していますが、どうやらウトウトと頭が前後し、居眠りを始めたようです』

『サザエさんのお父さんは、ボートの縁から釣竿を突き出したまま、遂に、ボートの上で、目を閉じ、頭を前に倒し、上半身が前後して、遂に、完全に居眠りに入りました』

『ボートから、かなり離れた海岸の堤防に、海を見ていた、サングラスをした短髪の男と、横縞のシャツを着た青年がいました。お父さんの様子に気が付いた青年が、短髪の男に「しらせてやろうよ」と言っています』

『2人は、居眠りしているサザエさんのお父さんの方に向かって、大きな声で「とっくにひきしおになっているよ~~~~」と叫びました。サザエさんのお父さんは、その叫び声で目を覚まし、周りを見回して、海水もない砂の上で動かないボートの上で、眠いっていたことをに気付き、驚いています。海は、ボートから遥か遠くの方で波打っています』

 

サザエさんのお父さんは、釣り好きの、太公望のようです。

今日は、ボートに乗って海釣りです。

しかし、疲れている上に、ポカポカと暖かい日です。

しかも、やはりお父さんの釣りは釣れないのでしょうか、ボートから釣竿を突き出したまま、全く釣れず、ウトウトと居眠りをしたようです。

眠りはじめて、かなりの時間が経ってしまいました。

 

干満差の大きい海があります。

中でも、九州の有明海は、大きい方でしょう。

昔、子供の頃、有明海の干潟で、アゲマキと言う棒状の二枚貝を採りに行っていました。

この貝が住んでいる海は、大きい干満のある潟の中でした。

腰まで浸かってしまう潟の中で、その住処までは、長い板の上に箱を取りつけた、潟の上を、体が沈まないように、かつ、素早く移動できるのりもの:ガタスベリ】に乗って行きました。【ガタスベり】は、子供心にも楽しい乗り物でした、板の上に左足のひざを乗せ、両手で箱を持ち、右足で潟を蹴って素早く走ります。

今で言うなら、スケートボードのような乗り物、いや、これより素晴らし乗り物のように思い出されます。

暑い夏、上半身裸になって、潟の上で少しの海水のしぶきが飛んでくる中を走るのですから、爽快でした。

こんな遊びで、美味しいアゲマキ採りは、今でもやっているのでしょうか?少年時代の幸せな思い出です。

 

サザエさんのお父さんは、干潮時の海水もない海辺で、ボートに乗って、釣竿を差し出し、眠っていたのです。

多分、この昼寝は、何とは言えず、心地良いものだったのでしょう。

お父さんは、周りに海水もない砂の上に乗っているボートの中で眠りこけていたのです。

こんな所では、例え、太公望でも、魚を釣ることは出来ません。

 

幸いに親切な人がいました。

「とっくにひきしおになっているよ~~~~」

と教えてくれました。

 

お父さんどうしますか、砂の上を、ボートを波打ち際まで押して行き、海に浮かべて釣りを続けますか、しかし、もう釣りは止めてお帰りになった方が良いと思いますが!

サザエさん―釣り(14)

 

桟橋から釣船に乗り移るくらい、大したことではありませんヨお父さん。

宇宙では、上手にのりっつていますよ!

 

朝日文庫版42巻〔138頁〕・昭和46年

『海岸に設けられた桟橋を、サザエさんのお父さんが、麦藁帽子を被り、釣竿を入れた袋と、釣道具を入れたバッグを持って歩いています。その先には頭に手拭を粋に結んだ船頭のオジサンがいて、お父さんを、桟橋の先に止めてある、小さな釣り船に乗るように案内しています。その小さな釣り船には、それぞれ日よけ帽子を被り、軽装の2人のオジサンが、既に乗っています』

『サザエさんのお父さんは、その釣り船に、釣り竿の入った袋を背負って、釣用具の入ったバッグを肩にかけたまま、桟橋から飛び移りました、船頭のオジサンは、笑顔でお父さんを釣り船の方に送り出していました』

『飛び移った瞬間、お父さんの重さで、釣り船は、前進しました。お父さんは、飛び移った瞬間、バランスを失い,オットットとよろけています。お父さんは、小船の船尾で大きく体が反ってしまいました。船頭のオジサンは、両手を広げて、これは大変だと言った仕草です』

