『痛風二十二年物語』二十九話 | 『 痛風二十二年物語 』・『 桜 と 痛風 』

『 痛風二十二年物語 』・『 桜 と 痛風 』

春を待たず伐採された桜の木、あなたに代って私が”満開ブログの花”を咲かせます!!!

『痛風二十二年物語』二十九話
“ 嬉しいかな寂しいかな 1”

 

2017年12月10日、日曜日午後3時。
さくらcaféのマスターは、私たちの来店を待っていた。
私たちとは、私と家内、息子とガールフレンドの4人だ。
さくらカフェは、上の公園の反対斜面にある隠れ屋的なお店だった。
カフェは土日休業日だったが、
無理を言って、この日の3時から4時半まで、
貸し切りさせてもらった。

それは、2週間ほど前の夕方のことだった・・・
税理士先生との話が済んで、外へ見送りに出たとき、
下の道端で息子の車が停車していることに気付いた。
息子が「只今!」と一言、足早に家の階段を上った。続いてドアが開き若い女性が、
徐に私と家内の前に近づいてきた。
すると、「私・・・さんとお付き合いさせて頂いてます・・・です」
と丁寧な挨拶があった。
かねて聞いてはいたが、息子のガールフレンドであることは
すぐに察しがついた。
「アー・・・初めまして、逢いたかったよ!」
なんとミョウチクリンな返事だが、こんな突然のご対面になろうとは、
いや、彼女はもっとそれを感じたに違いなかった。
『この子が息子の彼女かと・・・』妙に納得もできた。

身支度を済ませ息子が車に戻ってきた。
これから八景島の夜間水族館に行くとのことだった。
私はポケットに入れていたみかんを一個、
車の窓越しに座る彼女に差し出した。
彼女は半身の姿勢で、そのみかんを両手で優しく受け取った。
できた子だと思った。
それから何日かして、彼女が改めて挨拶をしたい旨、
息子から知らされたのだ。

 

― 続きは今度。よかったらまた読んで下さい。―

   あの日の夕暮れ時