前回記事の続きです。
若い女性で混雑するJR西日本桜島線(JRゆめ咲線)の桜島行き普通に乗車し、1駅目の安治川口駅で下車、ホームのユニバーサルシティ方でしばらく撮り鉄します。
JR西日本桜島線は2001年に、沿線に
ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が開業したことで、現在“JRゆめ咲線”と案内されていますが、その歴史は意外と古く、1898年に大阪駅~安治川口駅間で開業した西成鉄道が前身となります。その後鉄道作業局借上げを経て1906年に国有化されています。安治川口駅以西については、1905年に天保山駅まで開業するものの、1910年に桜島駅までの開業と引き換えに廃止されています。国有化以降、西成線と称されていましたが、1961年の大阪環状線開業に伴い、大阪駅~西九条駅間が大阪環状線に編入されたことにより、西九条駅~桜島駅間が桜島線となって現在に至っています。元々は安治川沿いの工場地帯への通勤客や海上輸送の物資を輸送する路線で、どことなく首都圏でいえば
JR東日本鶴見線に近いイメージの路線でしたが、2001年の
USJ開業により、安治川口駅以西の線路移設や新駅設置(USJ最寄り駅となるユニバーサルシティ駅)がなされており、愛称の“JRゆめ咲線”制定とともに、かつての“桜島線”のイメージは薄まりつつあります。
安治川口駅は1898年の開業以来、貨物営業も取り扱う駅として営業しており、現在もJR貨物の貨物駅が併設されています。
JR貨物の貨物電車
M250系“スーパーレールカーゴ”は、この安治川口駅発着で運転されています。
それでは撮影順に・・・
JR西日本
103系クハ103-841の西九条行き普通
クハ103-841は1981年の国鉄
福知山線尼崎駅~宝塚駅間電化開業に際して1980年度(1981年3月)に導入された車両です。当初は関西国電初となる黄色に塗装されていましたが、その後
東海道・山陽線普通用として転用され水色塗装となり、更に
関西線に転用され黄緑色塗装に、そして2007年以降
大阪環状線・桜島線に転用されオレンジ色塗装になりました。関西地区の
国電は
オレンジ色、
水色、
黄緑色、
黄色の4色がありましたが、それらをすべて経験している1両です。現在は2014年から“OSAKA POWER LOOP”ラッピングが施されています。編成中2両(モハ103-494・モハ102-650後ろから2・3両目)は30N体質改善工事実施車、その他の6両は40N体質改善工事実施車となっています。そのため、編成内での外観が揃いません。派手なラッピングは側窓部分にも透過性のあるフィルムで施されています。かつて、
桜島線は6両編成での運転が基本で、
桜島線用の編成が
大阪環状線用とは別に用意されていましたが、現在は
桜島線自体が8両編成化されたので、区分されることなく運用されています。
JR西日本201系クハ201-141の西九条行き普通
クハ201-141は1984年度に国鉄
東海道・山陽線普通用として導入された車両です。
東海道・山陽線に
321系が導入されたことにより、現在は
大阪環状線・桜島線で運用されています。首都圏では見られなくなった
201系ですが、こちらでは体質改善工事によって車体内外に変化はあるものの今なお現役です。但し、昨年以降導入されている
323系によって今後
大阪環状線・桜島線から追われる立場(
関西線に転用らしいです)になるので、今後この色も見られなくなります。そんな中、定期検査上がりのきれいな状態のオレンジ色の
201系もこれが最後かもしれません。
JR西日本
103系クハ103-843の西九条行き普通
クハ103-843は、クハ103-841同様、1981年の国鉄
福知山線電化開業用として導入された車両です。この車両もなかなか転用の多く、
東海道・山陽線普通用→
関西線→
阪和線→
大阪環状線・桜島線と渡り歩いています。こちらの編成はクハ103-841の編成とは逆に中間2両(サハ103-400・サハ103-484)が40N体質改善工事実施車、その他の6両は30N体質改善工事実施車となっています。
103系最後のオレンジ色の編成になります。
JR西日本
201系クハ201-65の西九条行き普通
クハ201-65は、1982年度に国鉄
東海道・山陽線普通用として導入された車両です。
東海道・山陽線に
321系が導入されたことにより、現在は
大阪環状線・桜島線で運用されています。