『体が反ってしまったお父さんは、そのまま、船から海の中に墜落してしまいました。海の中に墜落していく姿を目にした釣り船に乗っていた2人のオジサンは「こうして見ると」「宇宙船は良くのりうつったよね」と言っています。お父さんは、見事に海中に墜落し海面上には、長靴を履いた足しか見えません。船頭のオジサンは、まるで相撲の行司さんのように手を広げて、お父さんの墜落を仕切っています』

 

サザエさんのお父さんは、海釣りのようです。

桟橋から釣り船に乗り移る時、乗り移った所が悪く、瞬間、前に動いたためバランスを失い、お父さんは、海の中に落ちてしまったと言う話です。

 

これを見ていた人が、大袈裟なことを言ってしまつたのですね。

お父さんは、慎重さが足りなくて、海の中に落ちてしまいました。

 

移ると言っても、桟橋から釣り船に移るのと、宇宙の中で、打ち上げられたロケットから、宇宙に停止している宇宙船に乗り移るのは、全く別の話で、ピョイと飛び移るような話ではありません。

 

もし、お父さんが、バランスを上手くとって、桟橋から釣船に飛び移ったとしたら、2人のオジサンは何と評価したでしょう?

「あのオジサンが、自力で桟橋から釣船に見ごとに乗り移るのを見ていると、宇宙の中とは言え、科学技術に支えられての宇宙移動は簡単にできることだと思われるね!」

と言ったかも知れなせんネ。

 

ロケットから、宇宙に停止している宇宙船に、見事に乗り移るのを、テレビを通じて見て、感動した時代の話でした。

サザエさん―釣り(13)

 

やはり、釣を楽しんだ後で飲む酒は、家に帰り、釣った魚を料理して飲むのがよろしいようです。

 

朝日文庫版41巻〔34頁〕・昭和45年

『数本の水草が生えている川底です。餌を付けた釣針が、川底から数センチ上でゆれていま』

『2匹の魚が、揺れている釣針の餌を目がけて泳いできました。すると、縄紐で縛った大きな岩が勢いよく、川底に落ちて来ました。魚たちは、アレーと驚いています』

『サザエさんのお父さんとノリスケさんが、川岸に取り付けられた、釣台の上にいました。お父さんの横には、3本のビール瓶を、縄紐でグルリと縛り、その縄紐の先を川の中に落としています。お父さんの横にいるノリスケさんは、釣針に餌を取りつけた釣竿を持って、サザエさんのお父さんに何か言っています。言われたお父さんは、振り返り怪訝な顔をしています』

『お父さんは、「マチガエタ」と言うと、ビール瓶を縛った川に落としていた方の縄紐を懸命に手繰っています。見ていると、サザエさんのお父さんは、縄紐の縛った大きな岩を水面から持ち上げています。ノリスケサンハ、にやりと笑っています』

 

サザエさんのお父さんは

「ノリスケ君!明日、釣りに行かないか?」

とノリスケさんを誘うと、気のいいノリスケサンハ

「アアいいですよ」

と乗ってきました。

 

〈ノリスケ君は、イイ奴だ。久しぶり彼と釣りでもしながら一杯飲むか!〉

と3本の瓶ビールを持参しました。

重いのにご苦労さんですが、お父さんとノリスケさんは、川岸の釣台を2人で占有して、釣をしながらビールを飲むのが楽しみでした。

釣を始めました。

セッカチなお父さんは釣台に乗るや直ぐに、釣竿を取り出し、針に餌を点けて川に垂らして釣りを始めました。

ノンビリ屋のノリスケさんは、ゆっくりと時間をかけて、釣りの準備をしていました。

 

ふと、お父さんの方を振り返ると、お父さんは、3本のビール瓶を縄紐で縛って、縛ったビール瓶は、釣台の上の置いたままです。

縄紐の先は、川の中に落としています。

それに気付いたノリスケさんは、

おオジサンは変なことするなー」

と思いました。

「オジサン、何をしているんですか」

と聞きました。

 

