サザエさん―傘(41)
傘を開くときは、作動ボタンを押せばパッと開きます。服のボタンではりません。
朝日文庫版40巻〔133頁〕・昭和45年
『サザエさんのお父さんとお母さんが、一緒に買い物に出かけました。お父さんは、スーツの上着を右手に持ち、左手に買い物の紙袋をぶら下げています。お母さんは、スーツを着て、左腕に傘の手元を引っ掛けて持ち、両手に包装紙に包んだ2個の箱を重ねて持っています』
『買い物も済ませ家に帰っていると、突然、雨が降り出しました。二人とも空を見上げ、お母さんが、お父さんに「あなたボタンおして」と頼んでいます』
『お父さんは、「どれだい?」と言いながら、お母さんのスーツの背中に一列に並んでいるボタンを見て、指で押そうとしています』
『お母さんは、「いやだカサのボタンよ」と言うと、両手で持っていた2個の箱を左手だけで持つと、自分の左腕にかけていた傘を、右手に持ち、傘のボタンを押して、パッと開きました。お父さんは、ア!ボタンとは、傘のボタンのことか、間違った!と言わんばかりの恥ずかしそうな顔をしています』
お父さんは、「ボタンおして」と言われて何を思ったのでしょう。ボタンは、どこにあるかな~? お母さんを見たら、お母さんのスーツの上着の背中に、ボタンが四個も並んでいる。「エート!どれを押せばよいのだろう」と考えました。が、どれかわかりません。これかなと一番上のボタンを軽く押しながら「どれだい」と言ったのです。
お母さんは、背中に、1番上のボタンに触れているお父さんの指を感じ、何しているんだろう?お父さんは、と思い、雨は降ってくるし、少し苛立ってきました。両手で持っていた重ねた箱を、左手一本で持つと、右手で傘をシッカリと持ち、傘の作動ボタンをパチッと押しました。傘はパッと開きました。お父さんは赤い顔をしています。気がつかなくて面目ないと思っているのでしょう
カサにもボタンがあるのです。作動ボタンと言うそうです、ボタンを押すだけで、傘はバネの力で勢いよくパチッと開きます。スーツの背中のボタンを押しても、傘は開きません。