医療よりも
介護に重点をおくべき
ALSの新薬同様
神経変性疾患に対する効果は限定的
何故なら
変性して脱落した中枢神経は
再生しないため
共同通信より
認知症と「共生」
忘れずに
学会提言
新薬きっかけ
慶応大・三村教授
これからの認知症との向き合い方はどう変わるだろうか。
日本老年精神医学会や日本認知症学会など
国内の関連6学会が昨年11月、
「認知症疾患治療の新時代を迎えて」とする提言を公表した。
新たな治療薬の登場に備えて万全の医療体制を整える一方、
薬の対象にならない人も安心して
暮らせる社会をつくる必要性を指摘する内容。
提言をまとめた慶応大の三村将教授は
「薬の問題は全体の取り組みの一部。
認知症との『共生』に向けた
取り組みの重要性を忘れてはいけない」
と語る。
▽変わるイメージ
三村さんは日本老年精神医学会の副理事長で、
認知症診療の将来像を検討する委員会を率いる。
提言のきっかけは、アルツハイマー病の
進行を遅らせる可能性がある薬の実用化。
米国ではレカネマブやアデュカヌマブといった新たな薬が承認された。
「薬だけでなくもっと広い状況について提言が必要と考えた」
と三村さん。
「認知症の診療がどう変わる可能性があるか、
今何をみんなで考えるべきかを示して国民的な議論を促したかった」
と話す。
提言では、
新たな薬が登場することで
「認知症は治療できない」
というイメージが変わる可能性を指摘。
一方で現在の薬は投与対象や効果が限定的で、
総合的な医療対応が必須とした。
「アルツハイマー病の診断は
絶望的に受け取られることも多かったが、
軽症に限れば治療という選択肢が生まれる」
と三村さんは指摘。
「将来はより良い薬ができて抗がん剤のように
個人の症状に応じて使えるようになるだろう。
脳内に原因物質がたまるのを防いで
老化や発症を遅らせる薬も夢ではない」
とみる。
▽置き去りの懸念
一方で提言は、
薬をめぐる課題は「認知症への対応の一部」とも指摘する。
三村さんは
「今の薬は軽症を対象にしている。
重症になってしまった人が置いていかれるのを懸念
する声は医療関係者の間にも多い」
と説明する。
提言には、
投与対象とならない人にも
治療やケアの手段を提供する必要性や、
共生と予防・治療をバランス良く実現する重要性を盛り込んだ。
国が2019年にまとめた
「認知症施策推進大綱」では、
「共生」と「予防」が2本柱に位置づけられている。
共生は、認知症の人が
尊厳と希望を持って生きられる社会づくり。
予防は認知症の発症や進行を遅らせる
予防策や治療法の実現などを指す。
三村さんは
「新たな薬が注目されて予防に重点が置かれ、
共生の取り組みが置き去りになることはあってはならない。
症状が重い人を社会全体で
どう支えて幸せに暮らせるようにするのかが、
これまで以上に重要になる」
と語る。
▽テクノロジー
ではどんな方法が考えられるのか。
三村さんは
「例えば認知機能が低下した人を
人工知能(AI)などのテクノロジーで
支えられるのではないか」
と話す。
現在は認知機能が落ちると
運転免許の返上が求められるが、
将来は軽度ならAIの支援で
安全に運転できる可能性がある。
教育も大きな課題だ。
「学歴とか勉強ができるということではなく、
好奇心を持って生きることで
認知症のリスクを減らせるかもしれない。
将来世代の教育のあり方を検討すべきだ」
と話す。
大綱は25年までの施策をまとめたもの。
共生社会の実現に向けて
「認知症基本法」の制定を求める声もある。
三村さんは
「薬やテクノロジーなど共生と予防に
貢献できるツールは格段に増えた。
新時代に向けた取り組みを国の施策に反映させたい」
と話す。