症例ごとに薬剤の反応も違いますから。
福井新聞より。
福井のドクター相談室
老化?
頭が小刻みに揺れる
3年ほど前から、頭が横に小刻みに揺れます。最近は少し回数が多くなった気がします。下を向いて料理など何かをしているときや、テレビをじっと見たときなどに症状が出る気がします。神経の老化のせいとも思いますが、治療法はあるのでしょうか。(福井市、65歳女性)
【お答えします】
林浩嗣・福井県済生会病院神経内科医長
■原因の病気が隠れている場合も
頭が横に小刻みに揺れる、すなわち「振戦(しんせん)」についてのご相談ですね。
家族から指摘されたり、本人が気付くなど、さまざまな状況で見つかります。
▽うまく字が書けない
▽食べ物や水をこぼして
日常生活に支障を来す
▽震えているのを見られるのが恥ずかしい-など、見た目を気にして受診する方が多いようです。
振戦とは、身体の一部または複数の部分が、自分の意思と関係なく動く状態です。手や指に最も多く、頭、あご、脚などにもみられます。
振戦の状況(じっとしている時に震えるのか、何かしようとする時に震えるのか)、範囲(手や足であれば片側なのか両側なのか)、他の症状がないか(動作が遅くなった、足が出にくくなった)、家族や親戚ら血縁者に同様の症状の方がいらっしゃるかどうか、常用薬がないか、といった質問で、パーキンソン病と見分けます。
パーキンソン病の他にも、振戦の原因となる病気が隠れていることがあります。
脳卒中、アルコール依存、多発性硬化症、外傷性脳障害、甲状腺機能亢進(こうしん)症、糖尿病、肝障害、腎障害、薬剤などが挙げられます。
■本態性振戦か 生活支障なら治療
ご相談によると、頭が横に小刻みに揺れるだけで、動作が遅くなったり、歩く際に足が出にくいなど、他の症状がないようです。
また、何かをしているときや、テレビをじっと見ているときなどにみられるようです。
最も考えられるのは、「本態性(ほんたいせい)振戦」でしょうか。ただ、前述のような病気が隠れてないか調べることが大切です。
本態性振戦は、大人にみられる最も頻度の高い振戦です。何かしようとするときにみられることが多いようです。
振戦の結果、うまく字が書けなかったり、食べ物や水をこぼしたりして、日常生活に支障を来します。
手(両手)や頭部(横に震える)、声が多いのですが、脚や体幹、顔にみられる場合もあります。
ストレスや運動、疲労、カフェイン、一部の薬剤などで症状が重くなることがあり、
緊張緩和とアルコールで改善する、とされています。
症状が軽い場合には、治療が必要ないことも少なくありませんが、日常生活に支障を来しているのであれば、まず薬物療法が行われます。他には、ボツリヌス毒素療法や手術療法などがあります。
振戦は、神経内科医が診る中で比較的多い症状です。お悩みの場合は、神経内科医のいる施設の受診をお勧めします。