すると、お父さんは、間違ったことをしているのに気づき、川の中に垂らしている、縄紐を手繰り始めました。

手繰った縄紐の先には大きな岩が縛ってありました。

 

お父さんは

「アア間違えた」

と気恥ずかしそうに言いました。

 

お父さんは、ノリスケさんと飲むビールを川の水で冷やして飲むことにしていたのです。

そのためには、縄紐の一方の端に、3本のビール瓶を縛りつけ、他方には大きな岩を縛りつけ、縛ったビール瓶を川底に落とし、縛った大きな岩を釣台の上に置いて、ビール瓶が流れないような重しにするつもりだったのです。

 

ところが、セッカチなお父さん、早く釣りをしたいと、気があせり、落とすべきビールを釣台の上に置いたまま、大きな岩の方を川の中に落としたのでした。

 

「完全な間違いでした」

 

やはり、釣を楽しんだ後で飲む酒は、家に帰り、釣った魚を料理して飲むのがよろしいようです。

 

ただ、これも魚が釣れた時です。

釣れなかった時は、屋台でやけ酒は如何ですか?

サザエさん―釣り(12)

 

釣りは、ストレス解消のためではなく、ノンビリとやりましょう。

 

朝日文庫版40巻〔115頁〕・昭和45年

『サザエさんの父さんは、朝から、厳しい顔をしています。頭の天辺の一本の髪の毛もキリリと真直ぐに立て、眉毛も逆立てて、鏡に映る自分の顔を睨みつけています。そして、「こんなよのなかじゃ、かおまできつくなる」と息巻いています』

『お父さんは、釣り道具箱を横に置いて、川岸で釣をしています。その川は、都会の中の川で、遠くにはビルやマンションが立ち並んでいます。岸壁には生活廃水の排出口土管の先端が出ています。川には、ボールや、布切れ、使い捨てられた弁当箱などが浮かび、川は薄黒く濁っています。お父さんは、怒った顔をして「ストレスかいしょう」と言いながら釣竿を握っています』

『魚が釣れました。お父さんは、竿を上げました。糸の先の魚が、お父さんの目の前に宙釣りになって、顔を表しました、その魚の顔が、物凄い顔をしています。やや大きめの魚で、顔がでかく、釣針の餌をガッチリと咥えています。魚の顔は、眼の玉をギョロリと大きく開いて、逆立て、お父さんを睨みつけています。お父さんは、その魚の顔を見て驚いています』

『お父さんは、その怒っている魚を、釣り糸から外し「ひどいはい液のなかで・・・・・・わかるわかる」と言いながら、また汚い川のなかに戻しています』

 

サザエさんのお父さんは、ストレス解消のため釣りをしているようです。

今日は、どんなストレスを解消するため釣りに行くのかと、思ったら、

「こんな世の中じゃ、顔つきまできつくなるストレス」

だそうです。

 

どんな世の中なのか、具体的には判りませんが、ストレスの元は、沢山あります。今の世の中ならばと、思っても、確かに沢山あります。

例えば、今、テレビの報道番組では、元○○県警の△△さんを、殆ど毎日のようにコメンテータとして、解説いただく殺人事件、もう止めてくれと言いたくなります。

また、政治の世界では、自民党の横暴、まるで、安倍総理が作為的にやらせて、その後、しおらしく、謝罪しているに見えてしまう、報道威圧、報道媒体に対する圧力などなど、この一連の行為は止めてくれ言いたくなります。

こんな止めてくれと言いたくなるような事件が頻発すると、それを気にしているとストレスが溜まってくるかもしれません。

 

今は、都会の川は、そうではない筈ですが、

都会の川に住む魚は、ストレスが溜まっていたのですね。

サザエさんお父さんが釣り上げた魚の顔は、魚とは思えないほど、悲痛な顔をして、そして、怒っていました。

魚の顔は、穏やかなものですが、廃棄物が流れ、薄黒く濁っていた川に住んでいた、この魚は、相当にストレスが溜まって、このような怒りの表情になっていたのでしょう。
その魚の顔は、お父さんが、今朝、鏡に映した自分の顔と同じように、眉を逆立て、目を真ん丸に開いて怒っていた顔と同じでした。

