東方神起・JYJ 〜L♡VE Paranoid Fiction〜 -5ページ目



photo:01


CM「キュヒョン…何だって?」

「・・・」

CM「懐かしいな。こうやって歩くの。覚えてるか?」

「・・・」

CM「おばさんと喧嘩して家出した時あったろ?帰りこうやって歩いて帰ったよな」

「ねぇ…チャンミン」

CM「ん?」

「私が…ミナさんと別れてって言ったら別れる?」

CM「えっ?」

「冗談だよ。ごめん。気にしないで」

CM「別れるよ。すぐ。そしたらまた優心に告白するから」

「いいよ。無理しないで。私強くなったから」

CM「俺の気持ちは…どうしたらいいわけ?優心は突き放すけど。俺は優心の事好きなんだよ?」

「今は…ミナさんの事考えて」



笑ってるのに瞳は笑ってない
泪をぐっと我慢してる
今はミナと付き合ってるから…俺が何を言っても強がりしか言わない



優心を車に乗せ家まで送った
車中何も話さない優心はずっと外を見ていた
俺が優心を見ても気付かないかのように…





photo:02


CM「俺ミナの所行くわ」

「そっか。ありがとう」

CM「連絡するから無視すんなよ」

「…うん」




車から降りると振り向きもせず家に入った優心
俺はミナに連絡して自宅に向かった…








優心と別れて辿り着いた異国地、韓国
韓国で生まれてすぐ日本に移住したせいか韓国なんて俺にしたら別世界だった



真っ先に電話したのは、チャンミン
きっとあのまま優心と一緒に帰ってるだろう…
そう思ってたのに現実は違った



photo:01


今すぐ日本に引き返すか?
それとも…チャンミンに全てを任せるか
悩んで…悩んで…出た答えはチャンミンからの連絡を待つ事だった




ーRRRRRRー

静かな部屋に鳴り響く着信音
あれから随分と日が傾き静寂な夜が来そうな頃だった



CM「優心居た。ちゃんと送るから」

KY「そっか。良かった。怪我はしてないか?」

CM「大丈夫。怪我してない」

KY「優心に…代わってくれるか?」

CM「あぁ…ちょっと待って」



photo:02



「キュヒョン?」

KY「優心…チャンミンをもっと頼れよ。言ったろ?俺はもう優心を守れないって。チャンミンなら優心のそばにいる。守ってくれるから…だからチャンミンを頼れ」

「…ヤダって言ったら?」

KY「お前そんなに我が儘だった?チャンミンは優心の事大切にするよ」

「…まだ無理かもしれない」




優心の声は安心をくれる
まだ無理と言ったのは少しでも俺が好きだったからなのか…




CM「もしもし?キュヒョン?」

KY「何だよ」

CM「俺…優心守るから。お前はそちっちで安心して暮らせ」

KY「泣かせるなよ」

CM「うん」




チャンミンが電話先で言ったって事はもう優心に打ち明けたからだろう
お前なら…安心して任せられるよ、チャンミン










photo:01


空港に引き返しても優心は何処にも居なくて
携帯に連絡しても電源は入っておらず優心の居場所がわからなかった
どんどん苛立ちが湧いて出てくる




ーRRRRRー

電話を知らせる着信
ディスプレイにはキュヒョンの文字
優心と空港で別れて早2時間ぎ経とうとしている


CM「キュヒョン、どうした?」

KY「韓国着いた。優心…大丈夫か?」

CM「俺さ、車で送ってくって言ったんだけど、ミナが来てて…1人で帰るって言って」

KY「それで…?」

CM「ちょっと心配になったから電話しても繋がらないんだ」

KY「お前何やってんだよ…」

CM「どっか…行きそうな場所わかるか?」

KY「優心なら…昔よく行ってた森じゃないかな」

CM「森?」

KY「ほら、俺たちよくガキん頃行ってた場所があったろ」

CM「一度行ってみるよ」

KY「居たら…連絡して」

CM「わかった」



キュヒョンの言われた森に向かった
小さい頃よく3人で遊んだ森
しばらく行ってなかった気がする





森に着いた頃には夕陽も傾きかけてた
一歩一歩踏み出すにつれ、忘れて居たあの頃が鮮明に思い出す
小さかったせいか登るのが大変だった木も今では小さく感じられる



奥に進むにつれて生茂った雑草が多くなる
不意に視界が広がり、昔よく遊んでた場所に着いた



倒れた木に座り空を見てる優心が居た





「집에 오는 길은 때론 너무 길어」
(家へ帰る道は時々とても長いんだ)




