2018年度診療報酬・介護報酬改定で 狙い撃ちされる 「高齢者住宅併設型」 | フレイルも認知症も減らない日本

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中央政府主導の政策とは、
上手な「お付き合い」
が大切です。





日経メディカルより。


同時改定で
狙い撃ちされる
「高齢者住宅併設型」


 2018年度診療報酬・介護報酬改定の双方で検討されているテーマの一つに、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などに併設した医療機関や介護事業所が入居者に医療・介護サービスを提供する場合の報酬の引き下げがあります。

住宅型有料老人ホームやサ高住などに診療所や訪問介護事業所などを併設し、訪問診療や訪問介護を提供している法人は少なくありません。

こうした高齢者住宅併設型の事業モデルは、2018年度同時改定による減収に今から備えておく必要がありそうです。

 診療報酬の方では、医療機関に併設する有料老人ホームやサ高住などにおいて、現在の「施設入居時等医学総合管理料(施医総管)」よりも低い医学管理料が設けられる可能性が出てきています。

2017年11月10日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会では、高齢者住宅併設型では移動時間などが短く診療効率が高いことから、「併設する有料老人ホーム等の入居者等を訪問診療する場合、実態としては、外来診療と訪問診療の中間的な取り扱いとなることから、そうした患者への医学管理に係る評価を新たに設けてはどうか」という提案がありました。

 医学管理に関する診療報酬上の評価としては、自宅などで療養する患者を対象にした在宅時医学総合管理料(在医総管)と施医総管がありますが、どちらも単一建物で診療する患者数と重症度、月の訪問回数に応じて9区分の管理料が設定されています。

今回の提案では、この従来の施医総管よりもさらに低い医学管理料を設ける方向性が示されています。

 2014年度診療報酬改定では、在宅医療の不適切事例への措置として同一建物居住者に対する医学管理料が約4分の1に引き下げられ、大きな影響を及ぼしました。

“激変緩和”のために、月1回以上の個別の訪問診療を行えば減算を回避できる措置を導入しましたが、訪問診療の効率性が非常に低くなるという指摘を受けて、2016年度改定で医学管理料の評価体系が大きく変わり、患者の重症度や訪問頻度などに応じて細かく点数が設定される現行制度になった経緯があります。

2018年度改定は管理料の大枠は引き継ぎ、併設型の評価をさらに引き下げるという流れです。

「不適切事例」への対処を進める厚労省
 一方、介護報酬改定でも同様に、社会保障審議会・介護給付費分科会で集合住宅の利用者に訪問系サービスを提供する場合の減算の見直しが議論されています。

こちらは11月1日に、訪問介護(訪問看護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーション、夜間対応型訪問介護)において、現行の10%減算を上回る減算幅の導入などが提案されました。

「同一敷地内または隣接敷地内」かつ「利用者が月10人以上(有料老人ホーム等の場合)または20人以上(一般集合住宅などその他の建物の場合)」の場合は、現行の10%を超える減算幅を適用するという提案です。

 こちらも移動コストに着目しての引き下げというのが趣旨です。

9月の業界団体ヒアリングでは、サ高住の業界団体であるサービス付き高齢者向け住宅協会(サ住協)が、同協会の調査では移動費のコストに占める割合は3~5%で、現在でも減算割合としては十分過ぎると主張しましたが、減算幅強化の提案がなされました。

強化される減算割合が12%程度にとどまるのか、果たして15%などになり得るのかなど、減算割合次第で併設事業所の経営は大きく左右されそうです。

 さらに介護では、11月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、頻回の訪問介護に対するケアマネジメントをより強化する方針が示されました。

訪問介護の生活援助において、全国の提供回数の平均値より著しく提供回数が多いケアプランについては、居宅介護支援事業所が市町村に届け出て、市町村が開催する地域ケア会議などでケアプランの検証を義務付けるという内容です。

届け出の対象となるのは、厚生労働省が年度ごとなどに要介護度別で公表する「全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)」を超える回数のケアプランです。

厚労省の介護保険総合データベースのデータ(2016年10月審査分)によれば、提供回数の上位4.3~6.1%程度、全体で約2万4000件が該当するとしています。

 高齢者住宅の併設型を巡っては、家賃をできるだけ安く抑えて入居者を集める一方で、医療・介護サービスを本来必要な分よりも多く提供することで採算を合わせる低価格型モデルも登場しました。

中には生活保護受給者などに狭小な住宅型有料老人ホーム等に居住してもらい、診療報酬・介護報酬で「荒稼ぎ」する不適切事例の横行が問題視されています。

集合住宅で必要以上にサービスを提供するなど、不適切な頻回訪問は是正するべきというのが、近年の診療報酬改定・介護報酬改定の傾向。

是正策は2014年度診療報酬改定で医療がまず先行しましたが、2018年度介護報酬改定で介護も追いつく形になりそうで、医療・介護サービス収入に過度に依存した高齢者住宅の事業モデルは、ますます成り立たなくなるのは確実です。