万葉集本歌取り風 巻8 25

万葉集本歌取り風　巻8 1564日置長枝娘子

秋づけば尾花が上に置く露の消（け）ぬべくも吾（わ）は思ほゆるかも

秋づけば尾花が上に吹く風は君を慕いて雲を流すや　

縁糸まどか

万葉集本歌取り風　巻8 1566 大伴家持

ひさかたの雨間（あまま）もおかず雲隠（くもがく）り鳴きそ行くなる早稲田（わさだ）雁がね

ひさかたの雨間もおかず通いくるわが背愛おし有明憎し　縁糸まどか

万葉集本歌取り風　巻８　1567 大伴家持

雲隠（くもがく）り鳴くなる雁の去（ゆ）きて居（ゐ）む秋田の穂立（ほたち）繁くし思ほゆ

黄昏時に黄金にひかる背の汗を秋田の穂立繁くし思ほゆ

縁糸まどか

万葉集本歌取り風巻8 24

万葉集本歌取り風　巻8 1561 大伴坂上郎女

吉名張（よなばり）の猪養（ゐかひ）の山に伏す鹿の嬬（つま）呼ぶ声を聞くが羨（とも）しさ

吉名張の猪養の山に雁がたが玉梓をはこぶ夕暮れ　縁糸まどか

万葉集本歌取り風　巻8 1562 巫部麻蘇娘子

誰（たれ）聞きつ此間（こ）ゆ鳴き渡る雁（かり）がねの嬬（つま）呼ぶ声の羨（とも）しくもあるか

誰聞きつ此間ゆ鳴き交わす鹿の音がせつなく響き紅葉葉散らす　縁糸まどか

万葉集本歌取り風　巻8 1563大伴家持

聞きつやと妹が問はせる雁（かり）が音（ね）はまことも遠く雲隠（くもがく）るなり

聞きつやと妹が問はせる噂花一途に燃ゆる曼珠沙華見よ　縁糸まどか

万葉集本歌取り風 巻8 23

万葉集本歌取り風　巻8 1558  豊浦寺の沙弥尼

鶉鳴（うづらな）く古（ふ）りにし郷（さと）の秋萩を思ふ人どち相見つるかも

鶉鳴く古りにし郷の思い出は鶉合わせの蒔絵籠やら　縁糸まどか

万葉集本歌取り風　巻8 1559 豊浦寺の沙弥

秋萩は盛りすぐるを徒（いたづ）らに插頭（かざし）に插（さ）さず還（かへ）りなむとや

秋萩は盛りすぐるを風まかせ月にまかせて見返り美人　縁糸まどか

万葉集本歌取り風　巻8 1560 大伴坂上郎女

妹（いも）が目を始見（はつみ）の崎の秋萩はこの月ごろは散りこすなゆめ

妹が目を始見の崎の黄昏時に君の名を問う恋のはじまり　縁糸まどか