火天の城 | 翡翠のブログ

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山本兼一作「火天の城」の映画版を鑑賞。



嘗て織田信長が湖国、安土に建てたという


壮大な城、安土桃山城。



わずか三年で焼失してしまい、今は城跡だけが


残るのみ。そのようなドラマテイックな経緯もあり


興味津々で観た。



宮番匠(宮大工)の、命令とはいえ


自身のプロ意識と意地にかけても


完璧を目指そうとする職人魂は


感動的。



とはいえ家族愛が中心。


音楽が良かった。



しかし、演出のせいなのか、なにか


妙な間を感じ、興ざめする部分アリ。



キャステイングも、世間では絶賛の大竹しのぶが


私にはイマイチ。


いつもそうだが、あの人個人の癖なのか


喋り方が少し甘ったれて聞えるのが


あの匠の女房役には合わない。


「わざとらしい」と感じてしまう。昔なら田中絹代か


水戸光子あたりがベスト。



主役は勿論、中村鴈次郎だ!昔なら。


もっと昔なら坂東妻三郎!?


(古すぎる)



あと気になったのは、原作では


息子なのに映画では娘の設定に変わっている事。


これは父と息子だから意味があるのに


何故変える?恐らく観客にこびてるつもりだろう。


なにしろ、城を建築する物語だから


女性の登場人物が必然的に少ない。


(主人公の奥さんくらい。)従って


映像的に確かに「華」がないかもしれない。


「色」を入れたいのだろうな、と感じる。


しかし、この場合はそのような配慮は無用だったと思う。


また、秀吉役を河本準一が演じていたり


ココリコ遠藤がチラッと出たり、意味がわからん(いや、


多分緊張と緩和の効果を狙っているのだろうが)


キャステイングがあり、そこで興ざめする。



また、刺客役(忍者)の酒井美紀のワイヤーアクションは


これまた却って興ざめなのだった。


普通のチャンバラで良かったのでは?




しかし、身を犠牲にしてまでヒノキを送ってくれる


緒方直人、宮番匠役の寺島進、石橋蓮次などは


なかなか良い味を出していて良かったと思う。それと


ビジュアル的にはイマイチな気がした織田信長役の


椎名桔平が、意外にもはまっていて、


迫力もあってよかった。




モブシーンなど、往年の大映映画を彷彿と


させられた。


三隅研次、池広一夫などに監督してもらえれば


もっと良くなったのでは?


しかしもうお二人とも鬼籍に入られている。





全体的にはなかなか良かったとおもう。


真面目な、良質の映画であることには


異存はない。