涼しい朝を迎える。

 

 お盆を過ぎ、秋の気配が少しずつ漂い始めた。

 

 庭先の草むらで、小さなショウリョウバッタを見かけた。

 

 毎年、この季節には必ずやって来る、あの世からの小さな使者である。

 

 

 お昼は美味しいサンドウィッチを食べようと思い、商店街にある喫茶店兼サンドウィッチ屋に行く。

 

 その途中で、新品の自転車に乗ったE子さんと出会った。

 

 E子さんは、トレードマークのアフロヘアーに造花のハイビスカスの花を付けていた。

 

 そのハイビスカスのことを褒めると、彼女は随分と嬉しそうに、

 

「これ、沖縄で買って来たお土産だったんだよ」

 

 と言った。

 

「すごくいいですよ。似合っているね」

 

 と自分が言うと、E子さんはアフロヘアーを撫でながら、ニコニコとした。

 

 彼女が忙しそうだったので、すぐに別れたが、あとで新品の自転車も褒めてあげたらよかったなと思った。

 

 喫茶店兼サンドウィッチ屋は、コーヒーも美味しいのだが、サンドウィッチはテイクアウトにして、家でコーヒーを飲みながら、好きな音楽でも聴こうと、紙袋に入れてもらって大事に持ち帰った。

 

 

 バゲットにハムや野菜が挟まれているサンドウィッチなのだが、それを齧りながら、コーヒーを飲む。

 

 なんとも、のどかな日だ。

 

 自分はふと、庭にいたショウリョウバッタのことを思い出した。

 

 あのバッタは、この世に帰って来たのだろうか、それともこれからまた旅立つのだろうか、と。