やはり、釣りはノンビリと英気を養うものです。

サザエさん―釣り(11)

 

釣りは、釣の秘訣を書いた書物を読んで、勉強をしてやりましょう。

 

朝日文庫版40巻〔59頁〕・昭和45年

『サザエさんの父さんが、大きな河の川辺を散歩しています。一人のワークキャップを被った男が、一人ポツリと川岸に座って釣竿を持ち、釣り糸を川の中に落として釣をしています。男は、傍に大きなケースを置いています』

『お父さんは、釣をしている男の直ぐ傍まで、近づきました。そしてケースを覗くようにして、「つれますか?」と尋ねています。男は、素知らぬ顔をして釣をしています』

『男は、突然、やや大きめの魚を、グイーッと釣り上げました。お父さんは、思わず口をポカリと開けて驚いています』

『その後、お父さんは、〈つりのヒケツ〉と題した本を手にしてその場を去っています。釣をしていた男は、お父さんが買わされた本が、沢山入っているケースのフタを「マイドアリー」と言いながら閉めています。買わされたお父さんは、マイッタと言わんばかりの顔をしていました』

 

今日お父さんは、河に来ていますが、釣をしていません。

釣をしている人を、冷やかし回るつもりでしょう。

 

大きなトランクのようなケースを傍に置いて、釣をしている男に興味を持ち、近づいて行って。

「つれますか?」

と尋ねています。

釣れたか釣れぬは、俺を見ていて判断しなさいと言わんばかりに、釣竿をぐい~~~っと上げました。

すると、驚くべきことに、こんな釣れそうにもない河で、やや大きめの魚が釣れました。

お父さんはビックリしました。

 

すると、男は

「どうです。私の素晴らしい釣りの秘訣を伝授すれば、どんな川でも魚は釣れます。その秘訣は、この本を読んでいただくと、直ぐに判ります。いかがでしょう。一部500円、大変お安くなっております」

と言うので、お人よしのお父さんは買ってしまいました。

 

良く見ると、ワークキャップを被って釣をしていた男は、映画の「寅さん」に似ています。

傍に置いてあった、釣道具を入れていると思った〈ケース〉は、トランクでした。

 

そして、この男がつり上げた魚は、微動だにせず、横たわっているだけです。

どうやら、この男は、プラスチックで作った魚を、糸の先につけていたようでした。

 

お父さん、騙されたんですよ。しかし、買った本は、チャンと読みましょう。

「父さんの次の釣りで何か役立ついい事」

が書いてあるかもしれません。

サザエさん―釣り(10)

 

お父さん、大腸菌汚染に抗議して、海から飛び出した魚は、食べない方が良いよ!

 

朝日文庫版39巻〔41頁〕・昭和44年

『サザエさんの父さんは、今日は、海釣りのようです。遠くに2隻のヨットが見える海岸で釣りをしています。お父さんは、釣竿を岸壁から海に突き出し、釣り糸を垂らしています。釣竿は、その手元を、岸辺の上に置き、大きな石を乗せて動かないようにしています。そうして、お父さんは、少し離れたところに枯れ木を集め、枯れ木に火をつけ燃やしています。お父さんの頭の中では、釣れた魚を、直ぐに焼こう、と思っているようです』

『ジット、釣り糸の先を見ていると、突然、一匹の魚が、海水の中から、勢いよく飛び出し、燃えている枯れ木の中に飛び込もました。お父さんは、ビックリ仰天しています』

『お父さんは、燃える枯れ木の中に飛び込んで、長くなって静かに横たわっている魚を木の枝で突いて良く焼けるように整えています。そこへ、ついて来ていたカツオ君が寄って来て、「大腸菌おせんにこうぎして、投身自殺だよ」ともっともらしい事を言いました。それでも、お父さんは、笑顔で焼けていく魚を突いています。食べるつもりです』

 

サザエさんのお父さんは、今日の釣りは、海釣りだったので、成果がありました。

大き目の魚を獲得出来ました。

しかし、カツオ君が言うには、魚が海水の大腸菌汚染に抗議して、空気中に飛び出し、お父さんが枯れ木を燃やしている火の中に焼身自殺をしたようです。

 

