働き盛り だからこそできる 認知症予防  | フレイルも認知症も減らない日本

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Nobody is in possession of the ultimate truth.

ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安

アミロイド・カスケードが
わかっていない
医者
多いワケですよ。


で、なければ、
あれほど、
お粗末な認知症治療薬を
あれほど
懸命に、
使うハズがありません。



日経スタイルより。


働き盛り
だからこそできる
認知症予防 
睡眠を侮るな






この連載で何度か取り上げたように、睡眠不足や不眠は代表的な認知症であるアルツハイマー病の罹患(りかん)リスクを高めるという調査結果が繰り返し報告されている。

今回は、アルツハイマー病の予防に睡眠がどう影響するのかを説明したい。

◇  ◇  ◇

質のよい睡眠をとり、睡眠不足を解消することは生活習慣病やうつ病の治療や予防にも役立つことが実証されている。

そのため、「思い立ったが吉日ですね、頑張ってください!」とエールを送るのだが、こと認知症予防の観点では、リタイア後からの取り組みでは残念ながら「後の祭り」である可能性が高い。

睡眠不足や不眠が認知症のリスクを高めるメカニズムについては、「認知症患者の睡眠障害への対処法を考える」や「睡眠不足に注意! 脳の老廃物掃除は夜勤体制」で詳しくご紹介した。

アルツハイマー病ではアミロイドβというタンパク質が脳内で過剰に蓄積することが病因に深く関わっているのだが、そのアミロイドβを脳内から排せつするシステム(グリンパティックシステム)は主に睡眠中に活発に作動していることが明らかになったのである。

では、最近物忘れが気になりだした人が、少しでもアミロイドβが蓄積しないように快眠法に励んだとして果たして効果はあるのだろうか。

残念ながらその効果を実証した研究はない。

というのも非常に手間がかかる研究だからである。

質がよく十分な睡眠をとることが認知症の予防効果を発揮するか確かめるには、睡眠問題のある高齢者を多数リクルートして2群に分け、片方のグループではこれまで通りの睡眠習慣で、もう片方のグループでは睡眠改善のための指導を受けてもらい、認知症の発症頻度に違いがでるか何年にもわたって観察するようなコホート研究(前向き観察研究)を行う必要がある。

この種の研究には膨大な人的資源や資金がかかり、おいそれと実施できるものではない。

とはいえ、いくら人員や予算があっても私であればこのような研究は行わない。なぜなら先にも書いたように高齢になって思い立ったときにはすでに手遅れである可能性が高いからである。

それを確信させる研究がアルツハイマー病の新薬開発の現場で次々と発表されている。

脳内のアミロイドβの量はポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)検査などの画像診断法の進歩により正確に定量できるようになった。

そのおかげで、アルツハイマー病の診断精度や薬効評価は格段に向上している。これはアミロイドβの蓄積を抑える作用を持ったアルツハイマー病治療薬の開発にとって大きな利点になっているはずなのだが、最近まで行われた大規模な臨床試験(治験)のほとんどは惨敗し、新薬開発は遅々として進んでいない。

失敗の原因についてはさまざま論議されているが、「認知症の症状がしっかり出てからでは手遅れ」だというのが多くの研究者に共通した意見である。

さらにはごく軽度の症状しかない認知症の前段階ですら手遅れだと主張する研究者も少なくない。

一体どういうことだろうか。

アルツハイマー病の病因として有名なアミロイド・カスケード仮説によれば、アミロイドβはすでに40代から蓄積し始め、その後順次、細胞の変性、脳の萎縮、記憶力の低下がなどの症状が出現し、60代以降に認知症を発症するという。

つまり、アルツハイマー病と診断された段階では目いっぱいアミロイドβが蓄積して神経細胞にすでに大きなダメージを引き起こしているため、その段階から新薬でアミロイドβの蓄積を減らしても症状の改善はおろか、病状の進行を抑えることも至難の業なのである。

そのため、今やアルツハイマー病の新薬開発では、症状が出る前の未病段階のリタイア世代や、遺伝的にアルツハイマー病を発症する家系のメンバーなど、ハイリスク者だが「まだ余力がある」段階に治験のターゲットが移行している。

そのうちに赤ん坊のうちにアミロイドβの過剰蓄積を抑えるワクチンでも接種するようになるのではないかという笑い話もあるが、そのような「超早期対策」もあながちあり得ない話ではないような気がする。

翻って睡眠不足や不眠と認知症リスクの関係を考えてみても同じ事が言えるだろう。

すでにアミロイドβで満杯近くになったタンクにこれ以上ため込まないためにも、グリンパティックシステムが効率的に働けるように睡眠をしっかりと確保することは悪いことではない。

ただし、しのぎを削って開発された新薬を上回るようなアミロイドβの蓄積を抑える効果を短期的に期待するのは現実的ではない。

ところで、睡眠の質の向上のために生活習慣の改善を行ういわゆる「快眠法」は、即効性は乏しいものの、根気強く続けることで一定の効果が得られる。

適度な運動や規則正しい食生活、ストレス発散やリラクゼーション、寝室の温度や照明を調整する、夕方以降のカフェイン摂取を控えるなど、すべて自宅で手軽にできるのもうれしい。

じつは、この快眠法には新薬に勝る別の大きなアドバンテージがある。「無料で」「病院に行かずに」できるお手軽さ、である。そしてそれを実践すべきは40代、50代の働く世代の人々である。

20代や30代も睡眠不足ではあるが、
さすがに認知症予防には関心が無いだろう。

一方、40代に入ると深い睡眠(徐波睡眠)が減少するなど睡眠の質の低下を自覚するようになり、また仕事や家族サービスなどで睡眠不足にも陥りやすい。

記憶力にも若干自信が無くなってくるので認知症予防というキーワードも心に響くのではないだろうか。

快眠法の中から1つでも2つでもできることから始めて、40代、50代から根気強く睡眠貯蓄をしておけば、アルツハイマー世代になってドーンと還元されると思うのだがいかがだろうか。

「後の祭り」にならぬよう「転ばぬ先のつえ」で参りましょう。