201系のLED表示器は、写真だとまともに写りません・・・
JR西日本103系クハ103-802の桜島行き普通
クハ103-802は国鉄
片町線(学研都市線)用として1979年度に導入された車両です。その後、
関西線に転用され、現在は
大阪環状線・桜島線で運用されています。クハ103-841やクハ103-843と異なり、水色と黄色になったことはありません。
JR西日本201系クハ201-137の京橋行き普通
クハ201-137は、1984年度に国鉄
東海道・山陽線普通用として導入された車両です。東海道・山陽線に
321系が導入されたことにより、現在は
大阪環状線・桜島線で運用されています。
桜島線には沿線の通勤需要というよりもUSJ来場者輸送がウエイトを占める要素があって、西九条方向よりも桜島方向の方が混雑する傾向があります。また、
大阪環状線との直通も運転されていて、この直通運転によって
桜島線運用車両の入替もなされています。京橋行きはそんな意味合いをもって設定されています(この他天王寺行きも設定されています)。
JR西日本
323系クモハ322-4の桜島行き普通
JR西日本
323系は、
JR西日本が推進している
大阪環状線改造プロジェクトの目玉として2016年度から導入されている新型車です。今まで片側4扉車体の純然たる通勤型電車が導入されてきた
大阪環状線ですが、今後のホームドア設置を念頭に置いたのか(現時点で予定はないようですが)、
関西線や
阪和線から直通の片側3扉車との扉位置統一のため、あえて片側3扉車体となりました。車体は
225系に準じた軽量オールステンレス製とし、安全対策として前頭部の衝撃吸収構造や衝突対策がなされています。車内はすべてロングシートで、各車両に
車いす・
ベビーカースペースを設置しています。また、大阪駅で乗客が集中する8号車(クモハ323形)は扉周囲の立客スペース拡大のため、座席が短くなっています。編成は全車電動車となりますが、各車両とも片台 車駆動(1両ごとに主電動機のある電動台 車と主電動機のない付随台 車がある)のため、実質的には8両編成で電動車4両と付随車4両と同等になります。前頭部形状は、将来的な転用を想定したのか
225系同様の貫通扉付きになっていますが、これは1961年の
大阪環状線開業以来初めてかと思われます。
最終的に大阪環状線・桜島線はこの
323系に統一されることになっています。
JR西日本201系クハ201-93の京橋行き普通
クハ201-93は、1983年度に国鉄
東海道・山陽線普通用として導入された車両です。
東海道・山陽線に
321系が導入されたことにより、
現在は大阪環状線・桜島線で運用されています。
JR西日本323系クモハ323-4の回送
2016年度に導入された編成です。323系では、前照灯が
225系などのHID灯からLED灯に変更されました。白色とオレンジ色の組合せになっていて、主光(ハイビーム)はかなり眩しいです(笑)。
大阪環状線・桜島線の車両基地は京橋駅~森ノ宮駅間にある吹田総合車両所森ノ宮支所で、出入庫は京橋駅発着となります。入庫に際しては、京橋行きとして営業列車として運転される場合と、回送列車として運転される場合があります。
駅の南側は前述のとおり、JR貨物の貨物駅がありますが、正午前に到着列車があるほかは、日中はあまり出入りがないように感じました。
JR貨物EF210形EF210-135㊧とHD300形HD300-19㊨
㊧のEF210-135は2007年度導入、新鶴見機関区所属の機関車です。
㊨のHD300形は、東芝が開発しJR貨物が2009年度に試作車導入、2011年度以降量産車導入しているハイブリッド機関車です。
従来、貨物駅構内の入換運転には国鉄時代に導入された
DE10形ディーゼル機関車が主に運用されていましたが、老朽化と排出ガス低減対策として、このHD300形ハイブリッド機関車が開発されました。ディーゼル機関車同様、ディーゼルエンジンを搭載していますが、これは駆動用としてではなく、発電用となっていて、これによって発電される電力と、蓄電池に充電た回生ブレーキ時の発生電力を協調させて動力源としています。これによって、従来の
DE10形ディーゼル機関車と比較して4割程度の燃料消費量と6割以上のNOx排出量低減が実現しています。現在、試作車含めた29両が全国の貨物駅構内で運用されています。このHD300-19は、2015年度に導入され、岡山機関区所属、安治川口駅構内で運用されています。
以下、次回以降に続きます。