「この世界の片隅に」 | Hiroppeのブログ

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絵やマンガを描くのが好きなアラフィフ専業主婦です。

息子の発達凹凸の受容、道半ばです。義母から指摘されてからのありのままの感情の記録を残してあります。

私の母は、絵を描くのが好きで、高校は美術を勉強できるとこに進みたかったらしい。

「女が絵なんかやってどうする」と、私立にやるお金がなかった祖父に反対されて、40半ばになってそれを蒸し返して恨んでいた。

中年の危機だったんだと思う。






19になった冬の受験も私は失敗した。母が亡くなってすぐだったけど、それでなくても落ちたと思う。

美大受験は、一、二年の準備で受かるほど甘くなかった。

三月、初めて藝大の卒業制作展に行って、アニメーションの作品に見惚れた。

心が癒された。




藝大にはかすりもせず、二浪して入った美大で、アニメーションをやろうと思った。

沢山名作を見させてもらった。

目のつけどころ、悪くなかったと思うけど、結局なんにもできなかった。
才能、なかった。


「まあいいわねえ、女の子の美大…」なんて、ちょっと嫌味っぽく言われたこともある。

成り行きというものがあるんですよと言いたい。






今は小さな頃から得意だった絵も忘れてしまった。

家の年賀状すら、担当させてもらえない。

年賀状ソフトで、「絵は全くダメ」な旦那が作ったほうが早くてきれいだから。

(これにはビックリで、2、3年は本当に情け無くて泣いた)



元々、絵は、母が褒めてくれるから嬉しかったのではないか。






「この世界の片隅に」というアニメーション映画を昨日は最後まで見た。

傑作だった。

ただ生きてるだけでこんな素晴らしい作品が見られて、感動できて、不思議な気分。

クラウドファンディングだけでも参加したかったなあ。



「この世界の片隅に」は戦争の話。
主人公のすずさんは祖母と同い年くらい。

絵を描くのが得意だったすずさんは、大切なものを失っていく。

戦争や震災で大切なものを失った人たちが、それでも生きていけるのは、同じような体験をしているのが自分だけじゃないと思えるからかなあと思う。




祖母は、先生になろうと思って女学校に行ったが、祖母のお父さんが苦い顔をするので途中であきらめた。

農作業の人手が足りなくなるから。


生き方を選べる今は幸せなんだ…。
そんなに選べる訳じゃないけど。


夢を持ち続けるのも、人の死から立ち直るのも、ひとりでは難しいなあと思う。

戦争や震災で家族を失った人は、仲間がいていいなあと思ってしまう気持ち。

私はずっと歪んでる。