年収130万円の壁が崩壊? | 西村治彦の日記

西村治彦の日記

日々の出来事を書いています。

皆さん「年収の壁」という言葉を聞いたことがありませんか?

税金や社会保険料が徴収されないように意識される年収額のことです。

まずは「税金の壁」として

(1)100万円の壁:超えると多くの自治体で住民税の課税対象

(2)103万円の壁:配偶者控除の枠から外れ所得税の課税対象

(3)150万円の壁:配偶者特別控除がなくなる

 

次に「社会保険の壁」として

(1)106万円の壁:一定規模以上の会社に勤務していると健康保険料と厚生年金保険料を負担

(2)130万円の壁:扶養を抜け、自身で健康保険料と年金保険料を負担

 

となっています。

令和5年9月27日に130万円の壁について時限的に見直す方針の政府発表が行われ世間を賑わしました。10月20日には具体的取り扱いのQ&Aが公表され、制度が運用されることとなりました。

 

制度の大枠としては、下記の要件を考慮して健康保険組合等の保険者が扶養認定するか審査します。

(1)人手不足による労働時間延⾧等に伴う収入変動

(2)一時的な事情である(雇用契約書上や通常期は年収130万円未満)

(3)同一人について連続2回(2年)までを上限とする

*60歳以上等の場合は130万円を180万円と読み替えます。

 

具体的な取り扱いは、健康保険の保険者が毎年行っている「被扶養者の資格確認」で行われるようです。

被扶養者の年間収入が130万円以上の場合、資格確認に下記の流れが追加されます。

(1)被扶養者の年間収入が130万円以上になっている

(2)その増収が人手不足等による一時的要因であると被扶養者の勤務先が証明できる

(3)厚労省が定めた形式の勤務先の証明書を添えて資格確認リストを返送する

 

では、いくらまで増収してよいのか?という疑問がわきますが、増収額に数値上限は決められていません。増収額の上限を決めると、その上限額が新たな年収の壁となってしまうからです。

ただし、

・同一世帯で被扶養者の年間収入が被保険者の年間収入を上回る

・同一世帯ではなく被扶養者の年間収入が被保険者からの援助による収入額を上回る

 

これらの場合は、生計維持の中心的役割を果たす者となりますので、従来通り被扶養者認定が取り消されます。

また、見落とされがちですが、今回の措置は他律的な要因により収入が一時的に増加した方、つまり雇用される者が対象となります。自律的に仕事の量を調整できるフリーランス等の自営業者は対象外となりますのでお気を付けください。

 

今後、2025年に社会保険制度の抜本的見直しが予定されています。まだ検討段階であり噂の域をでない情報が多い中、正確な情報をいち早く入手して皆様にお伝え出来るよう努力していきます。

 

札幌事務所 林 浩太

 

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□■□■□■今日の問題■□■□■□

 

~社会保険に関する一般常識からの問題~    

 

 

 

 

〇か×かでお答え下さい。

 

 

問.企業型年金加入者は、企業型年金規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。

 

 

 

解答〇

 

 

 

 

~解説~ 

設問の通り正しい。なお、企業型年金加入者掛金の額は、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者が決定し、又は変更する。

 

 

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