今使える機械の機能などについては、私の持つ機械の中のコクを中心に話を聞いた。
どうも機械の中にある石の魔力のおかげで、いくらかの機能は使えるそうだけど、やはり大気に全く魔力がないせいもあり、機械から彼らが出てくることはできない。
しかし、有力な情報が彼らによりもたらされた。
というのも変身というものができるそうである。
そんな、まさか!と私たちは思ったのだけれど、コクたちが嘘を言っているようには見えない。
「この機械の能力を使えば、ある程度まで服装を変えることができる。幸い、君達が着ている服はこの世界の物ではないからな」
どうも私たちの世界の服のデザインを変える、ということはできないようだけど、今私たちが着ている異世界の服であれば、どんなデザインにでも機械の魔力で変えられるという。
「そんな都合のいい話があるなんて」
悠ちゃんが苦笑いしながら言う。
確かにあまりに都合がいいような気もするけれど、これは利用しない手はない。
早速この世界でも目立たない、ふつうの服装に変わることにしようじゃないか。
「それでその変身ってどうやるの?」
全員が同じ質問をしたので、再びコクが代表して答えた。
彼が言うことには、機械のメニューの中にトランスという項目があるからそれを選んで、自分がなりたい服装をイメージするだけだという。
これまたあまりに簡単だ。
でも、簡単なのに越したことはない。
私たちは早速、その機能を試してみることにした。
機械に付いたボタンの一つを押すと、コクの顔が表示されていた画面が切り替わり、英文字が並ぶ画面が表れた。
これがそのメニュー画面だ。
そしていくつかボタンを押した先にTransと書かれた項目を発見した。
早速試してみる。
その項目を決定し、頭の中に普段の服を着ている自分の姿をイメージする。
これは、異界に飛ばされる前、学校にいたときの服装だ。
何となく懐かしく思った。
やっぱりこういう変なデザインの服より、ゆったりしたいつもの服のほうがしっくりくる。
そして、私はその服をイメージし続けていたのだけれど、だんだんそのイメージが崩れていき、自分の意志とは反対に服の画像は消えていった。
あわてて目を開けると、私は普段の服装に戻っていた。
黒いジーンズに、白いパーカー。
猫のキャラクターがプリントされたいつものTシャツ。
私は思わず立ち上がり、しげしげと自分の姿眺めた。
なんだか感動した。
こんなに普段の服はいいものだったのか。
というかこの機能のことをもっと早く知りたかった。
しかし、問題はまだ残っていたんだ。