お父さんは、火の中に飛び込んだ魚を助けることはせず、ニヤニヤして焼き続けています。

大腸菌に汚染した魚を食べるつもりです。

カツオ君は、お父さんに、教えてあげないと駄目だ、

「お父さん、その魚は、海水の大腸菌汚染に抗議したんだよ。と言うことは、その魚は自分が汚染されているのを悲観しているんだよ、そんな汚染された魚は食べない方が良いと思うよ」。

 

魚も海水の大腸菌汚染に抗議し、投身自殺する世の中です。

 

昨日、東海道新幹線に開業以来の大事件が起きました。

可燃物を被り、火をつけて、焼身自殺をして男は、何に抗議したのでしょう。

今、真相は定かではありませんが、大きな事件です。

 

しかし、最近の世の中は、何だか物騒です。

ついでながら、地方議員、国会議員は、これまた、何だか変だし、異常です。

上に立つ者、例えば、1番上に立っているつもりの安倍総理もまた異常なのでしょうか??

何だかそうだと思うようになりました。

サザエさん―釣り(9)

 

サザエさんのお父さんも、自慢できる大物を釣ってください。

 

朝日文庫版36巻〔140頁〕・昭和42年

『2人のオジサンが、川岸に腰かけて、釣をしています。一人は、白髪の短髪で眼鏡をかけ、少し長めの鼻髭を生やしています。もう一人は、鳥打ち帽をかぶった鼻が大きく横に拡がったオジサンです。鼻の広がったオジサンが、両手の人差し指を立て、目の前に、肩幅くらいに拡げて、俺が今まで釣った魚は、〈これくらいの大きさの魚〉と自慢しています。白髪の短髪のオジサンは、拡げられた指で示された長さをジッと見ています』

『次は、白髪の短髪のオジサンが、両手の人差し指を立て、眼の前に肩幅よりさらに長い長さを示し、〈私はもっと大きいこれくらいの魚〉を釣ったと自慢しています』

『2人の後ろに、サザエさんのお父さんが、釣道具箱を肩にかけ、釣竿を入れた袋をお腹で支え、両手を拡げられるだけ、一杯に拡げています。2人のオジサン達は、両手を一杯に拡げているサザエさんのお父さんを見て、「上手が現われましたぞ」と言っています』

『サザエさんのお父さんは、両手を一杯に拡げて大きく空気を吸い込むと、「イナカのくうきはウマイ!」と満足げに叫んで、胸一杯に空気を吸い込みんで、吐き出しています。それを見た白髪の短髪のオジサンは、「深呼吸です、シンコキュウ」鼻の広がったオジサンにソーッと教えています。鼻の広がったオジサンは、判ったようです』

 

サザエさんのお父さんは、今日は、田舎の川に釣りに来ています。

その外にも釣り人はいました。

 

釣を趣味にしている人は、釣った魚の大きさを自慢したくて、何時も大物釣りに挑んでいるのでしょう。

2人の釣り人のオジサン達は、互いに、今までに釣った魚の大きさを自慢げに語っていました。

 

そんなところに、サザエさんのお父さんが現われました。

お父さんは、田舎の空気が、爽快で、釣り場に来て、釣を始める前に田舎の空気を、両手を精一杯拡げ横隔膜を大きくし、胸一杯に吸い込みました。

その仕草が、先ほどから、釣自慢をしていた2人のオジサンの魚の大きさに挑戦しているようでした。

2人のオジサンは、あんな大きい魚だったら完全に負けだ!

 

ところが、サザエさんのお父さんが、

「イナカのくうきはウマイ!」

と言ったもんだから、

あの人は、深呼吸するため、両手を大きく拡げたんのだ、

2人は

「深呼吸です、シンコキュウですよ」

と負けてはいないことが、判ってようです。

 

ここでの勝負は、白髪の短髪のオジサンの勝ちです。

サザエさん―釣り(8)

 

果報は、ボーっとして待て!

