サザエさん―釣り(15)
お父さん!砂の上のボートから、釣をしようとしても、それは出来ません。
朝日文庫版35巻〔90頁〕・昭和42年
『太公望であるサザエさんのお父さんが、太陽が照り輝く日、ボートに乗って海釣りをしています。日よけ帽を被り、釣竿をボートの縁から突き出していますが、どうやらウトウトと頭が前後し、居眠りを始めたようです』
『サザエさんのお父さんは、ボートの縁から釣竿を突き出したまま、遂に、ボートの上で、目を閉じ、頭を前に倒し、上半身が前後して、遂に、完全に居眠りに入りました』
『ボートから、かなり離れた海岸の堤防に、海を見ていた、サングラスをした短髪の男と、横縞のシャツを着た青年がいました。お父さんの様子に気が付いた青年が、短髪の男に「しらせてやろうよ」と言っています』
『2人は、居眠りしているサザエさんのお父さんの方に向かって、大きな声で「とっくにひきしおになっているよ~~~~」と叫びました。サザエさんのお父さんは、その叫び声で目を覚まし、周りを見回して、海水もない砂の上で動かないボートの上で、眠いっていたことをに気付き、驚いています。海は、ボートから遥か遠くの方で波打っています』
サザエさんのお父さんは、釣り好きの、太公望のようです。
今日は、ボートに乗って海釣りです。
しかし、疲れている上に、ポカポカと暖かい日です。
しかも、やはりお父さんの釣りは釣れないのでしょうか、ボートから釣竿を突き出したまま、全く釣れず、ウトウトと居眠りをしたようです。
眠りはじめて、かなりの時間が経ってしまいました。
干満差の大きい海があります。
中でも、九州の有明海は、大きい方でしょう。
昔、子供の頃、有明海の干潟で、アゲマキと言う棒状の二枚貝を採りに行っていました。
この貝が住んでいる海は、大きい干満のある潟の中でした。
腰まで浸かってしまう潟の中で、その住処までは、長い板の上に箱を取りつけた、潟の上を、体が沈まないように、かつ、素早く移動できるのりもの:【ガタスベリ】に乗って行きました。【ガタスベり】は、子供心にも楽しい乗り物でした、板の上に左足のひざを乗せ、両手で箱を持ち、右足で潟を蹴って素早く走ります。
今で言うなら、スケートボードのような乗り物、いや、これより素晴らし乗り物のように思い出されます。
暑い夏、上半身裸になって、潟の上で少しの海水のしぶきが飛んでくる中を走るのですから、爽快でした。
こんな遊びで、美味しいアゲマキ採りは、今でもやっているのでしょうか?少年時代の幸せな思い出です。
サザエさんのお父さんは、干潮時の海水もない海辺で、ボートに乗って、釣竿を差し出し、眠っていたのです。
多分、この昼寝は、何とは言えず、心地良いものだったのでしょう。
お父さんは、周りに海水もない砂の上に乗っているボートの中で眠りこけていたのです。
こんな所では、例え、太公望でも、魚を釣ることは出来ません。
幸いに親切な人がいました。
「とっくにひきしおになっているよ~~~~」
と教えてくれました。
お父さんどうしますか、砂の上を、ボートを波打ち際まで押して行き、海に浮かべて釣りを続けますか、しかし、もう釣りは止めてお帰りになった方が良いと思いますが!