雁屋哲さんとは、かれこれ35年以上のお付き合いだ。

「美味しんぼ」は、その舌鋒の鋭さから、たびたび物議をかもした。

本物の醤油は、昔ながらの製法で、丸大豆とにがりを含んだ塩と麹、水だけを使い、蔵酵母の助けを借りて、長時間醸して作られる。

第三巻の5話で取り上げられた。

当時の大メーカーは、主原料に脱脂加工大豆を使い、塩は精製塩でその他アルコールや様々な添加物を入れて、工場で作られていた。

小学館のビッグコミックスピリッツへも、キッコーマンから猛抗議が来た。小学館の営業はさぞ肝を冷やしただろう。大手広告代理店を通じて、小学館に支払われる広告出稿量は、数十億の単位だったからだ。

1940年に、後の戦争に備えるための物資の不足に、当時の政府が先手を打ち、脱脂加工大豆や添加物の使用が認めたのだ。それが延々と終戦後40年も続いていたのだ。

その抗議に、雁屋哲さんは直接対応した。本物の醬油とは何か?どうやって作るのか?を、電話で長時間説明した。抗議した担当者は、だんだんと態度を変え、熱心に聞き入ったそうだ。

その後、キッコーマンから、”丸大豆醤油”が発売されたのだ。皮肉な話である。

これは雁屋さんから直接聞いた話だ。

雁屋哲さんも大恩人なので、改めて別稿で。