ねえミッキー

今日はアヒルの彼女とデートをしたよ
映画館に行って食事をして それからホテルで寝た

僕は彼女とベッドにいる時 ずっとアリスのことを考えていた
きっと彼女もそれは知っていたんじゃないかな
少し寂しそうな顔をしていたからね

彼女はベッドで僕のペニスを触りながら
いつか一緒に暮らしたいと言ってきた
彼女にはアヒルの恋人がいるのに?

別れないのに? どうかしてる


でも本当にどうかしてるのは僕だ

それはわかってるさ


ねえミッキー


この世界では正論だけが正しいことなんかじゃないんだ

ねえミッキー

僕の恋人 アリスが死んでから
もうどれぐらいの年月が経ったんだろう
その間に世界は とんでもなく変わっちまったんだ

僕はあれから一日でも まともな気持になんかなれてない
アリスを失ったという 事実だけを背負って生きてる
僕の影はあの時間に打ち付けられたまま
まだ今の僕までおいついてこないんだ
だから 僕は自分が自分でないような気がするんだろうね

ミッキー きみ よかったらアリスのどこが
気に入っていたのか 話してくれないか?
例えば笑顔とか 例えばよくやってたイタズラだとか
なんでも構わない どんな些細なことでもさ

僕の頭の中のアリスは 本当にあのアリスなのか自信がなくなってきたんだ

ほら 人は過去の記憶を美しく変えてしまうだろう?
僕はアリスはアリスのままで きちんとわかっておきたいんだよ

三人でオイスターバーにいったよね
僕はワインを飲んでいささか酔っていた

幸せだった
ねえミッキー

酷い話さ きみに手紙を書いたのに
インクを便箋にこぼしちまった 台無しってわけだ

でもまあ 過ぎたことを悔やんでもしかたがない
新しく書けばいいだけさ


僕の街では一年中 霧のような雨が降ってる
住人もみんな背中を丸めて 病人のような顔をして歩いてる
きみの街は華やかでいいよね
なんていうのかな 絵の具の問題 とでも言おうか
きみの街は赤や黄色 たくさんの カラフルな絵の具で彩られてるみたいだ
僕の街は黒とグレーしかない パレットだってひび割れてる
同じふうに描いても 絶望的に違ってしまうのはそのためさ

言い訳に聞こえるかい?
あるいはそうなのかも知れないね

でも 誰に対する言い訳なんだい?