新潟大学 タウ凝集体形成を開始させる分子を同定 | フレイルも認知症も減らない日本

フレイルも認知症も減らない日本

Nobody is in possession of the ultimate truth.

ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安


CAPONに続き、
カスケード仮説を補完していく
事実が見つかり出しましたね。

USP10が関係しても、
パーキンソン病にならないで、
アルツハイマーを発症する点が重要です。

どういう位置付けであるかと言うこと。






プレスリリースより。


アルツハイマー病
原因蛋白質
タウの 凝集体形成
開始させる分子を同定


アルツハイマー病は最も頻度が高い認知症の原因疾患です。

タウ蛋白質(注 1)の異常な凝集体が神経細胞に形成されることがアルツハイマー病の発症に必須の役割を果たします。

新潟大学大学院医歯学総合研究科ウイルス学分野の髙橋雅彦准教授、Piatnitskaia Svetlana 大学院 生,藤井雅寛教授らの研究グループは、神経細胞において USP10 蛋白質(注 2)がタウ蛋白質の 凝集化を開始させることを発見しました。

本研究は、USP10 蛋白質がアルツハイマー病の発症 に関与することを示しました。USP10 はアルツハイマー病の治療薬の標的分子として有望です。
 

【本研究成果のポイント】


タウ蛋白質の凝集体形成の最初のステップに USP10 蛋白質が関与します。

USP10 はリン酸化したタウ蛋白質の量を増加させます。

アルツハイマー病の脳病変において、リン酸化タウ蛋白質の凝集体は USP10 と共局在
します。

 USP10 がアルツハイマー病の治療標的として有望であることを示しています。






I.研究の背景


アルツハイマー病は認知症を引き起こす最も頻度が高い疾患です。アルツハイマー病の発症 には、リン酸化(注 3)し、かつユビキチン化(注 4)したタウ蛋白質の異常な凝集体が深く関与します。
加齢、酸化ストレス、慢性炎症など長期間に渡るストレスに曝されると、神経細胞中の タウ蛋白質が凝集体を形成します。このタウ蛋白質の凝集体は神経毒性を持ち、神経細胞の機能を低下させ、神経細胞を死滅させ、アルツハイマー病を発症させます。

しかしながら、
タウ蛋白質の凝集体形成の分子機構、
特に、
その最初のステップについては
多くのことが不明でし た。



II.研究の概要


当研究グループは、USP10 蛋白質がストレス顆粒(注 5)の形成を誘導し、タウ蛋白質の凝集体 形成を開始させることを発見しました。ストレス顆粒は様々なストレスによって誘導される RNA と RNA 結合蛋白質の複合体です。これまでの研究から、ストレスに曝された神経細胞にお いて、タウ蛋白質がストレス顆粒に局在し、凝集体を形成すること、および、このタウ凝集体 が、アルツハイマ-病の発症に深く関与することが報告されています。培養神経細胞において、 USP10 がタウ陽性のストレス顆粒の形成を誘導するのに必須の役割を果たすことが分かりまし た。USP10 を細胞に過剰発現させるとリン酸化したタウ蛋白質の量が増加しました。アルツハ イマー病患者の脳病変において、USP10 はリン酸化したタウ蛋白質と凝集体を形成していまし た。これらの結果は、USP10 がタウ蛋白質の凝集体形成を誘導することを示しています。

 
  III.研究の成果


タウ蛋白質はアルツハイマー病の原因蛋白質です。アルツハイマー病の脳病変には、リン酸化したタウ蛋白質が凝集体を形成しています。また、この凝集体形成とアルツハイマー病の進行には高い相関があります。しかしながら、神経細胞において、タウ蛋白質がどのようにして 凝集体を形成するのか、特に、凝集体形成の最初のステップは不明でした。近年、ストレス顆粒がタウ蛋白質の凝集体形成の最初のステップに関与することが報告されました。ストレス顆粒は RNA と RNA 結合蛋白の複合体で、様々なストレス(酸化剤、ウイルス感染など)によって 誘導されます。このストレス顆粒にタウも局在します。一過性のストレスでは、ストレス顆粒 は消失しますが、加齢、慢性炎症など、長期間ストレス状態が持続すると、ストレス顆粒に局 在したタウ蛋白質が凝集体を形成すると考えられています。当研究グループは、神経細胞にお けるタウ陽性のストレス顆粒の形成に USP10 蛋白質が必須の役割を果たすことを発見しました (図)。USP10 の発現を低下させるとタウ陽性のストレス顆粒の形成が低下しました。アルツ ハイマー病患者の脳病変において、USP10 はリン酸化したタウの凝集体に共局在していました。 これらの結果は USP10 がタウの凝集体形成に関与することを強く示唆しています。また、USP10 を標的としたアルツハイマー病の治療薬の可能性を示しています。





IV.今後の展開


リン酸化したタウ蛋白質の凝集体はアルツハイマー病を含む様々な神経変性疾患(タウオパ チー)の発症に関与しています。今後、これらの疾患に、USP10 がどのように関与するのかを解析する予定です。また、USP10 を標的とした治療薬についても研究を進めていく予定です。


用語説明


注1:タウ
タウ蛋白質は微小管結合タンパク質であり、微小管を安定化する働きを持っています。タウ 遺伝子の変異は家族性アルツハイマー病の発症に関与します。アルツハイマー病の脳病変においては、リン酸化し、ユビキチン化したタウ蛋白質の凝集体が神経細胞に蓄積しています。 


注2:USP10
USP10 は脱ユビキチン化酵素活性を持つ蛋白質の1つです。脱ユビキチン化酵素は蛋白質に付加されたユビキチンを除去(脱ユビキチン化)します。脱ユビキチン化酵素活性を持つ蛋白質はヒトにおいて 100 種類以上同定されています。USP10 はパーキンソン病の発症に関与する ことが報告されています。


注3:リン酸化
リン酸化は蛋白質の修飾の1つです。リン酸化により蛋白質の機能が変化します。 リン酸化されるとタウ蛋白質は微小管から遊離します。


注4:ユビキチン化
ユビキチンは 76 アミノ酸から成る蛋白質です。ユビキチンは酵素によって蛋白質に付加され、 付加された蛋白質の蛋白分解や機能を調節します。


注5:ストレス顆粒
様々なストレスによって細胞質に誘導される凝集体です。RNA と RNA 結合タンパク質を多く含んでいます。ストレスが収束すると、ストレス顆粒は、オートファジーなどの分解機構を介 して消失します。リン酸化タウ蛋白質はストレス顆粒に局在します。