 

朝日文庫版34巻〔98頁〕・昭和42年

『サザエさんが、川の石垣に腰かけ、足を、石垣から出ている汚染水排出口の土管の上に置いて、釣竿を持ち、釣り糸を川の中にタラしています。横に魚篭を置いてノンビリと釣りをしています』

『サザエさんは、釣竿を勢いよく上げました。釣り糸の先には、餌を取られた釣針だけで、魚はいません。サザエさんは、少しだけ、ガッカリしているようです』

『何時まで経っても釣れません。サザエさんは、疲れた顔をしても、釣を続けています。向うから大きなトラックが走ってきます』

『走ってきたトラックは、荷台から、サザエさんの直ぐ傍に、大きな魚を落として走って行きました。サザエさんは、落ちてきた大きな魚を見て驚いています』

 

今日は、サザエさんが釣りに来ています。

珍しい、どうしたのでしょう。

釣った魚を、晩のおかずにしようとでも思ったのでしょうか?

そう簡単には釣れません。

 

何回も引くのですが、空振りで、釣れません。

草臥れたな、もう帰ろうかな!と思っていた時、

トラックが勢いよく走ってきました。

 

サザエさんの傍を通り過ぎる時、荷台から大きな魚が落ちてきました。

サザエさんは、喜んだと思います。

降ってきた魚だ、届ける必要はない、持って帰ろうと、

直ぐに拾い上げ、魚篭に押しこみ、持って帰りました。

 

家に帰ると

「お父さん、今日は御馳走よ、大きいのを釣ったわ、お刺身にするから一杯飲んで!」

お父さんは、多分、こう言ったでしょう。

「サザエ!でかした、さすがわが娘だ、あんな川でそんな大物を仕留めたか!御馳走になるぞ、うまい」

 

サザエさんの釣りは、こう言うものでした。

サザエさん―釣り(7)

 

魚は釣れず、いやなことばかり続いている時に、嫌なことを言う野次馬は、煩くて堪らん。

 

朝日文庫版34巻〔87頁〕・昭和42年

『久しぶりにサザエさんのお父さんが、川に釣りに来ています。木の下の川岸に腰かけて、釣竿から糸を垂らしていると、何かが掛かりました。お父さんは、ソラ―!釣れたと、勢いよく竿を上げました。すると、糸の先にゴム長靴がぶら下がっていました。お父さんの後で妙な男が、何が釣れるかなーと見ていたようです。お父さんが、長靴を釣りあげたのを見ると、「へたのよこ好き!」と、下手な格言を言って揶揄しています。格言好きの男のようです』

『今度は、お父さんは、釣り糸に引きが来たので、思いっきり釣竿を上げると、跳ねあがった釣り糸が木の枝に絡みつきました。お父さんが、絡みついた糸を、枝から取り外そうとしますが簡単に外せません。汗をかいて健闘していると、さっきの格言好きの男が、また、「かんなん汝をタマにす」と格言を言って揶揄しています』

『お父さんは、糸を木の枝から、なかなか外すことができず、イライラとし、とうとう、糸を木の枝から引きちぎりました。それを見ていた格言好きの男は、また「オット、たんきはそんき!」と揶揄しています。お父さんは、可なり気分を害しているようで、目を怒らせ口を歪めて怒っています』

『お父さんは、格言好きの男が、何かと下手な格言を口にし、自分を揶揄しているのに怒り、とうとう、釣竿を振り上げ、格言好きの男の頭の家に振りおろしました。釣竿は、見事に格言好きの頭の上に落ちています。男は「くちはわざわいのもと」と泣きっ面をしています』

 

サザエさんのお父さんは、久しぶりに川に釣りに出かけていたようです。

しかし、その日は、魚が釣れない日だったようです。

魚ではなく、長靴が釣れました。つれたーと思って、思いっきれ釣竿を上げたら、糸の先の餌は取り上げられ、空の針が勢いよく飛びあがり、樹の枝に巻きついて、引っ掛かってしまいました。

 

糸を引き、枝を手元に持ってきて、木の枝から、針のついた糸を外そうとしましたが、釣糸は、妙に木の枝に巻き付き、簡単にはとれません。

イライラして、取り外そうとしていると、

妙な男が、俺の釣を見ていたらしく、

長靴を釣ったら

[下手の横好き]

と言い、釣糸を木の枝にひっかけると、

[かんなん汝をタマにす!]

