前回のブログで「マインドフルネス」という宗教性のない瞑想について書いたけれど、この「マインドフルネス」は扁桃体が活性化しすぎたときに怒りや不安、恐怖といった負の感情を鎮めるためにも効果があるそうです。
そう、現代に生きる私たちは小説『アーモンド』の主人公ユンジェとは逆に、SNSの情報などに過剰に反応しすぎてしまい、どうでもいいことに怒ったり、よく分からないことに強い恐怖を感じてしまいがち。自分の感情をコントロールするのに疲れやすくなっているのです。それは韓国も日本も同じで、学校に通う生徒たちも自分とは違い、表情がなく何を考えているのか分からない異質な存在を遠ざけようとします。
ユンジェの母が必死で“普通の子”のように見せるために「喜 怒 哀 楽 愛 悪 欲」を丸暗記させ、相手と同じ反応をするように教えた気持ちも分かるし、やたらと「共感」を求めたり、「同調圧力」が強すぎる窮屈な仲間に紛れて目立たないように過ごすより、個性を大切にしてもいいと伝えたかった祖母の想いにも強い愛情を感じます。
こんな生きづらい世の中で、特別視されやすく、みんなにうまくとけ込めないという、さらに生きづらい特徴を持って生まれた少年の将来を心配する親心。ま、本人は恐怖を感じないので、未来に不安もないけれど、そんな様子に より不安が募るものです。
感情のない少年に降りかかる悲劇と、彼の人生を変えていく出会いを描いている喪失と再生の物語。どの年代の人が読んでも、人は愛情や出会いによって変われること、相手を「こういうタイプ」などと簡単に決めつけることの愚かさ、普通に生きることの難しさなど、それぞれに深く感じることができると思います。





