サザエさん―面白い落ち(167)
カツオくんも良い事をします(1)
朝日文庫版33巻〔42頁〕・昭和41年
『カツオ君が、冷蔵庫から製氷皿を取り出しています。サザエさんがガラス戸の陰から、「またやってるな!」と言いながら、ガラス戸の陰から覗いています』
『カツオ君は、製氷皿を持って外に駈けだしていきました。サザエさんが、戸口まで現れ、怒った顔をして、「フンひとがみていないとおもって」と怒っていま』
『サザエさんが、カツオ君を門のところに追っかけていくと、カツオ君は、ヘルメットを被り、汗をタラタラと流している道路工事のオジサンが差し出すヤカンに、製氷皿のなかの氷を入れてやっています。工事のオジサンは「ありがとよしんせつだな!」とニコニコと汗びっしょりの笑顔でお礼を言っています。追っかけてきたサザエさんは、その様子をジッと見ています』
『サザエさんは、居間のお膳に片肘をついて、悩んでいます。それを見たカツオ君は「わかるわかる!その自己嫌悪のきもち」と理解を示しています』
カツオ君も悪戯ばかりではありません。
本当は気のきくいい子なのです。
サザエさんは、カツオ君が製氷皿の氷を冷蔵庫から持ち出した時、カツオ君がどんなイタズラをすると思ったのでしょうか?
製氷皿の氷を1人で食べてしまうとは思わないでしょう。
カツオ君が、氷を使ってするイタズラ、
例えば、女の子に近づき、後から氷の塊を服の中に入れる。
サザエさんが歩いて来る道に凍りをバラまいてサザエさんを滑らせる。
男の友達を集め、一緒にアイスホッケのように棒で叩き、遠くに飛ばす競争をして人に迷惑をかける。
いろいろあるでしょう。
とにかく、サザエさんは、カツオくんが氷を持ち出し、間違いなく、何か良からぬ悪戯をすると思ったのでしょう。
ところが、カツオ君は、良い事をしたのです。
暑い中、汗水たらして、道路工事をしているオジサン達に、製氷皿の氷を挙げているのを見たのです。
それを見た瞬間、何ということだ、私が思っていたのとは、全く違う良いことをしている。
自分で自分にいや気がさしたのでしょう
自己嫌悪です。
イタズラばかりすると思っていたカツオ君を見直すべき時でした。