トランクに春を詰め込んで | ひとりごと

ひとりごと

The game, Mrs Hudson, is on!

今日のひとりごと。





鈍行じゃなく、特急列車に乗ってみた。

小さな贅沢、大きな出費

適当な席を見つけて腰を降ろし

ふと窓の外を見てみると

隣の列車からこっちをのぞくかわいい6つの眼があった

わたしとばっちり目が合って

彼等は慌てて首をひっこめた

そのまま隣の列車見ていると

そろそろと小さな頭が3つ現れて

またわたしと目が合って

小さい頭たちはまたしても物陰へと引っ込んだ

わたしはおもしろくなって

次に彼等が窓辺に顔を出すのを待った

すぐに 小さい頭がのぞいた

手を振るわたし

すばやく隠れる彼等

にこにこしながらまた顔を出す

負けじと笑顔で手を振るわたし

照れ笑いをする彼等

年甲斐もなく「いないいないばぁ~」

こどもたちはまた笑って隠れた

わたしが彼等の遊びに付き合っているのか

はたまたわたしが彼等に遊ばれているのか









隣にいたおばあちゃんらしき人が

こらこらだめよじっとしてなさい とでも言うように3人をなだめた

それでも彼等はまた

隠れたり笑ったりを繰り返す

かわいいなぁ

その純粋さも、人見知りしない強さも、計算のない本物の笑顔も。

彼等のはにかんだ笑顔が

人生ってたーのしいぃい!と言っていた






やがて発車の時刻が来た

わたしはお別れに手をふった

女の子が手をふりかえしてくれた

列車はスピードを上げて

彼等はすぐに見えなくなった

『一期一会』

そんな言葉が頭に浮かんだ

もう二度と会うことはないだろうその笑顔に

心の中で小さくありがとうと言った

今日一日、わたしの心は凪のようにおだやかだった










ひとの人生を一本の線だとして

それぞれ線は出発点が違い、あちこち方向を変え曲がりくねる

そして長い線も短い線も行き着く終着点はバラバラ

そのなかで

わたしと彼等の線が ほんの一瞬交わった気がした

発車までの5分間

それは線を構成する点のひとつに過ぎない、短い時間

だけど

そんな点をつなげてゆけば

それはちゃんと線になるんだ

わたしの線は

こうしたなにげない点がつながってできたもの。



そのなにげない点のひとつひとつがどれほど素晴らしくてかけがえのないものか

普段のわたしは意識していない。

だからかな

今日みたいに「点」を意識したとき

それはまばゆい光を放ち、輝いて、眩しくて、涙が滲むんだ。











また前を向いて歩き出せる

一瞬一瞬を紡ぎながら

誰かの線と交わりながら





おやすみなさい。