医療とともに認知症を考える「社会の支え広げねば」 | フレイルも認知症も減らない日本

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ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安

今日は高見代表理事
の記事が多くなります。


毎日新聞より。


医療とともに
認知症を考える 
社会の支え広げねば 

「認知症の人と家族の会」
代表理事・高見国生さん


 
認知症患者は診断技術の向上もあって急増しており、2012年の462万人から、25年には700万人以上に達するとみられている。

そんな患者と家族のために情報を提供し、ともに支えあう活動を40年近く続けているのが、公益社団法人「認知症の人と家族の会」(本部・京都市)だ。

今月26~29日、国立京都国際会館で、同会も加盟する国際アルツハイマー病協会(ADI)の第32回国際会議が開かれる。

家族の会代表理事の高見国生さん(73)は「一部一般公開もしていますので、多くの方に来ていただき、認知症に対する理解を深めてほしい」と話している。


会員1万1000人
/若い患者への対策も訴え


 --30代で会を設立されていますが、きっかけは?

 高見 義母の介護をしていた時に、京都新聞で認知症の医療相談を担当しておられた先生の下に集まった人で語り合ううち、苦労しているのは自分だけではないということが分かるようになったのです。むしろ、もっと大変な人がいる、自分ももうちょっと頑張ろうという気持ちになり、その体験から家族の会をつくろうと考えました。

 --1980年の発足ですが、当時は認知症という言葉さえなかったですね。

 高見 新聞が紹介してくれたので、初会合には全国から90人集まりました。それだけ多くの人が孤立の中で苦しみ、ひっそり介護に当たっていたというのが現実でした。当時は、医者は関わらず、薬もなく、診察もできず、入院もできないという状況でしたから。94年に社団法人に改組し、全都道府県に支部ができ、会員は医師や看護師、介護士ら現場の人も含めて1万1000人になりました。

 --この間に、何が変わりましたか。

 高見 最も変わったのは認知症への理解ですね。かつては認知症になったらおしまいと思われていたのが、今では、だれもが認知症になりうるということが分かってきました。厚生労働省の名称検討会で「痴呆」から「認知症」に呼び名が変わったことも、口にしやすく理解を深めるきっかけになったと思います。

 --制度、体制的にはどうですか。

 高見 私は家族だけで8年間介護を続けましたが、晩年は家政婦を雇わざるを得ませんでした。ですから、2000年にできた介護保険制度は大変助かりました。会としても「家族だけに介護を押しつけるな」と言ってきましたから。ただ、5年後の最初の法改正から「暗雲が漂いだした」と感じています。

 --どういうことですか?

 高見 サービスが制限されたり費用負担が増えたりして使いにくくなりました。認知症の人は体が動くので要介護度が低くなりがちですが、動くからこそ大変なのです。家族が疲れ切る前に社会的に支えるよう工夫しないといけません。介護保険が後退しないよう、会として要望を続けています。

 --その他に問題を感じることはありますか。

 高見 早期発見が進み、若い認知症患者が増えてきましたが、それに福祉が追いついていません。例えば、デイサービスでは高齢の重度認知症の人向けのプログラムがありますが、若年層には合わないのでほとんど参加がありません。また、若年層にとっての大きな問題は仕事ができなくなること。やめさせられるケースもあり、多くは本人も介護にあたる配偶者も無収入になります。当然、子どもへの影響も避けられません。日本の労働環境をよくしないと認知症の人も家族も生きられないという現実があると感じています。

 --ADI国際会議は、日本では04年に次いで2回目の開催ですね。

 高見 国際アルツハイマー病協会には85カ国・地域が加盟しています。交流を目的に始まったもので、経験を共有しようという目的で開かれており、実践発表が中心です。介護に苦労する世界中の人が取り組みに加わっていることを、ぜひ知ってもらいたいですね。

 --認知症の人を抱える家族の人に言いたいことは?

 高見 家族はまず、本人がダメになったのではないということを理解してほしい。また、公的サービスを利用するのは自分が楽になるためではないのです。家族だけで顔を突き合わせていらいらし続けるより、専門の人に介護してもらうのが本人のためにもいいことだと思ってください。


京都で国際アルツハイマー病協会会議 
27、28日に一般公開行事


 第32回国際アルツハイマー病協会国際会議には、過去最高の600件の発表応募があり、うち400件はポスター発表。

一般公開は「認知症を巡る世界の最前線」と題して、このポスター発表や日本と海外の団体・企業の取り組み紹介、世界16カ国・地域が開設するブースでの交流、国内の認知症当事者団体の紹介などがある。

4月27、28両日午後2~5時、京都市左京区宝ケ池の国立京都国際会館イベントホールで。

無料。

会場には通訳ボランティアが配置されている。問い合わせは「認知症の人と家族の会」(075・811・8195)または国際会議公式ホームページ(http://www.adi2017.org/ja/)へ。



 ■人物略歴

たかみ・くにお

 1943年福井県生まれ。京都府職員として勤務しながら認知症になった義母を在宅で介護。1980年、「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会」(2006年に認知症の人と家族の会に改称)を結成し代表に。10年社会貢献者表彰受賞。家族の会は「介護保険制度改正への提言」や「若年期認知症に関する要望書」を厚生労働相に提出するなどの活動を続けている。