認知症 発症前から早期発見で治験へ誘導 | フレイルも認知症も減らない日本

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Nobody is in possession of the ultimate truth.

ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安

何もしないよりは低下した、
35%は予防できる
・・・。

発症する人は発症しますが、
何もしないよりはマシ
と言う考え方。



日本経済新聞より。




認知症の研究、
発症前から 
早期発見で治験へ誘導



認知症の治療薬や予防薬の開発を目指し、東京大学の研究チームが健常者を長期間にわたって追跡する観察研究「J-TRC」を始めた。

思うように創薬が進んでおらず、発症メカニズムから探るためには健康な状態から追いかける必要があるからだ。

認知症にかかる医療や介護といった社会的なコストは大きい。研究機関などではさまざまなアプローチが進んでいる。




認知症は症状や発症の仕組みが異なる多様な病気の総称だ。約7割を占めるのがアルツハイマー病で、たんぱく質が神経細胞の内外に蓄積し脳が萎縮する。親しい人を忘れる、自分のいる場所や時間が分からなくなるといった症状がおこる。血管のつまりなどで発症する脳血管性認知症、幻視や運動障害などがおきるレビー小体型などもある。

厚生労働省によると、国内の認知症の人は2012年で462万人、25年には730万人に達するという。世界で20年ごとに倍増するという推計もあり、国際的な問題だ。

経済的な負担も大きい。慶応義塾大学専任講師の佐渡充洋さんらの推計では、医療費や介護費、家族による介護などを含む社会的なコストは14年で14.5兆円にのぼる。

東大の観察研究では健康な人が認知症になる様子を調べる。参加者はウェブサイトで認知機能を調べるテストを3カ月に1度受ける。記憶力や思考力の変化を追いかける。約2万人の登録を目指す。
アルツハイマー病の発症リスクが高いと予想される人は、血液検査や画像検査などをする。この中から約400人を新薬候補物質の臨床試験(治験)に誘導する目標だ。

主導する東大教授の岩坪威さんは「製薬会社などと協力して参加者をできるだけ長く追跡したい」と話す。

治験に移りやすい観察研究をする背景には、創薬が進んでいないことがある。米バイオジェンとエーザイが10月、米食品医薬品局(FDA)に新薬候補「アデュカヌマブ」の製造販売の承認申請をする方針を明らかにしたが、承認されるかは分からない。

創薬が難しいのは、発症メカニズムがよくわからないからだ。アルツハイマー病では、発症の何年も前からアミロイドベータというたんぱく質が脳で作られて凝集し、老人斑というシミを作る。タウというたんぱく質も遅れて蓄積する。これらの凝集体が神経細胞を傷つけ、発症につながるという仮説に沿って、たんぱく質の産生や凝集を抑える様々な新薬候補が登場したが、治験は失敗が続いた。

発症してからではうまくいかないため、発症前といった早い時期から適した人だけで治験を進めて成功させようというのが東大の観察研究などの狙いだ。こうした早期介入試験は増えており、米研究チームなどが進める国際共同研究の治験などがある。

治験対象者を絞り込む手法の開発も進む。脳での原因たんぱく質の蓄積を調べる陽電子放射断層撮影装置(PET)の検査は1回10万円前後する。より安価な磁気共鳴画像装置(MRI)や血液検査でしぼりこむ技術も出てきた。国立長寿医療研究センター室長の中村昭範さんは「複数の検査を組み合わせることで進行度や種類を見分けられる可能性がある」と話す。


生活習慣などとの関係を探る動きもある。60~77歳の約1300人が参加したフィンランドの研究では、食生活や運動習慣を2年間改善した人は、何もしないよりも認知機能が低下しにくかったという。

英国の研究チームは、中年期の聴力低下や中等教育の未修了など9つのリスク要因を指摘。これらを減らせば、認知症の35%は予防できる可能性があるという。

世界保健機関(WHO)は5月発表のガイドラインで、認知症の予防のために定期的な運動、禁煙を推奨した。

日本政府が6月に発表した新たな認知症対策大綱では「予防」と「共生」を両輪とした。

要因や予防法が詳しく分からない段階で、予防を推進することに批判の声も上がる。限られた科学的知見をもとに対策を示さなければならない難しさがある。


■観察研究

 特定の対象者の健康状態や生活習慣、環境状態などの自然な経過を調べる研究のこと。生活習慣病を発症するリスク要因などを調べる際などに実施される。特定の人たちの長期間の変化をみる縦断的な研究や、ある時点での年齢などによる違いを調べる横断的な研究がある。認知症では全国の病院や地域で様々な取り組みが進んでいる。
 薬などを患者に投与する「介入試験」は薬の効果などを調べる際に使われる。患者の実態を調べる場合には観察研究が一般的だ。J-TRC研究は発症リスクの高い人を介入試験に誘導する特殊な形式にした。