フェルラ酸のドパミンニューロン保護作用 | フレイルも認知症も減らない日本

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2013年の薬理学会から
興味深いデータを。

熊大からの報告。

【背景】パーキンソン病における中脳黒質ドパミンニューロンの変性・脱落には多様な機序が関与するが、なかでも活性化ミクログリア/マクロファージの働きによる中脳黒質局所の炎症性応答がドパミンニューロンの変性の促進に寄与することが多くの知見より示唆されている。我々はこれまでに、カフェ酸フェネチルエステル(CAPE)がマウスの炎症性ドパミンニューロン変性モデルにおいてヘムオキシゲナーゼ‐1(HO-1)の誘導等を介して神経保護効果を発揮することを報告した(Kurauchietal.Br.J.Pharmacol.166:1151-1168, 2012)。本研究では、CAPEと類似の化学構造を有し、いくつかの神経変性モデルにおいて効果の報告されているフェルラ酸を用い、そのドパミンニューロン保護効果と機序についてCAPEとの比較検討を行った。

【方法】雄性C57BL/6マウスの片側中脳黒質にリポ多糖(LPS;3μg)を投与した。フェルラ酸(50および100mg/kg)はLPS投与の30分前に経口投与し、その後24時間毎に同量の投与を繰り返した。一定時間後に脳を灌流固定し、チロシンヒドロキシラーゼおよびIba-1に対する免疫組織化学を行って、ドパミンニューロンおよびミクログリア/マクロファージを同定・計数した。抗ニトロチロシン抗体を用いた免疫染色も行い、酸化ストレスレベルを評価した。またサイトカイン類のmRNAレベルについては定量的PCR法、HO-1の発現変化についてはWesternblot法により解析した。

【結果・考察】LPSの投与3日後において、投与側では対照側と比べて著明なドパミンニューロンの減少が認められたが、フェルラ酸は用量依存的にドパミンニューロンの脱落を抑制した。また、LPS投与側では活性化型の形態をとるミクログリア/マクロファージが多数観察されたが、フェルラ酸はLPS投与3日後における活性化型ミクログリア/マクロファージの数を有意に減少させた。一方、CAPEに見られるIL-1β発現上昇抑制効果はフェルラ酸には認められなかった。HO-1の発現についてもフェルラ酸の誘導効果は軽微であり、LPSによる酸化ストレスレベルの増大に対してもフェルラ酸に著明な抑制効果は見られなかった。これらのことから、フェルラ酸はCAPEとは異なる作用機序を介してドパミンニューロン保護効果を発揮することが示唆された。