6月ですが去年の11月のお出かけ!…そにょ② | ヘタレ車掌の戯言

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前回記事の続きです。

 

関電308 扇沢駅 20181121①

関西電力300形308の黒部ダム行きに乗車します。性能的にはVVVF制御の“電車”なので、加速・減速時には阪急電車8000系(電装品は東芝製)みたいな変調音を発します。また、警笛もバスのようなクラクションではなく、阪急電車みたいな電気笛です。多客時には数台で隊列を組んで1つの“列車”として運転されますが、この“列車”は1両での運転でした。“鉄道”ですが、運転台は片方にしかないため、扇沢駅はラケット状の走行経路になっていまして、発車後右へ曲がって降車ホームや車庫への走行経路と合流して坂道を進み、落石除けガードを進むとほどなくして関電トンネルに入ります。この先は黒部ダム駅まですべてトンネル内を走ります。この関電トンネルは、関西電力が黒部川第四発電所(黒部ダム)を建設するための資材搬入ルート確保として建設されたもので、トロリーバス開通よりも早い1958年に完成しています。断面は後述する信号場部分を除いて大型自動車1台が走行できる程度と、通常の道路のトンネルよりは小さいです。トンネル進入後、青い光が見える場所は破砕帯といういわゆる断層のある場所で、このトンネル建設にあたって最も困難を極めた場所でした。現在も常に湧水が湧き出ています。その後に黄色い光が見える場所がありますが、ここが長野県と富山県の県境になります。

関電 信号所対向列車 20181121

さらに進むとトンネル断面が大きくなり、2車線になる場所がありますが、ここが扇沢駅発の“列車”と黒部ダム駅発の“列車”が行き違いをする信号場で、鉄道仕様の信号機(信号場進入部分に場内信号機、信号場出発部分に出発信号機)があります。また、“列車”最後部車両の運転士は、行き違い“列車”最後部車両の運転士と、通行票と言われる通票を交換します(閑散時間帯など、行き違い“列車”がない列車は扇沢駅~黒部ダム駅間の通行票を使用し、信号場での交換はしません)。信号場発車後ほどなくして「まもなく黒部ダム・・・」の放送が流れますが、まだまだ黒部ダム到着までしばらく走ります。黒部ダム駅発車経路と分岐してようなく黒部ダム駅に到着、扇沢駅からは概ね15分での到着になります。こちらの駅は前述の通りトンネル内にあります。扇沢駅では乗車ホームと降車ホームが明確に区分されていますが、黒部ダム駅は乗車客と降車客のルートこそ分かれているものの、ホーム自体は特に区分けされていません。到着後、慌ただしく追い出されることもなかったので(笑)、暫し308を観察します。

 

関電308 黒部ダム駅 20181121③

黒部ダム駅に到着した関西電力300形308

300形は、開業当初に導入された100形と、1969年から導入された200形の老朽化によって1993年から1996年にかけて15両導入されました。

性能的には前述の通りVVVF制御・交流誘導電動機を採用しています。車体はシャーシこそ三菱自動車製(現在、三菱自動車の大型車部門は三菱ふそうトラック・バスに分社化されています)2ステップ路線バス用ですが、バスボデーメーカーではなく、100形200形同様関西鉄道事業者の車両改造や特殊車両を数多く手掛けている大阪車輛工業での製造です。前面方向幕がないなど先代の100形200形と比較すると、バスより電車っぽい部分も感じられる車両です。前面上部にある緑色と黄色のランプは、最後部車両かそうでない車両の識別のためのもので、最後部車両の場合は黄色2灯、それ以外の場合は緑色1灯を点灯します。

 

関電 308前輪 黒部ダム駅 20181121

シャーシは三菱ふそうバス用のため、三菱マークが・・・

 

関電308運転台 黒部ダム駅 20181121

関西電力300形308の運転台

ステアリングこそ三菱ふそうバスのものですが、計器盤は速度計、圧力計、電流計、電圧計などが並び、このあたりは“電車”ですね。ちなみにブレーキやアクセルはオートマの自動車と同じようなペダル操作です。走行区間がほとんどトンネル内なので、列車無線は地下鉄などで多用されている誘導無線です。前面窓の曇り止めは、自動車的な温風式デフロスタではなく、ガラスに仕込まれた熱線式で、このあたりも“鉄道”車両らしいですね。

 

関電308車内 黒部ダム駅 20181121

関西電力300形308の車内

こちらはバスっぽいですね。中扉は艤装上、戸袋を設置できないので外吊り式になります。関電トンネル内は夏もひんやりしているので、冷房はありません。

 

関電308 黒部ダム駅 20181121③

関西電力300形308の後部

黄色と緑色のランプは後部にもあります。屋根から生えている2本の黒い棒が架線から電気を取り入れるトロリーポールです。かつては路面電車などでもトロリーポールが用いられていましたが、一般的なレールの上を走る“電車”では1978年の京福電車を最後に見られなくなっています。架線とトロリーポールが2本ずつあるのは、直流電化(600V)なので+線と-線があるためです(レールの上を走る電車ではレールのが-線になりますが、ゴムタイヤでアスファルトの上を走るトロリーバスではそうもいかないので、架線を2線張る必要があります。)。ディーゼルエンジンのバスではエンジンがあるべき部分は、VVVF装置が鎮座しています。トロリーバスは自動車ではなく、あくまでも“鉄道”車両なので、お馴染みのナンバープレートはありません(かつて大都市で見られたトロリーバスも自動車としてのナンバープレートはありませんでした。)。

 

大雑把に308を観察した後は、黒部ダム駅を出て太陽にあたることとします(次回以降に続きます)。