今日は、旧盆の中日(中盆)にあたる。

 

 そのせいか、外にはあまりひとけがない。

 

 

 昨日の大雨で、小枝や木の葉などが路上に散乱していた。

 

 涼しさもあったので、今だとばかり、自転車に乗って何カ所かに立ち寄る。

 

 ただ、いつ雨が降り始めるかわからない天候なので、急いで所用を済ませることに。

 

 

 最初に銀行に寄ると、そこで偶然Mさんと会った。

 

 Mさんは、近所のノラネコの世話をしたり、ボランティアで知り合いの高齢者の買い物の代行をしたりしている女性だ。

 

 こちらから声をかけてみると、きょとんとして、

 

「あたしのことを知っているの?」

 

 とおっしゃった。

 

 一瞬、えっと思ったが、冗談ではなく本心からのようだったので、いつ頃に知り合ったとか、あんなことやこんなことがありましたよね、とMさんに伝えた。

 

 すると、Mさんもなんとなく思い出したようで、ニコニコしながら、

 

「じゃあ、そっちも元気でね」

 

 と、自分の肩を軽く叩いた。

 

 Mさんとは、そのまま別れた。

 

 久しぶりに会ったのだが、Mさんの印象も少し変わってしまったようだ。

 

 元々は話好きで、世話好き、ネコが好きという人だった。

 

 そのときふと、20年くらい昔にMさんから紹介された一品料理のお店を思い出した。

 

 

 そこは80代くらいのおかみさんがやっているお店で、店内にチワワがいた。

 

 家に置いておくと寂しがるので、お店に連れてきているようだった。

 

「犬がいるけど、びっくりしないでね」

 

 と、Mさんから教えられていたので、扉を開けると同時に吠えられても、それほど驚きはしなかった。

 

 犬にしても、しばらくすると慣れたせいか、おとなしくなった。

 

 おかみさんは大の話好きで、ご近所の話題が多かったが、ちゃんとオチのある笑い話であった。

 

 気に入ったので、その後も何度か伺ったが、ある日突然おかみさんが亡くなり、お店を閉めることになった。

 

 その場所はしばらくして更地となり、数年ほどすると立派なビルが建っていた。

 

(あのお店、どの辺にありましたっけ? 犬がいて、おかみさんがいつも面白い話をしていた、あのお店です……)

 

 そのことをMさんに聞こうとしたが、聞きそびれてしまった。