「武器が残ったままじゃん!」
私が怒りを込めて腰に付いたままのベルトをにらんだとき、他の面々も変身を終えた。
やはりみんな、学校に通っていたときとほとんど変わらない服装へと変わっている。
しかしやはりみんな武器は変わらず残っていた。
悠ちゃんはあまり大きくない十字架のようなもの、無兎は指なし手袋、いわゆるグローブが武器だから、目立たない。
むしろちょっとしたおしゃれのようにも見える。
でも私と海谷はそうはいかない。
私はベルトに、鞘にちゃんと収まってはいるものの、ナイフが2本。
そして、海谷は背中に長刀を背負ったままだ。
こんな状態で外に出たら銃刀法違反で逮捕されてしまうじゃないか!
「どうにかしてこれ隠さないと」
私はベルトからナイフをはずし、首を傾げた。
教室の中に何か役にたちそうな物はないだろうか。
教室内は人がいない以外は私たちが異界に飛ばされたときと何も変わっていなかった。
机の中には教科書が詰め込まれていたり、教室後方のロッカーには荷物がいくつも入っている。
ただ、普段は床に置いてあったり、机の横にかけられている鞄がどこにも、誰の物もなかった。
もちろん私たち4人の鞄も消えていた。
いったいどこに消えたんだろう?
普段から使っていた筆箱は今手元に偶然あるけど。
そして私のロッカーを何気なく見ると、そこには体操服を入れてあるナップザックが見えた。
「あれだ!」
なんだなんだ?という目で見るほかのみんなをよそに私はロッカーへと向かった。
ナップザックの中の物をのぞく。
確かに私の体操服だ。
特に汗のにおいはしないし、十分使えるだろう。
体操服は袋から出してしまうかとも思ったけれど、このナイフ2本だけを入れるのは心許なかった。
もしこの中身を見せないといけないときがきたら?
そういうときのために体操服はそのまま袋の中に入れておいた方がいいだろう。
私はナップザックの中にベルトから外した刃物を詰め込み、席に戻った。
海谷が少しうらやましそうな目で見てくる。
「いいな、黒鳥のやつは小さくてさ。俺のは長いからそんなんじゃ入んねーよ」
海谷はベルトから長刀を外し、柄で床を突いた。
確かに海谷のこれがすっぽりと入るような入れ物はなかなかない。
私の背丈くらいあるんじゃないか、これ。
150センチくらい?
こんな身の丈ほどもある物が入るもの・・・・・・。
「あ!わかった!」
そこで悠ちゃんが手をたたいた。
海谷がぱっと表情を明るくして悠ちゃんを見る。
「弓道部にいけばいいんだ!弓を包んでるあの袋ってこれくらいあるんじゃない?」