撮影日   2022.5.27

撮影場所  えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン 糸魚川駅

 

前回に続き、トキ鉄の観光急行の車両紹介の続きです。

今では見る事の出来なくなった国鉄型電車の姿がここに有りました。

 

(一枚目)

・市振方先頭車、クハ455-701です。こちらは「アルペン」のHM

付きで北陸地区の急行で多用された両脇に羽が付いたスタイルです。

一見前面行先表示器(種別幕)に「急行」と表示されている様に

見えますが、実際は準備工事状態の為車体に直接描かれています。

Hゴムの色は灰色でより国鉄時代の姿に近いです。

タイフォンカバーはオワン型です。

 

このクハ455形700番台は一筋縄では行かない車両です。

元々はサハ455形0番台から改造されたもので、抑速勾配ブレーキ

付きの交直流型グループ(50Hz向け455系・60Hz向け475系・

三電源方式457系)の一員ですが、本番台は1971年に北陸快速

向けに8両が製造されただけでした。当車両は旧番サハ455-1で、

川崎重工製です。

民営化直前に413系が登場する際、予算の関係か制御車の内2両

だけは車体新製では無く中間車の制御車改造で賄う事となり、

サハ455形2両をクハ455形700番台に改造し組成しました。

よって一見急行形スタイルですが、改造後は413系と組成された

為急行運用には就きませんでした。

既存車に合わせた「東海形」スタイルでシールドビームで登場し、

違和感は少ないですが、前面の幌座は張り出しておらず413系に

合わせてあります。尚参考文献(RAIL FAN)の諸元表によれば

抑速ブレーキ付きとなっていますが、電動車ユニットが装備して

いない為使用できないのではないでしょうか。

 

改造後は413系の一員として走り続け、2015年に北陸地区の

475系列が引退した後もクハ455形700番台は残りました。

末期は2本共七尾線用の赤色になっていましたが、2021年に

引退しました。

その内当車両については413系B-06編成と共にトキ鉄へ

譲渡され、B-06編成の電動車と組んで「観光急行」に使用

されています。

(二枚目)

・側面です。

片開ドアにユニット窓が整然と並んだスタイルで、急行形電車の

スタイルを良く残しています。両開き・中央寄りの電動車と

片開・車端寄りの制御車の組合せの為編成内で大きくドア配置が

異なっています。

尚七尾線での現役時代に撮影しています(2019.11.30)。

七尾線での415系&413系 | 303-101のブログ (ameblo.jp)

 

尚サハ455形自体は北陸地区の457系列に増結用でMc+M´+Tと

いう編成が存在した為、2010年まで残っており更に消滅直後に

一部先頭車への保安装置設置を省略する為、先頭車を付随車

扱いに変更した為、クハ455形改造でサハ455形が復活しました。

もっとも2011年には消滅しています。

更に455系や475系等は民営化後短編成化の為制御車改造車が

多数登場し、クハ455形は165系を含め先頭改造車やサロからの

格下げ車が多数存在し区分番台も形態もかなり複雑となりましたが、

意外にもサハ455形の改造車は700番台だけでした。

(三枚目)

車番です。国鉄フォントを今に残しています。

国鉄の急行形電車は始祖の153系以来、ユニットタイプの2段窓を

採用しており、近郊形や一般形に先駆けての採用でした。

但し形状が異なっていて窓内部の隅にRが付いており、413系と

形状が異なっています。

(四枚目)

413系と組んだ後は使用機会は少なかった筈ですが、サボ受けも

残っており撮影時は「アルペン 市振・糸魚川⇔直江津 

快速・とがくし 妙高高原⇔直江津」と表示されていました。

他に1号車の号車表示と「急行 指定席」のサボも。

ドアは413系に合わせ半自動ドアに改造された為取っ手が後付け

されており、内張はステンレス無塗装です。

ドアエンジン部は大きく張り出しています。

(五枚目)

クハ455形700番台の外見の最大の特徴、側面行先表示器です。

413系に合わせ設置されたものですが、当時の国鉄型車両は

設置個所が均等にかつ車体左右側面で対称になる様にした為、

こちら側の側面は行先表示器が運転台寄りで設置個所下部の

窓は固定窓になっています。

他の国鉄急行形電車では北陸地区の475系等の一部にLED

表示器を設置した例を除き、側面に行先表示器を設置せず

最後までサボを使用していました。

(北陸ではLED表示器設置が完了する前にサボの使用を止めた

為、行先が全く分からない場合が有りましたが…)

(六枚目)

ドアです。国鉄急行形電車の普通車標準の1,000㎜幅の

片開扉で、交直流型はステップ付きですが現在は413系と

共に埋められています。車内にはごみ箱も見えます。

(七枚目)

413系では制御車にトイレが設置されており、クハ455形

700番台組み込み編成では当車に設置されています。

尚北陸の475系では僅かにクハでは無く中間電動車のトイレを

使用していた編成が存在しました。

隣の413系と違い転落防止幌未設置なのが分かります。

(八枚目)

トイレの窓は大型窓で、上部に別に小窓が設けられています。

急行形は近郊形と異なり便所と洗面所が独立しており、こちら

側は便所で反対側は洗面所です。

(九枚目)

反対から見たクハ455-701の姿です。

先頭車改造の際、413系に合わせセミクロスシート改造及び

デッキの撤去が行われ、ドアエンジンも交換された他冷房用

電源のMGも413系と同じく制御電源兼用に改造されました。

こちら側の側面は見にくいですが、連結面側戸袋窓上部に

行先表示器が設置されています。

尚種車のサハ455形は急行形電車でも後期の製造の為、新製

時からAU13Eクーラー6基と冷房電源付きで落成しています。

 

塗色はトキ鉄入線時に旧国鉄交直流型急行電車標準の赤

13号とクリーム4号の塗色に変更されました。

よってこの車だけ見るとかつての交直流型急行の姿を

彷彿とさせます(実物を見た事は無いですが)。

北陸地区に残存した475系列は末期にこの塗色に復元

された編成もいましたが、全て引退したのが残念です。

尚60Hz向け車両は側面裾に識別用にクリームの帯を

1978年まで入れていましたが、そちらは復元されて

いません。

(十枚目)

この塗色は乗務員室扉上部付近で屋根肩の帯がZ状に塗り

分けられています。

台車は国鉄優等用電車標準と言えるインダイレクトマウント式

空気バネ台車で、動台車はDT32・写真の付随台車はTR69です。

451系・471系に始まり485系や117系まで採用されたヒット

作です。

(十一枚目)

モハ412-6の反対側側面です。

413系ではこの塗色は初登場ですが、余り違和感は有りません。

ユニット窓の隅は角ばっています。

クハを含め屋根は塗装屋根になっている様です。

AU75等の集中冷房車はクーラー脇にランボードが付くのが

標準的ですが、413系では付いていません。

通風器は全車全て撤去されています。九州でも急行形の457系や

急行形の近郊改造車で413系の交流版・717系でも全て撤去

されていましたが、東日本の同型車は残存していました。

(十二枚目)

クモハ413-6の反対側側面です。

左右で雪切室や側面行先表示器が対象配置となっています。

かつては北陸本線を走破していて直江津駅まで乗り入れて

いましたが、最後は七尾線運用となっていた為トキ鉄に

譲渡されて再度新潟県内を走る事になりました。

 

 

次回は車内編です。

 

参考文献  RAIL FAN  NO.749  2017.2臨時増刊号

      特集:451~475系電車

 

参考HP   ウイキペディア 関連ページ