最近見た夢の話である。
男は砂浜を歩いていた。
すると、波打ち際から一條の自転車の車輪の跡が続いていることに気づいた。
その車輪の左側には、人のものらしき足跡が残っている。
何者が、海の底から自転車を押して陸地に上がってきたのだろうか。
そう思うといきなり好奇心が湧き、その自転車の轍を着けることにした。
車輪の跡は砂浜を越えて、道路を横切りトウモロコシ畑に向かっていた。
左側にある足跡も残ったままなので、その足跡の人物は丘に上がっても自転車に乗らず、ずっと車体を押していたのであろう。
やがて自転車の跡は、トウモロコシ畑の中に消えていた。
それでも気になったので、男はトウモロコシ畑に分け入り、自転車の跡を追った。
トウモロコシ畑を抜けると、目の前には小高い丘がそびえていた。
自転車の跡は、その丘に向かっていた。
男が丘に登ると、今度は眼下に谷があり、自転車の跡はその谷底へと続いている。
男は、崩れそうな岩場をゆっくりと降りた。
薄暗い谷底には木が生い茂り、フクロウの声が木霊する森があった。
そして、その森の奥に向かって轍は続いていた。
森の奥まで歩き、乗り捨てられた自転車を発見した男。
男はその自転車をゆっくり起こすと、自分のもののように押しながら、森を通り抜けた。
森を通り抜けると、いきなり明るい海岸へと出た。
男はそのまま自転車を押しながら、波打ち際に向かって砂浜を歩いて行った。