※7の付く日にこの小説を掲載しています。
正直な日本人』は、きっと李華連だったに違いないと私は思った。
前編
三・烏龍茶(その4)
彼女が何度かそうやって、ひとつの物をたくさん買う羽目になったことがあったのだろう。
だが、そんな事を言えば自分が間抜けなお人好しに見られてしまうと思い、それが余程悔しいのだろうか、殊更私に、日本人を強調するように言った。
もっとも、間抜けなお人好しの日本人はその通りかも知れないと、私は思った。
大連の街には歩道のあちこちにボックス型の小さなキオスクが点在する。
私が大連に来た次の日の夜、仕事の後の食事を終えタクシーでホテルに戻ったが、喉の渇きを覚えホテルの近くにあるキオスクに、スーツを着たままコーラを買いに行った事があった。
私は海外に行った時、軽食や飲料水は大体、ホテル近くのキオスクやコンビニで買うことにしていた。
それも普段着で買うことにしていた。
そうすると、あらかたその街の物価が推測でき、住民としての生活感が疑似体験できたからだった。
どこのホテルにも大方、部屋にミニバーがありスコッチやおつまみ、コーラ等を置いてあるが、市価の二、三倍の値段が付いている。
このホテルも例外なく、十元だった。
ただ、仕事の延長のような夕食を終えたばかりでスーツ姿のままだったが、アルコールが入っていたのも手伝っていちいち着替えるのが面倒と思い、ついそのままの格好で行ったのがいけなかった。
キオスクの店員にその時五元と言われ、何の疑いも無くすんなりと払ってしまったのだった。
次の日は、今度は普段着で別のキオスクで買った。
三・五元だった。
やはり、と思った私は検証してみたい気持ちに駆られ、また別のキオスクに行く事にした。
今度は三元だった。
憤りを覚えた私は手に二本のコーラを抱え、最初に買ったキオスクに行った。
あの時の店員がいた。私はコーラを指差し、
「コーラ、ドアチェン?(いくら)」と、少し大きな声を出して言った。
すると、店員は、「サン」と、言いかけたが、手にコーラを持っている私の顔を思い出したのか、決まり悪そうに、「ウークワイ。(五元)」と、指を広げ五元を強調した。
「ブーヨオ!(要らない)ティガー、サンクワイ!(これは三元だ)」
私は手に抱えたコーラを指差し怒ったように言った。
「サンクワイ、サンクワイ。」
店員はわかった、わかった、というふうにしながらコーラを差し出したのだった。
勿論、私は買わずに帰ったが、こんな事は日本人と見るとよくある光景かも知れない。私はそんな思いがしていた。
◆春といえば 新年度と行楽シーズン
レンジでもチンとできるお弁当箱はいかでしょう。
日本の季節を感じる花模様のお弁当箱。電子レンジ使用可能なため、行楽時だけでなく、普段から... |