さあて。

宇宙が一点から始まった

・・・とは言っても、大多数の人が納得しずらいのではないか、と思っています。

 

それもそのはず

「定常宇宙論」と「ビッグバン宇宙理論」は、50年ほど前まで激烈な論争が続いていたからなんです。

 

それを、フレッド・ホイル卿はBBCラジオ番組の中で、この理論を

「this "big bang"idea」

(この大ボラ)

「奴らは宇宙が大きな爆発で始まった、と言っている。」

と、愚弄せんばかりに叫んだ。

 

ところがそのジョージ・ガモフ氏はどう聞いたか、というと

 

 

「何で商標登録しなかったのかなぁww」

と、大笑いして語った、とか。

 

ちなみにこのガモフ君、色々と茶目っ気が好きで、

 

自分の理論の共同執筆者、ラルフ・アルファ―の「α」と自分の名前・ガモフの「γ」の間に「ベータ・β」が欲しいナ、ということで

理論の研究には無関係なハンス・ベーテの名を勝手に加えて

「α・β・γ理論」

として1948年に発表したのだ。

(そのことをアルファ―は大変恨んでおり、1999年までガモフを批判していた。)

 

今なら学術論文を発表する際に、違反ともいえる行為だが、当時はそこまで厳格ではなかったようだ。

 

とはいうもの、宇宙が膨張している、というのは紛れもない事実である。

 

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これにホイルたちはどう応えるのか?

彼らは「C(クリエーション)場」という理論を生み出した。

 

これによると、無から有が生まれる、というものだ。

これは明らかに「エネルギー保存の法則」という物理学の大原則に反している!

 

彼らが言うには、この宇宙はバスタブの様なもので

その空間的広がりにおいて、一定の枠をはめられた無限の領域と言っていい。

 

その周囲の空間は、一定の膨張率をもって広がり続け、

遠方になればなるほど、その膨張速度は大きくなって、

およそ160億光年彼方で、速度は光速に到達することになる。

 

これは宇宙の膨張に反しない。

 

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いや、そう言ってもエネルギー保存の法則に反している、という事実は否定できない。

とはいうものの、ホイルの計算に寄れば、宇宙の密度の低下を補うためには

真空1リットルに付き、5000億年に1個

の割合で陽子が生成されたらそれで充分である、と言う。

 

このような超・低頻度では、到底実験的に確かめることは出来ないが、

そのレベルでは、エネルギー保存の法則は破れているのかもしれない。

 

ともあれ、この定常宇宙論、

宇宙誕生の瞬間という、ビッグバン理論の最大の謎を回避できることもあり、

1960年代までは、ビッグバン理論の最強のライバルとなっていた。

 

あの、アインシュタインですら「宇宙原理」で

宇宙は全ての方向にどこまでも均質である、と言った。

ホイルたちは時間的な均質を付け加えた。

 

つまり、

宇宙は「どこまでも」均質なだけでなく

「いつまでも」均質であることを主張した。

 

そんな風に、アチコチで軋轢をもたらしていた(というか、ガモフ君のせいだが)この論争は、

全く無関係な場所での発見によって、終止符を打たれることになった。

 

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時は流れて20年後

 

ニューヨーク郊外のニュージャージー州のベル研究所に、2人の男が集まった。

 

(角型電波望遠鏡)

 

研究対象は、「宇宙からやって来る電波の雑音を研究する」ということ。

 

アーノ・ペンジアスは、ドイツ生まれの亡命ユダヤ人。

ロバート・ウィルソンはテキサス出身のアメリカ人。

 

彼らはこの世界最新鋭の望遠鏡を使って、宇宙からの雑音を研究していた。

 

1964年のことだった。

すると、不思議なことに巡り合った。

あらゆる方向からの電波を探って、あらゆる恒星、惑星、人工衛星、銀河という様々な光源を削除した。

 

削除が済んだうえで、どうしても光源不明の電波が残った。

 

それは、総電波量のわずか1%程度の、弱い雑音だった。(今で言うところの、ラジオの雑音の様なもの)

 

これが何なのか、2人にも皆目見当がつかなかった。

 

角型アンテナの内部のハトの糞まで取り除いたが、雑音は消えなかった。

 

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そのころ、天文雑誌を読んでいると、

 

ビッグバン宇宙論の中に、初期の段階で宇宙が晴れ渡り、ビッグバンの名残りの放射があると予言された。

 

 

それはビッグバンから38万年ほど経って、宇宙が透明になって初めて通過できた光だ。

 

当時は3000K(ケルビン)ほどあった光も、その後の宇宙の膨張で、5Kほどになっているだろう、という予想も書いてあった。

 

当時発見されたのは3K。

 

「まさか、この雑音は、その時の名残りの光(CMB:宇宙マイクロ背景放射)ではないのか?

 

早速2人はこのことを論文に書いた。

 

そして1978年

彼らはノーベル物理学賞を受賞した。

 

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その後も、補強理論を提唱していたホイルだが、

 

現在、その理論への賛同者は、殆どいないようだ。