「나는 더욱더 지치곤 해」
(僕はいっそう疲れるよ)



優心に歩むと徐々に聴こえてくる唄声
キュヒョンがいつも唄ってた曲"かたつむり"




「문을 열자마자 잠이 들었다가 」
(ドアを開くやいなや眠りについて)




「깨면 아무도 없어」
(目覚めれば誰もいないんだ)




ふと唄声は止まり優心の泣き声が聴こえて来た
俺は優心の横に座り続きを歌い出す




photo:02


CM「좁은 욕조 속에 몸을 뉘었을때
작은 달팽이 한 마리가
내게로 다가와 작은 목소리로 속삭여줬어」
(狭い浴槽に身体を横たえた時
小さなかたつむり一匹が
僕に近付いてきて小さな声でささやいてくれたよ)



優心は俺の瞳をずっと見ていた
泪を流しながら一瞬も離す事はなかった



CM「괜찮아. 내가 계속 옆에 있으니까」
(大丈夫。俺がずっと隣にいるから)





少しの間沈黙が続く
耳に入るのは森の囁きだけ
沈黙を破ったのは優心だった




「どうして、来たの?」

CM「心配だった」

「大丈夫って言ったじゃん」

CM「泣いてただろ」

「泣くぐらい…大丈夫だって。それより早くミナさんの所に行きなよ」

CM「…行かない」

「どうして?」

CM「お前が…泣くから…」

「ミナさん泣いちゃうよ」

CM「もう泣かせたよ。ここ来る前に」

「なら」

CM「俺気付いたんだ」

「それ以上…言わないで」

CM「優心が好き」

「馬鹿じゃないの?何言ってんの?」



photo:03


CM「ミナと付き合っても何かが足りなくて…キュヒョンに向ける笑顔が俺はずっと羨ましかったんだ」

「もう止めてよ」

CM「すごく…辛かったんだ。キュヒョンと付き合ってるの見るのが…」

「私、帰る」

CM「聞けよっ!!逃げるなよ…俺から逃げないで」




やっと言えた気持ちが…
今度は優心に届かない
俺から逃げてしまう優心
どうした…俺の所に来てくれる?




photo:04


CM「優心っ!聞けよ、話し」

「チャンミンの話し…聞く権限はない」



幾度となく流れ落ちるキラキラした泪
俺は逃げる優心の腕を捕まえ抱き寄せた




CM「…好きなんだよ…優心が。俺の心から…離れないんだ…」

「・・・」

CM「俺…自分の気持ちから逃げてた。相手がキュヒョンでも…奪えは良かった…」



腕の中でもがく優心をきつく抱き締めた
次第に降参したかのように大人しくなった




CM「帰ろう。送るから…」




優心の手を取り来た道へ戻る
何も話さず黙々と歩く優心
そう言えば…一度似たような事があった
おばさんに怒られて小さなリュックにお菓子と水筒を入れて家を飛び出した優心
夕方になっても帰って来ない優心を心配したおばさん達は俺らの親も加わり優心を必死に探した
結局見付けたのはキュヒョンだったけど俺は優心の手を繋ぎ歩いて帰った記憶が蘇った


