撮影日・場所 各写真に記載

 

以前紹介した熊本市電最古参の1060形に続き、今回は2番目に古い1080形の紹介です。

※1060形についてはこちら(2021.4.10)

初めて撮影 熊本市電の最古参1063号車 | 303-101のブログ (ameblo.jp)

 

(一枚目)

・A系統 健軍町行きの1085号車です(2018.1.3)。

 

1080形は1954年に180形として7両が製造された半鋼製低床式ボギー車です。

車体は前年の170形が前後折戸だったのに際し一変し前中引戸となり、以後

同局の標準となりました。車体長は1m伸びて12.0mとなり、これも同局の標準と

なりました。その前の160形を前後引戸にしたスタイルです。

車体は当時一般的なウインドシル・ヘッダーが窓の上下に設置された仕様で窓は

2段窓です。前面窓は3枚窓で中央窓の幅は広くなっています。

屋根は張り上げ屋根ですが浅い独特なスタイルで、これは熊本市電の旧型車の

特徴の一つです。

足回りも当時の標準の直接制御に吊り掛け駆動で、モーターは東洋電機SS-50(38

kw)×2基です。台車も平軸受けに板バネ式の住友H-2274(186・187は日立製)で、

標準的なスペックでした。

 

尚製造は184・185は東洋工機、他は新木南車輛製です。前者は元は日本鉄道自動車と

名乗り中小私鉄や路面電車を製造していたメーカーで、1970年に鉄道車両の製造を

停止しています。同局ではこれ以降350形(現 1350形)迄が同社の手によっています。

近場では鹿児島市電500形を製造しており、ごく一部が現役です。

後者は戦前から戦中にかけやはり中小私鉄や路面電車向け車両を多く製造した木南車輛の

後釜です。同社の解散後1951年に立ち上がりましたが、実績は僅かで1954年に倒産した

そうです。

熊本では170形(現長崎電軌600形)、180形 (現1080形)を製造しており、現存は1081と601

の2両だけです。 

 

1967年から1968年にかけ全車ワンマン化され、1080形となり蛍光灯化やZパンタ化が施工

されました。その際尾灯がバス用の物になり、前面や出入口脇にワンマンの表示灯が設置され

外観が変わりました。

1977年には1086と1087が廃車されています。

熊本市電は日本で初めて路面電車の冷房化に着手しており、本形式も1979年から1980年に

かけ残存車は冷房化され、集中式冷房が搭載され暖房も設置されました。

 

塗色は何度か変わり特別色が採用された事も有りますが、90年代以降は白に緑帯が標準と

なっています。更には広告ラッピングも施されています。

90年代に入ると廃車が再開され、1084は1993年、1082と1083は2001年に引退しています。

残る1081と1085は稼働機会が低下し、私が熊本にいた2000年代前半は殆ど動くシーンを

見ませんでしたが最近は動いている様です。

2011年には方向幕の更新、2012年からリフレッシュ工事が行われ2014年にICカードリーダー

設置も行われています。

製造から70年近く経ちますがまだまだ現役です。

(二枚目)

・こちらは白川を渡る大甲橋上での同車で、翌年の撮影です(2019.10.17)。

同じ内容の広告ですが逆エンドの為文言が違います。

 

旧型車の中でも1063と本形式はバス窓では無い2段窓でウインドシル・ヘッダーが付き、

台車も古めかしい板バネ台車の為一層古めかしく見えます。

窓枠は近年まで塗装(木製?)されていましたが、最近無塗装のアルミサッシになり少し

若返った感が有ります。

前面窓も改造され、中央はHゴム固定窓で両脇は上段のみHゴム固定、下段はアルミ

サッシの上昇式です。このスタイルが旧型車の標準です。

鋼製ドアですが後年交換されているかも知れません。

この1085は上述の様に東洋工機製となっています。

 

1090形以降のバス窓スタイルの旧型車に比べレトロ感が強い本形式。

ラッピングされている為割と活躍の機会が有りそうです。

 

以上です。

 

参考文献 鉄道ピクトリアル NO.688 2000.7 臨時増刊号 【特集】路面電車~LRT

 

参考HP ウイキペディア 関連ページ