などと言って冷やかしてくる。

 

その後、枝の絡みつき、外せないので苦労していると

[オット たんきはそんき!]

などと冷やかしている。

 

もう、勘弁ならンと、そ奴の頭を釣竿で殴ってやった。

見事!格言好きか、野次馬野郎か何か知らないが、

オレの釣竿が、そ奴の頭の上に命中した。

そ奴は

「くちはわざわいのもと」

などと、格言を言い泣きっ面をしていた。

これで、今日の釣りもすっきりした。

もう、釣りは止めて帰ろう。

サザエさん―釣り(6)

 

川の水で冷やした瓶ビールは、暑い日には美味しいでしょう。こんな暑い日は、釣りより冷えたビール!!

 

朝日文庫版20巻〔136頁〕・昭和33年

『雲一つなく、太陽が、ガンガンと輝いている日です。サザエさんのお父さんは、日よけ帽を被ることもなく半袖のシャツを着て川辺を散歩しています。すると、ある川岸に、一人の、日よけの藁帽子を被り、釣竿を手にし、釣り糸を川にタラしている、首には手拭を巻き、半袖のシャツを着た小太りのオジサンがいました。サザエさんのお父さんは、そのオジサンの後ろに立ち釣竿の先を見ています。オジサンは、じっと川面をながめ釣を続けています』

『酷く暑い日でした。太陽は、ガンガンと輝き、暫く、後に立って釣を眺めていたお父さんも、汗が出てきました。オジサンは、全く釣れずに、辛抱強く川面を眺めています』

『太陽は、ガンガンと輝いています。もうかなりの時間がたちますが、全く釣れません。オジサンは、忍耐強い人で、辛抱強く川面を見ています。サザエさんのお父さんは、余りの暑さに汗が噴き出して来ました。お父さんは、ハンカチを取り出して、額に噴きだす汗を拭いています』

 

これからどうなったと思いますか?

 

意外なことが起こりました。

 

『川面をジッと見て、釣りをしていたオジサンが突然振り返り、サザエさんのお父さんは見て、「だんなよくひえてますよ いかがです!」と言うと、釣竿を上にあげて、釣り糸を引き上げるとその先に、水が滴るビール瓶がぶら下がり、手にはコップと栓抜きを持っています。お父さんは、オジサンの変わった勧誘に驚いています』

 

サザエさんのお父さんは、今日は、川で釣りをしている人の見物でした。

酷く暑い日だったようです、涼しげな出で立ちではありますが、汗をかいています。

「この人釣るかな~」

と見ているうちにも、ますます汗は噴き出して来ます。

可なりの汗がでたころを見測るように、突然、オジサンは、サザエさんのお父さんの方に振り返ったのです。

 

オジサンは、さも、大物が釣れたかのように、釣竿を大きく釣り糸を引き上げるのです。

すると魚とは違う、ビール瓶が釣れています。

オジサンは、それを誇らしげに見せると、

「だんなよくひえてますよ いかがです!

と言うのです。

 

サザエさんのお父さんはどうしたでしょう。

 

その前に、このオジサン、どうしてこんなことをしたのでしょう。

冷蔵庫も家にない、孤独なオジサンは。ビールを川の水で冷やして飲もうと、瓶ビールを外に持ち出し、川の水で冷やしていた。

あるいは、商売にしていたのでしょうか?

こんな川で釣りをしていると、冷やかしに、何が釣れるか覗きに来る奴は必ず一人はいる。

そんな奴を捕まえて、冷やした瓶ビールを売りつけてやろう。

と待ちうけていたのでしょうか?

 

いずれにしても、サザエさんのお父さんは、このオジサンのターゲットになりました。

 

さて、サザエさんのお父さんはどうしてでしょう。

 

多分この日の猛暑に堪らず、オジサンの横に座りこんで

「あ!有難い、こんな暑い日は釣りどころではないでしょう。美味しそうな冷えたビールを一緒に飲みましょう。お代は持ちます」

とぐらいは張りこんだと思います。