生きる道しるべ➁ | PADME

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人生を豊かに

功徳の積み上げ

 

 広島県東広島市志和町出身の沼田恵範は、1936年東京都大田区蒲田で三豊製作所(ミツトヨ)創業、海外から優秀な機械を集めてマイクロメーター国産化に成功、高度成長期には国内90%以上、世界でも40%以上のシェアを占める総合精密測定器の大会社に発展させました。1965年私財を投じ仏教伝道協会を創設、仏教聖典を各国語に翻訳して、世界56ヶ国、世界中の1万5千のホテルに頒布し、配布部数は700万部にものぼります。

 

 お釈迦様の教えを、広く世界に弘める為に功徳を積む、沼田の生き様、素晴らしい善行は、時代を超え本当に心温まる思いがします。そんな行いを仏教では功徳を積むと言います。即ち自分以外の人の為に何かをする事です。その功徳には一つの条件があります。それは施主が見返りを求めないという事です。人は自分が何か良い事をしたら、誰かに気付いて欲しい、そして有り難うと感謝の言葉を期待してしまい、見返りを求めてしまうのが常です。

 

 それでは折角良い行いをしたとしても、功徳は水の泡と化してしまいます。功徳と言うと、ボランティアや人助けの様に何か大きな感謝が返って来る事だったりしませんか?実はそうではなく、道でゴミを一つ拾う事も、功徳を一つ積む事になります。他にも人に優しい言葉をかけてあげる事です。これを愛語と言い、また相手に微笑んであげる事を和顔施(わげんせ)と言います。どちらも大切な功徳の一つです。生前中父はこう言っていました。

 

 私たちは皆一つ一つ功徳を積み上げて生活をしている。ある時良い事が起こる、良い事が起こったら、積み上げて来た功徳はゼロになり、またイチから積み上げて行くと良い事が起こる、人生はその繰り返しだよと。功徳に大きい小さいはありません。みんな等しく、ゼロから積み上げていくのです。優しい言葉をかけてあげる事や、笑顔で接してあげる事など、出来る事から実行して行き、功徳を積み上げましょう。ただただ無心に善い行いをする。

 

 これが徳を積むという事なのです。そうすれば、辛い事が続いても必ず良い事が起こります。そして心が満たされて行くのだと信じて行きましょう。

 

萬善寺