私のクルマは、

マツダ・ロードスターNA8C 1.8・Sr1(1800ccシリーズ1)だ。

NA6CE(1600cc)からマイナーチェンジした後の極初期型だ。

 

車歴30年以上というのは、今のご時世中々お目にかからない。

 

なんと平成4年(1992年)製ですから、

もはや34年落ちといった代物だ。

 

もう、買った時から古いクルマ扱いされていたのだが

20年ぐらいたったら

ノスタルジック・カー

みたいな扱いされて、30年経ったら

ネオ・クラシック

と言われるようになった。

 

ま、自分のクルマ自慢の記事ではないので、紹介はそのくらいにして、

 

それを超える古い車体が塾の駐車場に現われた。

日産サニー・トラック(1992年製)

 

そう言えばおぼろげながら記憶がある。

 

スカイラインR32や

フェアレディZ(Z32)みたいな

未来を見据えたようなクルマが登場する中で、

こんなアナクロなクルマを販売するなんて

日産はどうかしちゃったのか、と思った。(※)

 

※当時ですら「時代遅れ」とみなされていたような代物だ。

(だが、南アフリカなどではこの後10年以上に渡って現役として活躍している。)

 

オーナーは70代と思われる老夫婦。

問題はその二人がやって来たのは補聴器ショップ。

 

そう。

夫はドライビングには自信があっても

耳が難聴気味だったのだ。

 

夫は難聴

妻は免許なし

その分、声を低めにしてゆっくりと

「そこの角を右に曲がる!」

とか言っていたそうだ。

 

つまり

あのクルマは

この夫婦なしには動かせないクルマ

と化していたのだ。

クセの強い車体を乗りこなす夫

聞き耳だけは強い妻

このコンビで動くクルマなのだ。

 

話してみると九州どこへでも、

家電の修理にこのクルマで出かけていき、

夫婦で色んな所へ宿泊しに行ったそうだ。

 

阿蘇・九重

大分・別府

鹿児島

宮崎

遠くを見るような目で穏やかに語る妻。

どこでも夫がドライバー

妻は助手席でナビ。

 

傍から見たら、

何とも羨ましくもあるコンビなのだった。

 

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じゃ、何でこのサニトラの話をするのか、というと、

先日ついにこのサニトラ、

駐車場で動かなくなったのだ。

(考えてみれば、かなり歩道にはみ出している。)

 

キーをひねってみても、

うんともすんとも言わない。

「これはバッテリーでしょう」と、日産のメカニックも言うので

とりあえずバッテリー交換する。

 

ところが、キュルキュルいうだけでエンジンがかからない。

 

さて、どうしたものか・・

 

その時に僕が降りて来た。

「私がスロットルを操作しましょうか?」

「ええ、お願いします。」

 

こういう古い(?)クルマの場合、

アクセルを煽ってやると、ちゃんと始動することがある、

と英国車やイタ車で学んだからだ。

 

ドアを開けて乗り込む。

運転席のシートはかなりダメージがある。

逆に助手席側はきれいだ。

妻の配慮が感じられる。

 

メカニックがスイッチを入れる「キュルキュルキュル」

僕がスロットルを開ける「パタパタパタ」

すると「ズウォン!」とエンジンがかかった。

夫婦とメカニックを合わせて

3人から感謝された。

 

下の補聴器屋さんの奥さんからは

「この方は、立派なクラシックカーに乗っておられるんですよ!」

いや、クラシックカーじゃないし・・

 

丁寧なお礼をして、老夫婦は帰っていった。

 

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あの夫婦は、どちらかがいなくなれば、あのクルマには乗れないだろう。

 

そんなことを考えていた。