とあるクリスマス・イヴのこと。
夜空から転げ落ちてしまったお星様が、デパートの前に飾られたクリスマスツリーに引っかかった。
お星様は、LEDのモチーフライトのお星様に混じりながら発光を続けていたが、突風が吹きつけ遠くに飛ばされた。
地上に落下したお星様は仕方なく、そのまま点滅を続けた。
そこを父親、母親、女の子の家族連れが通りかかった。
女の子は足元のお星様に気づき、そっと拾い上げてオーバーのポケットにしまった。
しかし、女の子のポケットには穴が空いていて、その穴からお星様は再び転げ落ちた。
そしてお星様は転がりながら、今度は道路にある側溝の鉄格子に引っかかった。
女の子は途中でポケットの中に入れたお星様がないことに気づき、さっきの道を戻りたいと両親に訴えた。
「なんで戻りたいんだね」
と父親が言うと、女の子は、
「さっき拾ったお星様がなくなったの。きっとポケットの穴からどこかに落ちてしまったのよ」
両親は、妙な事を言う子どもだな、というような表情で顔を見合わせた。
「取りに戻って来る」
女の子は、来た道を走った。
側溝の鉄格子に引っかかったお星様は、気づいてと言わんばかりに、かろうじて弱々しく点滅を繰り返していた。
女の子はその光を見つけて、お星様を拾い上げた。
そして、そのお星様を強く握りしめながら、両親の元に走った。
女の子は白い息を吐きながら、両親にお星様を握りしめた手を突き出した。
「ほらね、お星様よ。嘘じゃなかったでしょ」
そう言って広げた女の子の手のひらには、色あせ錆び付いたクリスマスツリーの星飾りがひとつ乗っかっているだけだった。