※7の付く日にこの小説を掲載しています。(8月7日分を今日掲載します。)
李華連の瞳に映った海もキラキラと輝いて、希望の光を与えているようだった。
前編
四・恋(その7)
小さな遊覧船が見えた。
遊覧船を見とめた李華連は、
「京ちゃん、あの遊覧船に乗りましょうよ。楽しそうじゃない。」
と言って、また歩き始めた。
私の返事を待つでもなく、もう、そう決めているかのようにゆっくりと歩き始めた。
歩きながら路傍の名も知れない草花を見つけると、今度は、
「あっ、これ何かな。京ちゃん何だか解る。」
と言って、それを一、二本摘んで鼻のところに持っていき、クンクンというふうに臭いを嗅いだ。
そして私を見ると、その草花を私の鼻に押し当てるようにして、
「どんな臭いがする?」
と、聞いてきた。
だが、同じ様にまた私の返事を待つでもなく、ゆっくりと歩いていた。
私の腕に手を廻して歩いたり、一歩先を歩いたり、私を見ながら後ろ向きのまま歩いたりと、他愛の無い独り言のようなお喋りをしながら歩いていた。
こうした仕草を見ながら、私は李華連の悲しい心を見るようで辛い気持ちになっていったが、彼女自身がそれを隠すように無邪気な仕草をとっているのが、いっそう健気に思えてならなかった。私も無邪気さを装わなければならない。
いや、無邪気になってしまわなければならなかったのだ。
「華連、ちょっと待って。」
と言って、私は李華連を呼び止めた。
「背中に虫が・・・」
虫を手で捕るようにして手を握ったまま李華連の目の前に持っていった。
少し臆病そうに、身を縮めるようにして手をじっと見ていた李華連にパッと広げて見せ、
「嘘、何でもありません。」
私が、からかうようにして笑いながら言った。
「もう、よくも騙したわね。」
李華連が怒ったように手を振り上げて、逃げる私を追ってきた。
私達は何も考える事無く追っかけっこをした。
むしろ考えないように無邪気に追っかけっこをしていた。
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