治らない認知症と介護方法。
各症例ごとで工夫するしかありません。
産経ニュースより。
「盗まれた」
と言われたら
Aさん夫婦と同居しているAさんの母親(85)が、最近、「モノがなくなった」と言い出しました。
「モノ」とは、数年前から施設に入っている父親のセーターや下着などです。それだけならいいのですが、母親はAさんが盗んだと電話で兄弟に言っているようで、時々兄や弟から、それとなく確かめるような電話が来たりします。
Aさんと妻は共働きで、日中は留守にしているので、母親はその間に電話しているようです。
なぜそんなことを言うのか、自分はどうすればよいのかとAさんは頭を抱えています。「近所にも言っているかもしれない」と心配もしています。
年齢からみて、母親に認知症が始まったと考えていいでしょう。
母親の心理を想像すると、ずっと世話をしてきた夫の衣服がなくなっているのに気づいた(本当は母親が片付け忘れたか、夫が施設に持参したのかもしれない)のですが、認知症の人は困ったことが起きたら人のせいにする特徴があるので、Aさんを犯人にして自分を守っているのではないでしょうか。
「自分は盗んでいない」と説明しても母親は納得しません。
こういう時は、母親に分からせようとするのでなく、兄弟や近所の人に母親の状態を話して理解してもらう方が現実的な対応です。
母親のそんな状態を近所の人に話すのは恥ずかしい、と思うかもしれませんが、認知症はけっして恥ずかしい病気ではありません。
知ってもらった方が近所の協力も得られます。
また、これから兄弟が協力して母親の介護をするためにも、兄弟には早く伝えることが大切です。
もちろん、それとともに、母親を診察してもらい、認知症かどうかを正確に診断してもらうことが必要です。
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【プロフィル】
高見国生
たかみ・くにお
認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1000人。
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「認知症の人と家族の会」電話相談
平日午前10時~午後3時、
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