年に数回、飲酒するかどうか
当院でカルシウムを
処方している方はゼロですね。
たとえば、食道がんと咽頭・喉頭がんを合わせると、日本人の場合、日本酒にして
1日1・5合飲む人は、全く飲まない人と比べて発症率が8倍になり、1日2合以上飲む人は50倍高くなることが分かっている。
ちなみに日本酒1合は、ワイン4分の1本(標準的なボトル750ml)に相当する。
「その一方で欧米白人には、アルコールを分解する酵素の働きが弱い人はほとんどいない。
欧米白人は、がんの発症原因の30%を喫煙が占めているのに対して、飲酒は3%しかありません。
一方日本人は、飲酒によりすべてのがんの発症率が高まります。それくらい日本人は欧米白人に比べ、飲酒の影響を強く受ける体質を持つ人が多いのです」(奥田氏)
「遅延型アレルギー」に注意
骨を強くするため、毎日欠かさず飲んでいる人も多い牛乳。特に高齢になれば「骨粗鬆症」を予防するためにもカルシウムを積極的に摂ったほうがいいと思い込んでいる人は少なくない。
だが奥田氏は「実は骨粗鬆症の原因はカルシウム不足だけではなく、遺伝的要因が大きく関与している」と語る。
「日本人のカルシウム摂取量は米国人の半分ですが、骨粗鬆症の発症率は米国人のほうが2倍も高いのです。しかも寝たきりの原因となる大腿骨頸部骨折の発生率とカルシウム摂取量を国・地域ごとに比較したところ、信じられないような結果が出ました(左上表を参照)。
なんと『米国、ニュージーランド、スウェーデンなど、1日当たりのカルシウム摂取量が多い国ほど、大腿骨頸部骨折を起こす人の割合が高かった』のです。
それに比べ、香港やシンガポールはカルシウム摂取量が少ないにもかかわらず、骨粗鬆症になる人は少なかった。
この報告は
『カルシウム・パラドックス』
として世界を驚かせました。
さらに'15年に公表された海外の論文では、食事からのカルシウムの摂取量と骨折の発生率には関連がないと結論づけています」
牛乳に関しては「乳糖不耐症」の問題もある。乳糖不耐症とは、牛乳に含まれる乳糖を分解できない体質のこと。牛乳を飲むとお腹を壊しやすい人がいるのはそのためだ。
日本人を含む大部分の黄色人種とアフリカ系の人、そして白人でも地中海沿岸の人々の7~9割は乳糖不耐症とされている。
これに対し、北欧や西欧の白人には1割ほどしかいない。
「牛乳を飲む習慣は欧米から日本に伝わりました。しかし、こう見てくると、日本人の体質に牛乳が合っているかは疑問です。
さらに、日本人男性4万3000人を対象に実施された調査では『乳製品の摂取量が増えるほど前立腺がんの発症率が上がる』という結果も出ている。カルシウム源として牛乳にこだわる必要はなさそうです」(奥田氏)
続きます