あの時、小さいながらに男として泣き止まない優心を家まで送って行かなきゃならないって責任を感じた


おばさんは優心を見た瞬間抱き締めて
俺やキュヒョンに頭を下げるぐらい感謝されたっけ…




俺は歩きながら韓国で心配しているキュヒョンに電話をした…









photo:01


CM「優心、帰ろう」

「私…1人で帰るよ」

CM「俺、車だから送ってくよ」

「…大丈夫。それに」

CM「それに?」

「ミナさん…居たよ。だから私は1人で帰るから」




ミナが居るなんて知らなかった
優心は一瞬淋しそうな顔を見せた
初めて見せた顔…



CM「ミナが居ても大丈夫だろ」

「幼馴染…だから?」

CM「…うん」

「私がミナさんだったら…幼馴染でも嫌だよ。ミナさんと帰って。じゃーね」

CM「…優心っ」




俺の呼び声を無視するように人混みに消えて入った
すぐに背後から腕を捕まれ満面の笑顔のミナ



『やっと見付けたっ』

CM「何してんだよ」

『チャンミン行くって言ってたでしょ?だから迎えに来た』



心の片隅で優心の心配をしながら
助手席に座るミナを乗せ車を出した


何でだろうか…
さっき見た優心の表情が頭から離れない
ミナの言葉も耳に入って来ないぐらい
俺の頭に優心の淋しそうな表情が焼き付いてる


キュヒョンの言ってた哀しそうな淋しそうな表情なんだろうか…



photo:02


CM「ミナ、ごめん。俺行かなきゃならない所あるんだ。駅で降ろすから1人で帰ってくれる?」

『何処に行くの?優心ちゃん?』

CM「そう。あいつ…変な事しないか心配」

『チャンミンはミナの彼氏でしょ?ミナより優心ちゃんの方が心配なの?彼女より幼馴染の方が大切だって言うの?』

CM「ごめん…今はあいつの方が心配なんだ」

『ヒドイよチャンミン…』



ミナは泣き出してしまった
でもミナの泪は惹かれない泪
大切な彼女だけど…優心の方が今は心配でたまらなかった



泣き止まないミナを車から降ろし
俺は元来た道を引き返した











photo:01


俺は少しだけ…優心に言った言葉を後悔した
本音は韓国まで付いて行くと言われた時嬉しくて…結婚してもいいと思ってた
だけど、優心の中に居るのは俺じゃなくチャンミン
ミナと付き合ったばかりだけど
俺が優心と別れたらチャンミンは見捨てないはず
必ず優心の傍に居てくれる…
そう思ったからこそ、あんな酷い事を言ってしまった


チャンミンは何も言わないけど
ミナと別れて優心を迎えに行くだろう



小さなキャリーケースを引き俺は搭乗ゲートに向かった





ー優心、傷付けてごめんなー


そう心で言うと俺の耳に愛おしい声が聞こえて来た




「キュヒョーーーン!!」



ゆっくり振り向くと息を切らせた優心が立っていた




「고마워. 미안해 ... 규현. 힘들 었지?」
(ありがとう。ごめんね…キュヒョン。辛かったよね?)

KY「나야 말로 ... 미안. 저런 말을하고 ... 나 ... 행복 했었어」
(俺こそ…ごめん。あんな事言って…俺…幸せだったよ)

「규현 것 ... 잊지 않을거야? 사랑 해 줘서, 고마워. 나도 행복 했었어」
(キュヒョンの事…忘れないよ?愛してくれて、ありがとう。私も幸せだったよ)



優心の顔には泪はなかった
あんなに酷い事を言ったのに俺に笑顔をくれた
大好きな…優心の笑顔…



KY「한국에 놀러 와서. 안내하기 때문에 ... 창민과 와라 ... 절대」
(韓国に遊びに来て。案内するから…チャンミンと来いよ…絶対)

「그래 ... 간다. 갈테니까. 멋진 그녀 만들어주세요? 약속이야?」
(うん…行く。行くから。素敵な彼女作ってね?約束だよ?)



俺は頷きそっと優心を抱き締めた
感謝の気持ちと優心の温もりを…優しさを…愛しさを…忘れないように…

優心もまた俺の背中に手を回し強く抱き締めてくれた



photo:02


KY「じゃ…またなっ!!身体壊すなよ」

「キュヒョンこそ」




こうして俺たちの恋人生活は幕を閉じた
飛行機の中で俺は嬉しさと哀しさが混じった泪が幾度も流れた…